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■スタイリッシュさで新しいクラウンをアピールした15代目
2018(平成30)年6月26日、トヨタ「クラウン」がモデルチェンジし15代目がデビューした。最大の特徴は、ユーザーの若返りを加速するためにスポーティなクーペ風スタイリングに変貌したこと、またトヨタが進めるコネクテッド技術など先進技術を積極的に採用したことだ。
●日本初の純国産乗用車として初代クラウン
1955年、日本初の本格乗用車として初代クラウン「トヨペットクラウン」がデビューした。当時のクルマは、GMやフォードの部品と技術を使って組み立てるだけの名ばかりの国産車だったが、トヨタが目指したのはあくまでの完全オリジナルの純国産車である。
トヨペットクラウンは、当時の最新技術を採用することで、優れた走りと乗り心地を実現。クルマの出来栄えは、当時の外国部品で組み立てたクルマより優れ、高い人気を獲得した。その後も、クラウンは日本を代表する高級セダンとして日本の自動車技術をリードし続けたが、1990年代以降はセダンの人気が低迷。クラウンは、2000年以降はユーザー層の拡大を狙って若返りを図った。
・11代目クラウン(1999~2003年)
若い世代にも目を向け、スポーツモデル「アスリート」、「マイルドハイブリッド」を搭載。
・12代目クラウン(2003~2008年)
過去のしがらみを捨て「ゼロクラウン」をコンセプトに、直列6気筒からV型6気筒へ変更。
・13代目クラウン(2008~2012年)
本格ハイブリッドや“プリクラッシュ・セーフティ”により、環境性能や安全技術を充実。
・14代目クラウン(2012~2018年)
デザインや内装、パワートレインなどすべてを刷新し、生まれ変わったクラウンをアピール。「ピンククラウン」も登場して話題となった。
●若返りを目指しクーペ風スタイルに変貌した15代目
2018年のこの日に登場した15代目クラウンは、キャッチコピーを“挑戦と革新を続ける初代コネクテッドカー”とし、ユーザーの若返りをさらに加速させ、6ライトウインドウを採用しクーペ風のスタイリングに変貌した。
トヨタの新しい設計思想「TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー」をベースに開発され、安全技術は第2世代“トヨタセーフティセンス”を標準装備。パワートレインについては、高効率のダイナミックフォースエンジンをベースにした2L 直4 直噴ターボエンジンと、2.5Lおよび3.5Lベースのハイブリッドと、3種が用意された。
車両価格は、2.0L直4 直噴ターボ仕様が460.6万~559.4万円、2.5L直4 HV仕様が497.9万~632.3万円、3.5L V6 HV仕様が623.7万~718.7万円で、先代に比べると概ね100万円高額となった。
●トヨタ初のコネクテッドシステムを搭載
15代目クラウンの先進技術で特に注目されたのは、車載通信機器などによって“つながるクルマ”を具現化したコネクテッドカーの第1弾となったことだ。
コネクテッドシステムとは、車内に装備した車載通信機器からコールセンターやディーラーなどにアクセスして様々な情報のやり取りができる技術である。具体的には、クルマの状態をドライバーに伝えて、メンテナンスのアドバイスや案内、エアバッグ展開(事故)時にコールセンターを介して警察・消防署への通報。さらに、ITS(高度道路交通システム)と連携して緊急車両の接近を教えてくれる、赤信号の警告、右折時に対向車や歩行者がいることを警告することもできる。
以上のように、優れた環境技術と安全技術、さらに伝統の上質の走りとともにスポーティさも加わった15代目だが、“セダン冬の時代”は深刻で、クラウンといえども販売は決して好調とは言えなかった。
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2023年に登場した16代目の新型クラウンの斬新なクーペ風スタイリングには驚かされたが、この本格的な若返りの動きは15代目から始まっていた。セダンをリードするクラウンが、従来の重厚なセダンから新しいセダンの形を提案しているのだ。
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