DUNLOP DIREZZA β02の性能を引き出すべく、チーム・ドルーピーのGR86がエンジンを変更。そして“のむけんジュニア”野村圭市がD1GPに初登場!【MOTOR FAN FESTA D1GP ROUND ZERO】

2024年「グランツーリスモD1グランプリシリーズ」開幕を前にしたエキシビションマッチが、4月21日に富士スピードウェイで行なわれたイベント「モーターファンフェスタ」のコンテンツとして開催された。そこには、今年D1GPに初参戦となる野村圭市のスカイラインと、エンジンを変更してより上位を目指すドルーピーのGR86もエントリー。ファンの前で2024年仕様をお披露目した。

Photo:サンプロスD1事務局

公式戦ではなく、プレシーズンマッチといった形で行なわれたD1GPラウンドゼロ。エントリーは19台で、単走で選抜された8台で追走を行なうというコンパクトな形式で開催された。ダンロップ勢は、ドルーピーの2台のうち石川隼也が乗るHT DUNLOP 86(GR86)のみがエントリー。そして、今季D1GPにステップアップした野村圭市のスカイラインも参戦した。

そして会場となった富士スピードウェイのピットに現れたドルーピーのGR86には、昨年とは異なるエンジンが!

昨年までV6エンジンが載っていたエンジンルームには、直6エンジンが搭載されている。

昨年、チーム・ドルーピーのGR86には、3.5LのV6エンジンである2GRが搭載されていた。DIREZZA β02の285/35-18という新サイズが投入され、タイヤの戦闘力が上がったドルーピーのGR86はシーズン後半にかけて成績を上げていき、第9戦では単走優勝、総合3位という結果を残した。いっぽうで、第8戦、第9戦と、2JZエンジンを積む中村直樹にパワー差で負けた場面もあった。ドルーピーはこれまでD1GPでもほかに使っているチームがない2GRエンジンにこだわってきたが、ここから100ps、200psのパワーアップは2GRのままでは現実的ではないということから、より大きなパワーが狙える直列6気筒の2JZエンジンへの変更を決断したのだ。また、トランスミッションもこれまで使っていたHパターンのものから、アルビンス6速シーケンシャルミッションに変更してきた。

このラウンドの前にテスト1回と岡山でのイベントで1回走行したドライバーの石川は「エンジンのポテンシャルがちがう。パワーがちがう。去年よりずっといいです。いい手応えです」とのこと。

「このエンジンなら去年以上に行けます!」と意気込むドライバーの石川隼也。

しかし、じつはこのラウンドゼロの直前のイベント時にマシンにトラブルが発生していた。それを直しきれておらず、このラウンドゼロでも練習走行で2周走ったのちに同じトラブルが発生。「5000rpmを超えると、ストンと回転が落ちて、もうなにをしてもフケなくなっちゃうんです。エンジンをかけなおすといったん直るんですけど、また同じことの繰り返しで」(石川)

チームは電装系などさまざまなところをチェックしてみたが、原因は判明せず、単走本番前にコースインはしたものの、同じ症状が出てしまい、出走できずに終わった。

今シーズンもGR86を駆ってD1GPに挑む石川。ラウンドゼロではエンジントラブルに見舞われた。

残念な結果には終わったが、リタイア後に松岡監督に話を聞いた。
「この前のイベントの最後にトラブルが出たんだけど、同時にパワステのトラブルも出たもんだから、ちょっと混乱してしまっていたのが対策できていなかった理由です。まだ原因がわかってないんで、ゴールデンウィーク返上で、奥伊吹に向けてがんばるしかないでしょう。このエンジン、ミッションの変更は、去年の最終戦で浮き彫りになった課題に対策するための手段だったんでね。もう今年は勝つことを大前提に向き合うっていうのがテーマなので、どこかで1個ぐらいは勝ちたいなと思ってます。なんとかこのメンバーでひとつ勝ちたい。ドライバーの石川はもちろん、メカニックやエンジニアもみんな一生懸命長い期間がんばってきたんで、そしてダンロップさんも285サイズという武器を与えてくれたんで、もう十分戦えると今年は考えてますから、勝ちに行きますよ!」

エンジンを換装したHT DUNLOP 86の走りは、今回は見られなかったが、開幕戦の奥伊吹では本領発揮してくれるにちがいない。

メカニックの作業を見守るドルーピー松岡監督。

そして、今回エントリーしていたもう1台のダンロップ勢は、D1GPのカテゴリーで初の出走となった野村圭市。かつてダンロップのエースドライバーとして活躍したスーパースター“のむけん”こと野村謙氏の息子だ。D1GPの下部カテゴリーであるD1ライツをダンロップタイヤで戦い、好成績を残してD1GPへステップアップしてきた。

車両はD1ライツのときと同じR34型スカイラインの2ドアモデルを、D1GPに向けてモディファイしたもの。ただ現状のエンジンはD1ライツのときから変更はなく、700psとD1GP車両としてはやや非力だ。

そんな状態で出走したラウンドゼロ、単走の1本目は振り返してからのヘヤピンコーナーで飛び出しそうになったこともあってドリフトが戻ってしまった。2本目は100Rをスピードにのせて飛び出してきたものの、こんどはラインが手前すぎてヘヤピンの奥までドリフトを届かせることができず角度が浅くなって、追走トーナメント進出はならなかった。

追走進出はならなかった野村だが、車両が仕上がればより走りの幅は広がるはずだ。

走行後の野村に話を聞いた。

「ぜんぜんやれそうな感じはしたんですけど、やっぱりちょっとパワー不足と、 あとはクルマのセットアップへの慣れがまだ足りてなかったかなと思います。ファイナルの選択で重くしすぎちゃいました。ちょっと研究と練習不足でした。パワーはもう少し欲しいですね。開幕戦までに時間は限られてるんで、とりあえず最低限D1GPの規則に合わせて完全にクルマを仕上げて、さらに時間があればもっと欲しいところを作っていきたい思います。それからタイヤはD1ライツのときは265までの制限だったんで、285幅を今回初めて履いたんですけど、よりタイヤの外側も使えるから、エア調整の幅がより広がって使うこともできる感じで、グリップはずっといいですね。D1GPも、このタイヤなら行けそうです!」

なお高速コースでパワーが必要になる筑波サーキットでのラウンドまでには、タービンを換装して、大幅にパワーアップさせる計画だ。

昨年までのチーム・ドルーピー2台に、野村圭市のスカイラインも加わって3台になったダンロップ勢、今シーズンは昨年よりも活躍してくれることはまちがいなさそうだ。

D1ライツで腕を磨き、D1GPへステップアップしてきた野村圭市。マシンは2ドアのスカイラインだ。

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