実質400万円台で買えるBEV10選 航続距離/サイズ/補助金から考えてみる

ボルボEX30で始まった新世代BEV 補助金込みで実質400万円台が熱い!

ボルボEX30
各メーカーのBEVが一通り出揃って、時代はいよいよ新世代BEVへ動いている。BEV専用プラットフォームで500万円台の車両価格、補助金を受けると実質400万円台で購入できるBEVがこれからの主戦場になる。その急先鋒にボルボEX30。さて、このクラスのBEVをサイズ、バッテリー容量、航続距離、補助金額、車両の実質価格で比較してみた。

ほどよいサイズと航続距離、そして車両価格

各自動車メーカーのBEVが出揃ったわけだが、その多くがSUVタイプでサイズが大きく、価格も高価がモデルが多かった。たとえば、比較的コンパクトなプレミアムBEV、BMW iX3 Mスポーツのボディサイズは全長×全幅×全高:4740mm×1890mm×1670mm、価格は922万円だ。なかなかに大きくて高価。いわゆるリッチなアーリーアダプター以外は手を出しにくい。マーケティング的にいえば、アーリーアダプダーの次の「アーリーマジョリティ」を捕まえないと、BEVの本格的な普及は覚束ない。となると、サイズはCセグ、価格は400万円台、航続距離は実質400km程度を実現する必要が出てくる。

さて、いま日本で買えるBEVで、それをクリアできるのは、どんなクルマだろうか。

現状、BEVの新車購入には補助金が出る。経産省のCEV補助金や各地方自治体の補助金もある。ここではCEV補助金の額を確認して、実質的な購入価格を考えていこう。

ボルボEX30 559万円

ボルボEX30

ボルボの新世代BEV、EX30が国内デビューした。「SEA(サステナブル・エクスペリエンス・アーキテクチャー)」を使ったBEVだ。国内導入の最初のモデルはシングルモーターで後輪を駆動する。ボディサイズも全長×全幅×全高:4235mm×1835mm×1550mmと機械式駐車場に入るのがポイント。航続距離も480kmと充分。車両価格は559万円だからCEV補助金65万円(と予想する)を受ければ実質494万円で買えるわけだ。

全長×全幅×全高:4235mm×1835mm×1550mm ホイールベース:2650mm
全幅が1835mmというのが、EX30の長所のひとつ
SEAプラットフォームの基本はRWDだ。本国にはツインモーターの4WDもある。

日産アリアB6 539万円

日産アリアB6(FWD)

日産アリアは、バッテリー容量で2仕様(B6とB9)、駆動方式で2仕様(FWDとAWD e-4ORCE)がある。補助金込みで400万円台で買えるのはB6(FWD)だ。デザインの美しさはBEVならではのプロポーションから生まれるもの。バッテリー容量が66kWh、航続距離は470kmだ。CEV補助金が85万円になるのは、給電機能を装備しているからだ。

全長×全幅×全高:4595mm×1850mm×1655mm
ホイールベース:2775mm 基本はFWDだ。

トヨタbZ4X/スバル・ソルテラ 600万円/594万円

トヨタbX4X

トヨタとスバルの共同開発で生まれたBEVがbZ4X/ソルテラだ。プラットフォームはe-TNGA。基本はFWDで、リヤにモーターを積んだAWDも設定するが、500万円台で買えるのはベースグレードだ。bZ4XはZ(600万円)、ソルテラはET-SS(594万円)で、71.4kWhという大容量バッテリーを搭載し、560km前後の航続距離を持つ。ただし、CEV補助金だけでは500万円以下では買えないのが、少し残念だ。bZ4Xは、サブスクでの購入(KINTO)となる。

全長×全幅×全高:4690mm×1860mm×1650mm
ホイールベース:2850mm e-TNGAの基本はFWDだ

日産リーフ e+G 583万4400円

日産リーフ 全長×全幅×全高:4480mm×1790mm×1565mm ホイールベース:2700mm

日本のBEVをリードしてきたのが日産リーフ。現行モデルのデビューは2017年だから、すでに6年が経過している。現行モデルは初代モデルの大幅改良モデルだから、生まれを辿ったら2010年まで遡ることになる。

表組みではe+Gグレード(60kWh/450km/583万4400円)をあげたが、40kWh/322km/408万1000円というエントリーグレードのXもある。商品力では新しいコンペティターには敵わないが、BEVを気軽に味わってみたいというときの選択肢としてはありだろう。

ボルボEX30日産アリアB6(FWD)トヨタbZ4X(スバル・ソルテラ)日産リーフ
全長×全幅×全高(mm)4235×1835×1550mm4595×1850×1655mm4690×1860×1650mm4480×1790×1565mm
ホイールベース(mm)2650mm2775mm2850mm2700mm
バッテリー容量(kWh)69kWh66kWh71.4kWh60kWh
駆動方式RWDFWDFWDFWD
WLTC一充電航続距離(km)480km470km559km(567km)450km
モーター出力200kW(272ps)/343Nm160kW(218ps)/ 300Nm150kW(203.9ps)/266Nm160kW(218ps)/340Nm
車両重量1790kg1920kg1920kg(1910kg)1680kg
車両価格559万円539万円600万円(594万円)583万4400円
経産省のCEV補助金65万円85万円85万円85万円
実質車両価格494万円454万円515万円(509万円)498万4400円

