並みいる強豪にも埋もれない美しきCセグハッチ!「マツダ 3」【最新国産新型車 車種別解説 MAZDA 3】

流麗なフォルムでアートのような美しさが感じられる5ドアハッチバックと、安定感を感じさせる4ドアセダンのラインナップ。22年の改良のポイントは通常のガソリンエンジンに小型のモーターを組み合わせによるマイルドハイブリッド化と、それに伴う価格を抑えたモデルの追加である。
REPORT:工藤貴宏(本文/写真解説) PHOTO:中野孝次 MODEL:花乃衣美優

2.0Lユニットがマイルドハイブリッド化

「ゴルフクラス」とも言われるCセグメントハッチバックは、日本車でもトヨタ「カローラスポーツ」にホンダ「シビック」、そしてスバル「インプレッサ」などライバルは多い。そんなライバルに対して「マツダ3」の魅力はどこにあるのか。それは考えるまでもなくデザインだ。

エクステリア

車体はファストバック(ハッチバック)のほかセダンも用意するが、デザインの理想を追求して両者ではフロントフェンダーの形状までつくり分けているのだから驚きだ。ドアパネルの“反り”もこだわりの造形。最小回転半径は5.3m。

マツダのクルマの根底にあるのは「多くの人に評価されることよりも、1割の人にとことん惚れてもらえるクルマ」。デザインも万人受けを狙うのではなく、意識の高いユーザーをターゲットに美しさを追求している。だからこそ、マツダ3も思い切ったデザインを実現できたのだ。

マツダ3のハッチバックのデザインは、好みが明確に分かれるだろう。アバンギャルドすぎて敬遠する人もいるようだが、美しくカッコいいことに疑う余地はなく、あとはそれをオーナーがどう乗りこなすかがポイントといえるだろう。

乗降性

マツダ3はボディ形状として「ファストバック」と呼ぶ5ドアハッチバックのほか、4ドアセダンもラインナップ。色気を重視したハッチバックに対し、セダンはエモーショナルでありつつ誰もが受け入れやすい安定感を持ったデザインとつくり分けられている。

2022年8月、そんなマツダ3に新たなパワートレインが投入された。「e-SKYACTIV G(イー・スカイアクティブ・ジー)2.0」と呼ぶ、小型のモーターを組み合わせたガソリンエンジンだ。これまでもマツダ3には「e-SKYACTIV X」と呼ぶ特殊な燃焼方式のガソリンエンジンにモーターを組み合わせた仕様はあった。

しかし、この「e-SKYACTIV G2.0」は普通のガソリンエンジンにモーターを組み合わせて大きな価格上昇なしにマイルドハイブリッド化したのがポイント。これまで展開していたモーターなしの2.0ℓガソリンエンジンとの入れ替えとなる。

インストルメントパネル

水平基調でシンプル。中央よりも左側は開放感をもたらしつつ、運転席前はメーターパネルを中心に左右対称のデザインとして運転に集中できる空間づくりを行なっている。ナビ画面は非タッチパネル式だ。

整理すると、マツダ3には通常の1.5ℓガソリンエンジン、SPCCIという革新的な燃焼方式を採用し燃費とパワーを両立したe-SKYACTIV X、1.8ℓディーゼル、そして新たに設定されたマイルドハイブリッドの2.0ℓガソリンエンジンと四つのパワートレインをラインナップするのだ。

居住性

「M HYBRID」と呼ぶマイルドハイブリッドは、6.9㎰のモーター、助手席下のリチウムイオン電池、DC-DCコンバーター、そして回生協調ブレーキなどで構成。いわゆるISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)式で、モーターとドライブ系の接続はベルトを介して行なわれる。カタログに記載されているWLTCモード燃費で比べると、ハイブリッドでは従来型のガソリン2.0ℓエンジンに対し、約0.6㎞/ℓの燃費改善効果があるようだ。

うれしい装備

インテリアはライバルに対して明らかに上質感が高い。表皮の仕立てやシルバーの加飾の入れ方、さらにスイッチ類の仕上げにこだわり、コストを掛けているからだ。またバーガンディ(赤ワイン色)の内装色もオシャレ。
一部改良        22年8月4日発表
月間販売台数      1068台(7月~12月平均値)
WLTCモード燃費     21.5km/ℓ※「XD」系のFF車

ラゲッジルーム

走りはどうか。率直にいえばモーター感はまったく感じない。マツダは「発進時にモーターがアシスト」するというが感じ取るのは難しい。逆にいえば制御はすこぶる自然といえる。それよりも、国産ライバル勢が組み合わせるCVTとは異なる、ATならではのアクセル操作に対する加速感の自然さが印象的。実際のところは運転好きにとってはそんなドライバビリティこそがライバルに対するアドバンテージではなかろうか。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.147「2023 国産新型車のすべて」の再構成です。

キーワードで検索する

著者プロフィール

MotorFan編集部 近影

MotorFan編集部