日産「シーマ」のハイブリッド専用モデルが735万円でデビュー。この5代目が最後のモデルに【今日は何の日?4月25日】

5代目シーマ
5代目シーマ
一年365日。毎日が何かの記念日である。本日4月25日は、日産自動車の最高級セダン「シーマ」の5代目が、ハイブリッド専用モデルとなって誕生した日だ。シーマは1988年に誕生し、“シーマ現象”という新語を生み出すほどの人気を獲得した名車だが、この5代目を最後にして終焉を迎えた。
TEXT:竹村 純(Jun TAKEMURA)

最後のシーマは、環境性能に配慮したハイブリッド専用モデル

2012年(平成24)年4月25日、日産自動車の5代目「シーマ」がデビュー。バブル真っただ中の1988年に誕生した初代シーマは、高価な高級車でありながら年間36000台以上を売り上げた歴史的なヒットモデルだが、5代目最後のシーマは、環境性能を意識したハイブリッド専用モデルだった。

5代目シーマ
5代目シーマ

高価ながら爆発的なヒットでバブル時代の頂点に立ったシーマ

初代シーマ
1988年に誕生した初代「シーマ」。バブル時代の象徴的なクルマとして歴史的なヒットモデルとなった

初代シーマ(FY31型)は、日産の高級車「セドリック/グロリア」のさらなる上級モデルとして1988年に誕生した。
セドリック/グロリアの重厚な角張ったフォルムを曲面基調に変更、さらにハードトップにすることでスポーティさをアピール。
エンジンは、当時最強レベルの255psを発生する3.0L V6 DOHCセラミックターボエンジンと同NAエンジンを搭載。さらに電子制御エアサスペンションの採用など、高級セダンながらスポーティな走りも魅力だった。

シーマが登場した1980年代後半は、日本では空前のバブル景気の真っただ中。信じ難いが“高価なモノが売れる”、“高価でないと売れない”時代だった。シーマは400万~500万円と高価格でありながら、何と1年間で36000台以上が売れた。ちなみに、当時の大卒初任給は15.8万円程度(現在は約23万円)なので、単純計算で今なら580万~730万円に相当する。

その人気ぶりに“シーマ現象”という新語が生まれ、社会現象にもなったハイソカー(スポーティな高級セダン)の象徴的存在だったのだ。

3代目以降は、インフィニティQ45をシーマとして国内で販売

1991年にモデルチェンジした2代目シーマ(FY32型)は、4ドアハードトップから4ドアセダンに変更され、エンジンも4.1L V8 DOHCエンジンが追加されるなど、初代の高級感に磨きがかけられた。

インフィニティQ45
1989年に誕生した「インフィニティQ45」

その2年前、1989年に米国で日産の高級車ブランドであるインフィニティが設立され、最初の大型高級車として「インフィニティQ45」がデビューし日本でも販売されたが、Q45の2代目、3代目はシーマに統合され、日本ではそれぞれ3代目シーマ(FY33型、1996年~)、4代目シーマ(F50型、2001年~)として販売された。

以上のように、3代目以降はインフィニティの高級セダンQ45を国内でシーマとして販売したが、1992年のバブル崩壊とともに、さすがのシーマの勢いも急減速してしまった。

5代目でハイブリッド専用車となるが、ついに生産終了

そして2012年に登場した5代目シーマ(Y51型)は、当時のインフィニティのフラッグシップ「インフィニティQ70」のロングホイールモデルで、最大の特徴はハイブリッド専用モデルになったこと。

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2012年にデビューし、ハイブリッド専用モデルとなった5代目「シーマ」

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5代目シーマ

パワートレインは、それまでの4.5L V8 DOHCエンジンから、3.5L V6 DOHCエンジンとモーターを組み合わせた1モーター2クラッチ方式のFR用ハイブリッドに変更。環境技術への要求が高まる中で、高級FRセダンのシーマも燃費低減の要求に対応した形だ。車両価格は、標準仕様で735万円、VIP仕様787.5万円、VIP G仕様840万円とフラッグシップらしく高価な設定だった。
5代目シーマは、三菱自動車にディグニティとしてOEM供給したり、予防安全技術の強化などによって台数確保を図ったものの大幅に販売台数を落とし、ついに2022年8月に生産を終了した。

5代目シーマ
5代目「シーマ」に搭載のハイブリッド(インテリジェントデュアルクラッチコントロール)
三菱「ディグニティ」
2012年にデビューした三菱「ディグニティ」(5代目「シーマ」のOEM車)

かつて一世を風靡したスポーティな高級セダンのシーマだが、5代目をもって生産を終えた。シーマと言えどもSUV全盛の今、結局その勢いを取り戻すことができなかった。残るもう一つのフラッグシップであるスカイラインに期待したいところだが、そのスカイラインも存続が不透明な状況が続いており、心配だ。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。

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著者プロフィール

竹村 純 近影

竹村 純

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までを…