【今こそオリジナルで乗る!80-90年代車再発見】 人気刑事ドラマの影響で、あえて選んだ1988年式・日産スカイライン4ドアHT GTパサージュ ツインカム24Vターボ ~G-ワークス・2024年6月号より~

ハイソカーを意識してモデルチェンジされた7代目はスカイラインらしくないことから不人気に陥ることに。
起死回生を図りマイナーチェンジして人気を取り戻す。
ここでは人気刑事ドラマに感化され、あえて人気のGTSではないノーマル4HTを入手したオーナーをご紹介!

G-ワークス2024年6月号掲載

GTS-R人気の陰でドラマの劇中車にもなった

 80年代といえばハイソカーやデートカーなど、女性を意識した開発が進んだ時代。ところが硬派を貫く日産は遅れを取り、85年にモデルチェンジした7代目スカイラインでハイソカー風に変身。しかもセダンと4ドアハードトップのみで2ドアは用意されなかったことから大きく評価を落とす。

そこで従来通りの路線へ戻すべく、発売1年後の86年に2ドアクーペGTSを追加する。顔つきも従来のスカイラインらしさを取り戻し、「エリーゼのために」を編曲したテレビCMとともに人気を取り戻すことになる。その翌年にはマイナーチェンジが実施され、4ドアにも2ドアと共通デザインを採用。また、量産車世界初のプロジェクターヘッドライトを新設定して精悍な顔付きを取り戻す。

この時の目玉はグループAの規定台数である800台限定で発売された2ドアのGTS-R。いわばR32 GT-Rの布石であり、ツーリングカーレースで活躍した。

R31の人気はGTS-Rに集中。数が少ないため、2ドアGTSをカスタムする例が多いのだが、ここではテレビドラマに起用されたことで4ドアHTに夢中になってしまった安藤さんを紹介しよう。

1985年8月にフルモデルチェンジして7代目になったスカイライン。「ジャパン」「ニューマン」に続き、当時は「7thスカイライン(セブンス・スカイライン)」という呼び方をしていた。GT系には新世代6気筒のRB型が採用され、4気筒シリーズはCAエンジンを用意。セダンとハードトップのほか、86年に追加された2ドアクーペとワゴンをラインナップ。主査が桜井眞一郎から伊藤修令に変わった。

何台も乗り継いで辿り着いた理想形

 パサージュターボのオーナーは32歳の若い世代。なぜR31だったのかと聞けば「叔父さんが当時乗っていました。同じ頃、再放送でドラマ『あぶない刑事』が放映されていて、R31が劇中車として登場するんです。」ドラマを見て「叔父さんと同じクルマだ!」と一気に惚れ込んでしまったそうなのだ。「あぶない刑事」といえばレパードという印象なのだが、R31も覆面仕様で起用されていたのだ。

それからはR31一筋。20歳そこそこで2ドアクーペGTSを手に入れたが、劇中車は4ドアなので気長に探していた。すると10年前に5速MT車を見つけて購入。さらに初代セフィーロも手に入れたため2ドアは手放した。

さらに軽自動車も持っていたので立派な旧車マニアという感じの安藤さん。ところがある時、インターネットオークションに1台のパサージュが出品された。それがこの個体で、当時は練馬の2桁ナンバーがついていた。走行距離は7万キロ台で値段も格安だったため、一発落札。念願の劇中車と同じ仕様を手に入れたのだ。

だが実は劇中車はターボではなくNA。そこで顔面をNA仕様にカスタムして見た目だけ同じようにしている。インタークーラーのダクトの有無など細かな違いがあるのだ。そこでオークションで地道に部品を揃えた。さらには塗装がくたびれていたので、レンタルガレージで自家塗装した。

エンジン

RB20DET型は190ps

L型に変わる新世代6気筒であるRBエンジン。パサージュターボにはツインカムターボが採用され、87年のマイナーチェンジでパワーアップ。

フロントカバーの見えやすい位置に新世代6気筒であることを示すロゴが入る
熱への耐久性を上げるため非金属を焼結させたセラミックをタービンに採用

室内

当時は絶壁のようだと比喩された直線基調のインパネ。

ほぼフルノーマルで劇中車らしく無線を装備購入から7年で5万キロほど走った。7000からレッドのタコで最高出力は6400rpm
モケットのフロントシートは傷みが少なく運転席左座面にヤレがあるだけ。ヘッドレストは別体になる。
あまり人を乗せたことがなさそうなリヤシートは極上レベル。中央にアームレストがある

キーワードで検索する

著者プロフィール

G-WORKS編集部 近影

G-WORKS編集部