ホンダ「バモス」がワンボックスに変貌! 2代目は広い室内空間を実現したミッドシップレイアウトで109.5万円~【今日は何の日?6月25日】

ホンダ・バモス
1999年にデビューしたホンダ2代目「バモス」。MRレイアウトによって、広い室内・荷室を確保したワンボックス
一年365日。毎日が何かの記念日である。本日6月25日は、軽ワンボックスながらMR(ミッドシップエンジン・ミッドシップドライブ)を採用したホンダの2代目「バモス」が誕生した日だ。広い室内空間と荷室空間を実現し、様々な場面で使えるマルチパーパスの軽ワンボックスとして人気を獲得した
TEXT:竹村 純(Jun TAKEMURA)/PHOTO:三栄・すべてシリーズ

■MRレイアウトの特徴を生かしたオールマイティな軽ワンボックス

1999(平成11)年6月25日、ホンダからMRレイアウトを採用した軽ワンボックスの2代目「バモス」がデビュー。バモスは、1970年に登場した初代「バモスホンダ」に続く2代目だが、広い室内・荷室空間を利用した便利で楽しい、オールマイティな軽ワンボッスだ。

ホンダ・バモス
ホンダ・バモス
ホンダ・バモス
ホンダ・バモスのリヤビュー

●楽しむクルマとして開発されたフルオープンの初代バモスホンダ

バモスホンダ
1970年に誕生したホンダ初代「バモスホンダ」。ユニークなオープンなスタイリングが話題に

1970年、“安価で楽しく遊べる小型車”というコンセプトのもと、ユニークな軽商用車「バモスホンダ」がデビューした。コスト低減のため、シャシーやサスペンション、エンジンなどは、トラック「TN360」のものを流用し、フロアパンを残して全く異なるユニークなボディを組み合わせた。
ボディは、フラットフロアにフロントウインドウとヘッドライトを支えるフロントパネルを取り付けただけ。フロントのヘッドライトの間にスペアタイヤを収め、サイドドアがない1人乗りまたは4人乗りで大型の幌を装備したフルオープンを特徴とした。最大の特徴はMRレイアウトで、パワートレインは360cc空冷2気筒SOHCエンジンと4速MTの組み合わせだった。

ユニークさで話題になったバモスホンダだが、ホンダが1974年に軽自動車の生産からいったん撤退したため、バモスも約4年間の販売台数2530台で生産を終えた。

●26年ぶりに復活した2代目バモスはワンボックスワゴンに変貌

ホンダ・バモス
ホンダ・バモス

2代目バモスは、1999年に商用車「アクティバン」がモデルチェンジした際に、派生の乗用車バージョンとして復活した。楽しさを追求するマルチパーパスな軽自動車という点は初代と同じだが、MRレイアウト以外にハード面の共通点はなかった。

ホンダ・バモス
低いフラットフロアで余裕の居住スペースと荷室スペースを確保したホンダ「バモス」

一般的なワンボックスは、前席下にエンジンを搭載しているのに対して、バモスは660cc直3 OHCエンジンをリヤタイヤのやや前方に配置したMRレイアウトで、2WDと4WDが用意された。MRを生かした広い車室と荷室空間を確保し、さらに前後席ともに低いフラットなフロアが実現されるので車中泊も可能だった。

ホンダ・バモス
自転車2台も余裕で搭載できる荷室スペースのホンダ「バモス」

またバモスは、MRの特徴を生かし走行安定性やコーナリング性に優れ、様々な趣味に使えるマルチパーパスなワゴンとして人気を獲得した。ちなみに5速MT車と3速AT車のエンジンは横置きだったが、なんと4速AT車はスポーツカーのような縦置きだった。車両価格は109.5万~131.4万円、当時の大卒初任給は19.6万円程度(現在は約23万円)なので、単純計算では現在の価値で約128万~154万円に相当する。

ホンダ・バモス
ホンダ・バモスのコクピット

●N-VANにバトンタッチして大ヒット

バモスは、ターボの追加や2003年には様々なアレンジが可能な派生モデル「バモス・ホビオ」を発売するなど商品力強化を図ったが、2010年を過ぎると徐々にその個性も色あせ、人気は右肩下がりになった。それは、設計の古さが目立ち始めると共に、利便性や居住性により優れ、より新しい軽のハイトワゴンやスーパーハイトワゴンが市場を席巻したためだ。
結局、2代目バモスは2018年5月に生産を終了。その直後の7月に、バモスの実質的な後継車であるNシリーズの商用車「N-VAN」がデビューした。

ホンダ・バモス
ホンダ・バモスのインテリア
ホンダ・バモス
ホンダ・バモスのシートアレンジ

N-VANは、N-BOXをベースにしたFFでエンジンをボンネットに収めるボンネットバン。その特徴を生かし、フロアを低床化させて運転席を除いて車内全体がフラットな荷室になる画期的なレイアウトを実現。また、軽バン初の助手席側Bピラーレス構造により、助手席側に1580mmという広大な開口幅をもたらし、乗降性や積み下ろし性を大きく向上させたのも大きなストロングポイントだ。
N-VANは、乗用車感覚のワゴンとして、キャンプや車中泊などのニーズにも応えられる幅広い用途で使える個性的な商用バンとして人気を獲得し、今秋(2024年)には「N-VAN e:」の発売が予定されている。

ホンダ「N-VAN」
)2018年にデビューしたNシリーズのワンボックスワゴン、ホンダ「N-VAN」

・・・・・・・
ホンダのミッドシップ・レイアウトは、ホンダ初の4輪自動車「T360」から踏襲され、その後MRの優れた運動性能を生かしたスポーツモデルSシリーズやNSXで採用。一方で、商用車「アクティ」や「バモス」への採用は、広くフラットで使いやすい車室と荷室スペースを確保することを追求して生まれた実用性重視のMRなのだ。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。

キーワードで検索する

著者プロフィール

竹村 純 近影

竹村 純

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までを…