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ほどよいサイズと航続距離、そして車両価格
各自動車メーカーのBEVが出揃ったわけだが、その多くがSUVタイプでサイズが大きく、価格も高価がモデルが多かった。たとえば、比較的コンパクトなプレミアムBEV、BMW iX3 Mスポーツのボディサイズは全長×全幅×全高:4740mm×1890mm×1670mm、価格は922万円だ。なかなかに大きくて高価。いわゆるリッチなアーリーアダプター以外は手を出しにくい。マーケティング的にいえば、アーリーアダプダーの次の「アーリーマジョリティ」を捕まえないと、BEVの本格的な普及は覚束ない。となると、サイズはCセグ、価格は400万円台、航続距離は実質400km程度を実現する必要が出てくる。
さて、いま日本で買えるBEVで、それをクリアできるのは、どんなクルマだろうか。
現状、BEVの新車購入には補助金が出る。経産省のCEV補助金や各地方自治体の補助金もある。ここではCEV補助金の額を確認して、実質的な購入価格を考えていこう。
ボルボEX30 559万円
ボルボの新世代BEV、EX30が国内デビューした。「SEA(サステナブル・エクスペリエンス・アーキテクチャー)」を使ったBEVだ。国内導入の最初のモデルはシングルモーターで後輪を駆動する。ボディサイズも全長×全幅×全高:4235mm×1835mm×1550mmと機械式駐車場に入るのがポイント。航続距離も480kmと充分。車両価格は559万円だからCEV補助金65万円(と予想する)を受ければ実質494万円で買えるわけだ。
日産アリアB6 539万円
日産アリアは、バッテリー容量で2仕様(B6とB9)、駆動方式で2仕様(FWDとAWD e-4ORCE)がある。補助金込みで400万円台で買えるのはB6(FWD)だ。デザインの美しさはBEVならではのプロポーションから生まれるもの。バッテリー容量が66kWh、航続距離は470kmだ。CEV補助金が85万円になるのは、給電機能を装備しているからだ。
トヨタbZ4X/スバル・ソルテラ 600万円/594万円
トヨタとスバルの共同開発で生まれたBEVがbZ4X/ソルテラだ。プラットフォームはe-TNGA。基本はFWDで、リヤにモーターを積んだAWDも設定するが、500万円台で買えるのはベースグレードだ。bZ4XはZ(600万円)、ソルテラはET-SS(594万円)で、71.4kWhという大容量バッテリーを搭載し、560km前後の航続距離を持つ。ただし、CEV補助金だけでは500万円以下では買えないのが、少し残念だ。bZ4Xは、サブスクでの購入(KINTO)となる。
日産リーフ e+G 583万4400円
日本のBEVをリードしてきたのが日産リーフ。現行モデルのデビューは2017年だから、すでに6年が経過している。現行モデルは初代モデルの大幅改良モデルだから、生まれを辿ったら2010年まで遡ることになる。
表組みではe+Gグレード(60kWh/450km/583万4400円)をあげたが、40kWh/322km/408万1000円というエントリーグレードのXもある。商品力では新しいコンペティターには敵わないが、BEVを気軽に味わってみたいというときの選択肢としてはありだろう。
ボルボEX30 | 日産アリアB6(FWD) | トヨタbZ4X(スバル・ソルテラ) | 日産リーフ | |
全長×全幅×全高(mm) | 4235×1835×1550mm | 4595×1850×1655mm | 4690×1860×1650mm | 4480×1790×1565mm |
ホイールベース(mm) | 2650mm | 2775mm | 2850mm | 2700mm |
バッテリー容量(kWh) | 69kWh | 66kWh | 71.4kWh | 60kWh |
駆動方式 | RWD | FWD | FWD | FWD |
WLTC一充電航続距離(km) | 480km | 470km | 559km(567km) | 450km |
モーター出力 | 200kW(272ps)/343Nm | 160kW(218ps)/ 300Nm | 150kW(203.9ps)/266Nm | 160kW(218ps)/340Nm |
車両重量 | 1790kg | 1920kg | 1920kg(1910kg) | 1680kg |
車両価格 | 559万円 | 539万円 | 600万円(594万円) | 583万4400円 |
経産省のCEV補助金 | 65万円 | 85万円 | 85万円 | 85万円 |
実質車両価格 | 494万円 | 454万円 | 515万円(509万円) | 498万4400円 |
VW ID.4 Lite 650万円
新世代BEVの代表格がVW ID.4だ。当初、ポロやゴルフのMQBプラットフォームでBEVもカバーするはずだったが、方針を転換。BEV専用のMEBを開発した。VWの(アウディも)BEVブランドである「ID.」はこのMEBを使う。
日本で買えるのは、ID.4だ。
エントリーグレードのLiteは52kWhのバッテリーで航続距離は435km。価格は514万2000円だから65万円のCEV補助金を受ければ449万2000円で買える。航続距離435kmに不安があれば、77kWh/617kmのProが用意されているが、こちらは648万8000円、400万円台では手に入らない。
PEUGEOT e-208 Allure 469万4000円
