スズキが静岡大学とマイクロプラスチック判別技術の共同研究を開始。タンパク質のプラスチックへの吸着特性活かす

静岡大学
スズキはこのほど、静岡大学とタンパク質のプラスチックへの吸着特性を活かしたマイクロプラスチックの判別技術に関する共同研究契約を締結したことを発表した。

回収したマイクロプラスチックにタンパク質を吸着、着色させることで、正確かつ短時間でプラスチックの特定および同種類の判別が可能

スズキは「スズキクリーンオーシャンプロジェクト」の一環として、船外機に搭載可能なマイクロプラスチック回収装置(以下MPC)を開発し、昨年7月から一部機種へ標準搭載し、販売を開始。MPCで回収された物質を分析し、商品力向上に向けた開発も継続している。回収物には、マイクロプラスチックの他に砂や木くず、微小な海洋生物なども含まれており、手作業と目視による分別には経験やスキルを要する。また、国内外のモニタリングポイントで回収物を分析せず、本社で分析しており、効率改善が課題となっている。

静岡大学は、微生物が持つ酵素やタンパク質を活用する研究に強みを持ち、その領域として、タンパク質の吸着特性についての知見がある。スズキのマリン技術センターの担当が、この研究や知見に興味を持ったことがきっかけで、今回の共同研究につながった。

研究が行なわれる研究室の様子

この研究で使用するタンパク質はプラスチックに吸着し、着色させるという特性がある。また、タンパク質とプラスチックの組み合わせにより色も違いがでる。この特性を活かし、MPCで回収したマイクロプラスチックにタンパク質を吸着、着色させることで、正確かつ短時間でプラスチックの特定および同種類の判別が可能となる。また、画像認識により、国内外のモニタリングポイントからもデータ入手が容易となり、タイムリーな開発につながると同社では考えている。

MPC搭載の船外機ユーザーからは、「自分で回収したマイクロプラスチックの量を簡単に把握したい」との要望があがっている。将来的に、この判別技術を実用化することで、プラスチックの回収量や種類を画像認識で可視化することができ、海洋プラスチックごみ削減の取り組みがより身近に感じられるものになると同社では期待を込める。

このたびの共同研究に際して、スズキの三嶋秀一マリン事業部長は「静岡大学様との共同研究を通じて、マイクロプラスチックの判別技術を取得し、海洋環境保護に対するお客様の関心と取り組みのサポートや、海洋環境の改善に貢献してまいります」と述べている。

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