スカイラインは日産自動車が発売する中型自動車です。その10代目にあたる、R34型と呼ばれるスカイラインは、1998年(平成10年)5月に登場しました。先代のR33型よりもボディのサイズを縮小してフットワークに優れた運動性能を獲得しながらも、車内はR33型と遜色のない広さを実現しているのが特徴です。
このスカイラインの中でも、自動車レースでの使用を主な目的として開発された高性能版車種には代々、「GT-R」のグレード名が与えられてきており(「GT-R」が存在しない代もあります)、簡単に言うならば「最も走るのが速いスカイライン」のことを指しています。R34型のスカイラインGT-R(BNR34型)は1999年(平成11年)1月にデビューしました。
埼玉県警ではそのBNR34型スカイラインGT-Rを高速道路交通警察隊のパトロールカーに採用しました。スカイラインGT-Rは代々、自動車レースで活躍してきており、日本でもトップクラスの速さを誇っています。つまり、どんなクルマも逃がさないパトカーなのです。
高速道路交通警察隊のパトロールカーは、スピード違反車両を逃がさないために、町中でよく目にする自動車警ら隊や所轄署のパトカーに比べて速く、走行性能が高くなくてはならないのです。8ナンバーがついているので特殊な改造が施されているように見えますが、実は基本的には市販車両と変わりはありません。
この埼玉県警が採用したパトロールカーも、実は市販車とそうそう変わりはありません。しかし、その市販車の仕様が非常に高く、2000年(平成12年)8月に登場した、量産車として初となるNACAダクト付きカーボン製エンジンフードやアルミ製ペダルが採用されたV-スペックIIをもとにしています。
現在では「GT-R」という独立した車種となったため、「スカイラインGT-R」としては、このBNR34型が最後となります。高速パトロールカーもまた、栃木県警のように新しい「GT-R」を採用するところが出てきています。
この11月20に今までの「日産エクストレイル 消防指揮車」に替わって新たにトミカのNo.1となる「日産 スカイライン GT-R (BNR34)パトロールカー」は、この埼玉県警高速道路交通警察隊のパトロールカーをモデルにしています。ボンネットの上に立てられた、「バグガード」と呼ばれる透明板も再現されています。この「バグガード」はフロントガラスに虫や小石が衝突するのを防ぐために付けられている装備で、日本では高速パトロールカーならではのものと言えるでしょう。しかし最近では、衝突安全性を高めるため、この「バグガード」を装備しなくなってきていると言われます。
また、町中で見かけるパトロールカーには、昇降機付きの背の高い赤色回転灯が取り付けられているのに対し、高速パトロールカーには、屋根の上に直接、赤色回転灯が取り付けられているのが特徴です。これは高いスピードを出すために空力性能を高めるためと言われますが、空力性能の向上によって走行安定性を高めることで、乗っている隊員の安全性を高めるという目的もあるそうです。
■日産 BNR34型スカイラインGT-R Vスペック-Ⅱ主要諸元(パトロールカーのものではありません)
全長×全幅×全高(mm):4600×1785×1360
ホイールベース(mm):2665
トレッド(前/後・mm) :1480/1490
車両重量(kg):1560
エンジン:RB26DETT型(直列6気筒DOHCインタークーラー付ツインターボ
排気量(cc):2568
最高出力:206kW(280ps)/6800rpm
最大トルク:392Nm(40.0kgm)/4400rpm
サスペンション(前/後):マルチリンク/マルチリンク
ブレーキ(前/後) :ベンチレーテッドディスク/ベンチレーテッドディスク
タイヤ:245/40ZR18