CセグではなくBセグのBEVもある。プジョーe-208はその代表格だ。全長×全幅×全高:4095mm×1745mm×1465mmというボディサイズは、シティカーとしての素質がある。バッテリー容量50kWhで395kmの航続距離は、やや小さい・短いがCEV補助金を受ければ、ほぼ400万円で買える。
ヒョンデIONIQ5 Voyage 519万円
ヒョンデの意欲作のIONIQ5は、他のどのクルマにも似ていないスタイルが魅力だ。ただし、サイズは全幅が1890mm、ホイールベースが3000mmと、なかなか大きい。ボヤージュのRWD(ヒョンデのE-GMPプラットフォームも基本はRWDだ)は72.6kWhのバッテリーで618kmの航続距離を誇る。価格と航続距離のバランスを考えたら極めて高いコストパフォーマンスを持つ。エントリーグレードは58kWhで498km、車両価格は479万円だ。これならCEV補助金を受ければ414万円で購入できる。
BYD ATTO3 440万円
中国から日本に上陸を果たしたBYD。その先陣がATTO3だ。バッテリーメーカーでもあるBYDが独自開発したブレードバッテリーを搭載したBEV専用プラットフォーム「e-Platform3.0」を採用している。58.56kWhのバッテリー容量で485kmの航続距離を持つBEVの価格が440万円。しかも、国交省の型式承認を受けている。BYDの本気度が見てとれる。
テスラ・モデル3
このクラスのBEVのマーケットリーダーは、やはりテスラだ。その主力がModel 3だ。もっともプライスタグが軽いのはRWDモデルで、524万5600円だ。テスラには、「スーパーチャージャー」という独自の高出力急速充電器がある。価格的なメリットとともに、このスーパーチャージャーがテスラのストロングポイントだ。
PEUGEOT e-208 Allure | VW ID.4 Lite | ヒョンデIONIQ5 Voyage | BYD ATTO3 | テスラ モデル3 RWD | |
全長×全幅×全高(mm) | 4095×1745×1465mm | 4585×1850×1640mm | 4635×1890×1645mm | 4455×1875×1615mm | 4695×1850×1445mm |
ホイールベース(mm) | 2540mm | 2770mm | 3000mm | 2720mm | 2875mm |
バッテリー容量(kWh) | 50kWh | 52kWh | 72.6kWh | 58.56kWh | 54kWh |
駆動方式 | FWD | RWD | RWD | FWD | RWD |
WLTC一充電航続距離(km) | 395km | 435km | 618km | 480km | 565km |
モーター出力 | 100kW(136ps)/260Nm | 125kW(170ps)/310Nm | 160kW(217ps)/350Nm | 150kW(204ps)/310Nm | 298kW/353Nm |
車両重量 | 1500kg | 1950kg | 1950kg | 1750kg | 1760kg |
車両価格 | 469万4000円 | 514万2000円 | 519万円 | 440万円 | 524万5600円 |
経産省のCEV補助金 | 65万円 | 65万円 | 85万円 | 65万円 | 65万円 |
実質車両価格 | 404万4000円 | 449万2000円 | 454万円 | 375万円 | 459万5600円 |
小さくてカワイイBEVもある
ファーストカーではなく、セカンドカー的に使いたい。だから小さくて個性的なBEVがいい、というニーズもある。航続距離も300kmくらいあれば充分。となると、選択肢はこの2台だ。
フィアット500e ICON 522万円
歴代チンクエチェントから受け継いだアイコニックなデザイン、コンパクトなサイズ(全長×全幅×全高:3630mm×1685mm×1530mm)を持つのが、フィアット初の新世代の電気自動車フィアット「500e」だ。
オープントップの「OPEN」(536万円)も設定する。335kmの航続距離は長くはないが、シティユースなら充分だ。
Honda e Advance 495万円
ホンダのHonda eは、ホンダらしさが詰まったコンパクトBEVだ。駆動方式はRWD。つまり、専用プラットフォームを使ったBEVだ。個性的な外観とキビキビした走り、最小回転半径4.3mという軽自動車並みの小回り性、サイドビューカメラなど、話題も満載だ。ただし、一充電航続距離が259kmで、実走行では200km弱というのが玉に瑕。シティユースに割り切れば、これほど楽しくカワイイBEVはない。
FIAT 500e ICON | Honda e Advance | |
全長×全幅×全高(mm) | 3630×1685×1530mm | 3895×1750×1510mm |
ホイールベース(mm) | 2320mm | 2530mm |
バッテリー容量(kWh) | 42kWh | 35.5kWh |
駆動方式 | FWD | RWD |
WLTC一充電航続距離(km) | 335km | 259km |
モーター出力 | 87kW(118ps)/220Nm | 113kW(154ps)/315Nm |
車両重量 | 1330kg | 1540kg |
車両価格 | 522万円 | 495万円 |
経産省のCEV補助金 | 45万円 | 55万1000円 |
実質車両価格 | 477万円 | 439万9000円 |