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天然無垢のタモ素材が夏でも冬でも快適な室内をつくり出す
軽キャンは、いまや日本のオートキャンプシーンには欠かせないスタンダードなカテゴリーとなっている。各社からは様々なモデルが発売されており、それぞれが個性を放っているのは周知の通りだ。
軽キャンの中でもベーシックなのが、軽バンをベースに架装したバンコンだ。ただ、限られた空間を使うということもあり、レイアウト的には各社に大きな差はない。オーバーヘッドコンソールを付けて、後部左右に収納やテーブルを備えた家具をインストールするというのが一般的だ。
誤解を恐れずに言えば、軽のバンコンは完成されたカテゴリーであり、個性と言えば使っている素材の違い、家具のデザインということになるだろうか。そんな中、9月18〜19日に開催された横浜キャンピングカーショー2021において、ふと足が止まったモデルがある。それはルートの「ちょいCam豊」だ。
何が目を惹いたかというと、家具の作りの良さ。表面から温かみが伝わり、エッジもしっかり面取りされている。チリもしっかりと合わされており、とにかく“気持ちいい”のである。
聞けば、なるほど納得。この装備を作っているのは、叙勲もされた三河の家具職人だという。道理で隙のない仕事をするはずだ。
このモデルは元々、ルートの会長が登山の際にゆったりと仮眠したいという欲求から生まれたらしい。2009年に発売以来、「横になっていかに気持ちよく寝られるか」を追求し、改良を重ねてきたのだという。
レイアウトはオーソドックスで、三方のオーバーヘッドコンソール、後部左右の収納家具、そしてベッド。家具にはテーブルになる板も付属される。ちょっと驚きなのはその価格だ。スズキ・エブリイ用キットが56万6500円、ダイハツ・ハイゼットバン用キットが53万4050円。車両価格と取り付け工賃を入れたとしても、かなり安いと言える。
しかも、この家具の仕上がりだ。寝るだけならどんな軽キャンでもそれなりに快適だが、その空間にいて心地よいというモデルはそうはない。そういう意味では、このモデルの作りは他にはない“個性”を持っていると言えるだろう。
ちなみに「ちょいcam」シリーズには、他に「歩」「梓」「葵」の3キットがラインナップされている。
「歩」はオーバーヘッドコンソールがないキットで、代わりに帆布製の天井小物入れが装備される。後方に物かけバーが付いているのが、このモデルの特徴のひとつ。「梓」は、物かけバーが省略されたキットとなる。
「葵」はやはりオーバーヘッドコンソールが付かず、ベッドが2段になっているモデル。2人でそれぞれゆったり寝たいという向きにピッタリな軽キャンキットだ。
さらに一人就寝用のベッドと収納ボックスのみの「一人寝キット」という商品もラインナップされているので、ソロキャンプ派はチェックしてみてほしい。
いずれのキットも家具職人の熟練の技がキラリと光っており、きっと長く使える満足のいくものだと思う。
ルート・ちょいcam豊
車両本体価格:248万7760円/展示車価格:365万2110円
ベース車両:スズキ・エブリイワゴン
展示車のオプション装備:サブバッテリー電源システム600W 23万1000円/セミサイクルバッテリー105Ah 3万3000円/ソーラー充電システム160W 14万4100円/サイドオーニング 15万7300円/フリップダウンモニター 8万300円/ナビ(パナソニックR07) 13万7500円/ドライブレコーダー 6万6000円/ETC 1万9800円/大型LEDライト 6600円/バックカメラ一式 3万5750円/リヤSP&PW電源加工 7万7000円/断熱加工 17万6000円