オートサロンの会場に「ジムニー5ドア」が隠れていた!生産国から直輸入の激レア車両【東京オートサロン2024】

日本未発売のジムニー5ドア
1月12日から14日まで千葉県・幕張メッセで開催されている「東京オートサロン2024」には、893台の個性豊かなカスタムカーが展示されているが、その中の1台に日本未導入の「ジムニー5ドア」を発見した!

TEXT&PHOTO:山崎友貴(YAMAZAKI Tomotaka)

会場内にサラッと佇むジムニー5ドア

日本未導入のジムニー5ドアを東京オートサロンの会場で発見した。

ここ数年の間でも、最も華々しい雰囲気に包まれている「東京オートサロン2024」。コロナ禍前と遜色ないほど来場者も増えて、会場には国際色豊かな人々で溢れかえっている。

カスタムカーのカテゴリーは、スポーツカー、ラグジュアリーカー、SUV、商用車と様々だが、ここ数年で完全に市場を形成したのがジムニーだ。ジムニーのカスタム業界は80年代から存在しているが、現行型ジムニーが登場した直後から老舗と言われるカスタムビルダー以外にも、新進の企業が多数参入してきている。

ただ、現行型ジムニーがクラシカルであることもあって、そのカスタムメニューは80年代と大差ない。むしろ先代型よりも“逆行”しているとも言え、四駆ブーム時代にスタンダードだった手法が続々と復活している。

メルセデス・ベンツGクラスを完全コピーしたようなジムニーのカスタムカーも存在する。

日本発売は未定のジムニー5ドアがオートサロンの会場に!

いずれにせよ益々盛況なジムニー業界だが、ユーザーもプロも待ち望んでいるのが「ジムニー5ドア(ジムニーXLとも)」の日本導入である。ちょうど1年前にインドで発表されて以来、発売はまだかまだかと気を揉まされ続けているジムニー5ドアだが、スズキの反応は以前冷静だ。

そもそも、発売から5年を経過した今でも、AT車は2年待ちという状態になっていることは、以前にこのサイトでお伝えした。この納期が改善されない限り、5ドアの導入はあり得ないというのがメーカーの姿勢であり、それも当然のことだと思う。

そんな中、この東京オートサロン2024の会場に、突如ジムニー5ドアが登場したのである。展示したのは、並行輸入車販売を行っているアクセルオートコーポレーション。どこから輸入にしたのは明かされなかったが、オーストラリアからではないということなので、あの“生産国”であることは間違いない。この個体、日本のユーザーの目に直に触れるのは初めてだと思う。

会場の中央部分に位置するブースだったので、それほどカスタムもされていないジムニーをなぜ展示しているんだろう…などと通り過ぎそうになったのだが、違和感を感じて見直すと、なんとリアドアが付いている。紛れもなく5ドアモデルである。散々、写真や動画ではチェックしてきたが、やはり実際に見ると3ドアモデルよりも明らかに大きい。

アクセルオートコーポレーションにより輸入されたジムニー5ドア。実物は国内仕様の3ドアより大きい。

特に運転席から後ろは思っていたよりも広く、その実用性は3ドアモデルを凌ぐことが外観からだけで分かる。リアドアは思ったよりも大きく、開口部が広いため乗降がしやすい。もちろん、3ナンバーSUVほどではないが、これであれば家族から文句が出ることもないだろう。

運転席は広く、インパネ中央には大型モニターを備える。

後席は基本的に3ドアモデルと同等だが、レッグスペースがきちんと確保されていることから、ロングドライブにも耐えられる空間が確保されている。きちんと測ったわけではないが、もしかすると座面面積が少し広げられているかもしれない。さらに後席には若干だがリクライニングする機能も付いており、これも快適性に寄与している。

5ドア化により後席の居住性は格段に向上したように見える。

後席のヘッドレストは5ドアで見直され、一番下に下げた時にシートバック側にヘッドレストが潜り込むようになった。これも、リアシートを倒した時に従来型のようにヘッドレストを外さなくてもいいように改善されたとも想像される。従来モデルでは後部を荷室として使う場合に、ヘッドレストの置き場所に困っていたので、これは歓迎すべきトピックスだ。

荷室は当然ながら面積が拡大されており、バッグを置くのもやっとという3ドアモデルとは違う。4人乗車であっても、1泊2日のバッグであれば人数積めるスペースが確保された。一方で、3ドアモデルではホイールハウスの出っ張りが皆無だったのだが、5ドアでは後席開口部を確保するために、荷室内にそれが移動した。それを差し引いたとしても、やはり5ドアの荷室は広い。

当選ながら5ドア化の恩恵は荷室にも表れている。4人乗車であっても1泊2日程度の荷物であれば人数積めるスペースが確保されている。

今回はチェックできなかったが、前席と後席を倒して、ベッドモードにしたらどれほどの長さになるかも確認してみたかった。現行型では身長180cmの場合、頭か足のどちらかが車内に当たってしまっていたが、おそらくそれはなさそうだ。

日本導入の時期はいつになるのか?

3ドアモデルとの大きな違いは、フロントグリルの色、大型モニターだが、リアドアが付いたことで、フロアトンネル部分にリアウインドゥ用スイッチが追加された。また、シートヒーター用と見られる2個のグロメットも付いている。そのため、ドリンクホルダーは従来よりも後方に移動。完全に後席用となっている。それなのに、前席用は新たに設けられていない。これは、日本導入時にはぜひとも考えていただきたいポイントだ。

シートヒーターのスイッチやドリンクホルダーの位置変更など、3ドアと微妙な部分が変化してる。

その他、リアゲートにはパートタイム4WDシステムの海外呼称である「オールグリップPRO」のバッジが貼られているが、もちろんこれは並行輸入車だからだ。車両にはショウワガレージ製のルーフラックやオフロードタイヤが履かされていたが、もちろんこれはショー用のカスタムだ。

ちなみに、この車両は生産証明書や技術基準適合証明書といった類の書類が付いてこなかったため、現在は日本で登録することができない。どのように登録できるようにするか、今後検討していく予定だという。その費用によっては、もしかするとかなり高額なプライスになる可能性もある。

これは蛇足だが、巷では2024年末から2025年始めに日本導入されるかもしれないという噂がにわかに流れている。一説によると、ダイハツ問題で大量に余ったAT部品がジムニー用に流れて、生産ピッチが速まるかもしれないというのである。しかしCAFE総量規制のことを考えると、そうそううまくいくのだろうか。

いずれにせよ、来る日本導入の日に向けてオートサロンの会場で同車を十二分にチェックし、購入を検討するのもいいだろう。

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著者プロフィール

山崎友貴 近影

山崎友貴

SUV生活研究家、フリーエディター。スキー専門誌、四輪駆動車誌編集部を経て独立し、多ジャンルの雑誌・書…