VW ID.4 Lite 650万円

VW ID.4

新世代BEVの代表格がVW ID.4だ。当初、ポロやゴルフのMQBプラットフォームでBEVもカバーするはずだったが、方針を転換。BEV専用のMEBを開発した。VWの(アウディも)BEVブランドである「ID.」はこのMEBを使う。
日本で買えるのは、ID.4だ。
エントリーグレードのLiteは52kWhのバッテリーで航続距離は435km。価格は514万2000円だから65万円のCEV補助金を受ければ449万2000円で買える。航続距離435kmに不安があれば、77kWh/617kmのProが用意されているが、こちらは648万8000円、400万円台では手に入らない。

全長×全幅×全高:4585mm×1850mm×1640mm
ホイールベース:2770mm MEBのベースはRWDだ

PEUGEOT e-208 Allure 469万4000円

PEUGEOT e-208(写真はGT Line)

CセグではなくBセグのBEVもある。プジョーe-208はその代表格だ。全長×全幅×全高:4095mm×1745mm×1465mmというボディサイズは、シティカーとしての素質がある。バッテリー容量50kWhで395kmの航続距離は、やや小さい・短いがCEV補助金を受ければ、ほぼ400万円で買える。

ヒョンデIONIQ5 Voyage 519万円

ヒョンデIONIQ5
全長×全幅×全高:4635mm×1890mm×1645mm
ホイールベース:3000mm 駆動方式はRWDだ

ヒョンデの意欲作のIONIQ5は、他のどのクルマにも似ていないスタイルが魅力だ。ただし、サイズは全幅が1890mm、ホイールベースが3000mmと、なかなか大きい。ボヤージュのRWD(ヒョンデのE-GMPプラットフォームも基本はRWDだ)は72.6kWhのバッテリーで618kmの航続距離を誇る。価格と航続距離のバランスを考えたら極めて高いコストパフォーマンスを持つ。エントリーグレードは58kWhで498km、車両価格は479万円だ。これならCEV補助金を受ければ414万円で購入できる。

BYD ATTO3 440万円

BYD ATTO3

中国から日本に上陸を果たしたBYD。その先陣がATTO3だ。バッテリーメーカーでもあるBYDが独自開発したブレードバッテリーを搭載したBEV専用プラットフォーム「e-Platform3.0」を採用している。58.56kWhのバッテリー容量で485kmの航続距離を持つBEVの価格が440万円。しかも、国交省の型式承認を受けている。BYDの本気度が見てとれる。

テスラ・モデル3

テスラ・モデル3 全長×全幅×全高:4695mm×1850mm×1445mm ホイールベース:2875mm

このクラスのBEVのマーケットリーダーは、やはりテスラだ。その主力がModel 3だ。もっともプライスタグが軽いのはRWDモデルで、524万5600円だ。テスラには、「スーパーチャージャー」という独自の高出力急速充電器がある。価格的なメリットとともに、このスーパーチャージャーがテスラのストロングポイントだ。

PEUGEOT e-208 AllureVW ID.4 LiteヒョンデIONIQ5 VoyageBYD ATTO3テスラ モデル3 RWD
全長×全幅×全高(mm)4095×1745×1465mm4585×1850×1640mm4635×1890×1645mm4455×1875×1615mm4695×1850×1445mm
ホイールベース(mm)2540mm2770mm3000mm2720mm2875mm
バッテリー容量(kWh)50kWh52kWh72.6kWh58.56kWh54kWh
駆動方式FWDRWDRWDFWDRWD
WLTC一充電航続距離(km)395km435km618km480km565km
モーター出力100kW(136ps)/260Nm125kW(170ps)/310Nm160kW(217ps)/350Nm150kW(204ps)/310Nm298kW/353Nm
車両重量1500kg1950kg1950kg1750kg1760kg
車両価格469万4000円514万2000円519万円440万円524万5600円
経産省のCEV補助金65万円65万円85万円65万円65万円
実質車両価格404万4000円449万2000円454万円375万円459万5600円

小さくてカワイイBEVもある

ファーストカーではなく、セカンドカー的に使いたい。だから小さくて個性的なBEVがいい、というニーズもある。航続距離も300kmくらいあれば充分。となると、選択肢はこの2台だ。

フィアット500e ICON 522万円

FIAT 500e(写真はOPEN)

歴代チンクエチェントから受け継いだアイコニックなデザイン、コンパクトなサイズ(全長×全幅×全高:3630mm×1685mm×1530mm)を持つのが、フィアット初の新世代の電気自動車フィアット「500e」だ。

オープントップの「OPEN」(536万円)も設定する。335kmの航続距離は長くはないが、シティユースなら充分だ。

Honda e Advance 495万円

Honda e Advance

ホンダのHonda eは、ホンダらしさが詰まったコンパクトBEVだ。駆動方式はRWD。つまり、専用プラットフォームを使ったBEVだ。個性的な外観とキビキビした走り、最小回転半径4.3mという軽自動車並みの小回り性、サイドビューカメラなど、話題も満載だ。ただし、一充電航続距離が259kmで、実走行では200km弱というのが玉に瑕。シティユースに割り切れば、これほど楽しくカワイイBEVはない。

FIAT 500e ICONHonda e Advance
全長×全幅×全高(mm)3630×1685×1530mm3895×1750×1510mm
ホイールベース(mm)2320mm2530mm
バッテリー容量(kWh)42kWh35.5kWh
駆動方式FWDRWD
WLTC一充電航続距離(km)335km259km
モーター出力87kW(118ps)/220Nm113kW(154ps)/315Nm
車両重量1330kg1540kg
車両価格522万円495万円
経産省のCEV補助金45万円55万1000円
実質車両価格477万円439万9000円

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