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Race to the the Clouds(雲へのレース)
パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム(以下PPIHC)は、アメリカで二番目に古いモータースポーツで第一回の開催は1916年である。アメリカで一番古いレースは、言わずと知れたインディ500(1911年初開催)だ。
別名「Race to the the Clouds(雲へのレース)」と言われるPPIHCは、標高差1440mを23.2kmで駆け上るヒルクライムだ。
これほど凄いコースかと言えば……
我らが箱根ターンパイク(現在は「アネスト岩田ターンパイク箱根」の名称)は総延長15.482km。標高差約1000mだ。
これに対してパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムのコースは
スタート地点の標高が2862m、ゴール地点が4302m。コースの長さは23.2km
最大上り勾配は10.5% 最大下り勾配は10.0%、平均勾配が7%だ。(これはレースのコース長で、パイクスピークの道路自体はもっと長い)
ちなみに、スタート地点の2900m弱で気圧は720hPa(地上が1013hPa)、酸素濃度は地上の71%。ゴール地点の4300mだとそれぞれ606hPa、60%である。富士山頂よりも高いところを駆け上るわけだ。
レース前にレンタカーで山頂まで走ったが、山頂でクルマを降りると、明らかに空気が薄く、すぐにフラッとした。いわゆる高山病の初期症状にすぐになってしまった。
コースレコードは?
現在のコースレコードは
フォルクスワーゲンI.D.Rオールエレクトリックプロトタイプの7分57秒148(ドライバー:ロマン・デュマ)
第一回のタイムはローマノ・スペシャルの20分55秒6だ(ドライバー:レア・レンツ)だ。
10分の壁を初めて突破したのが、2011年のモンスター田嶋こと田嶋伸博のスズキSX4(9分51秒278)
9分の壁は2013年にセバスチャン・ローブがプジョー208T16 Pikes Peakで破っている(8分13秒878)
2024年のウイナーは?
さて、そのPPIHC、2024年のレースで総合最速タイムを記録したのは、フォードF-150ライトニング・スーパートラックEVデモンストレーターだった、タイムは8分53秒553。クラスはパイクスピーク・オープン)。
F-150ライトニング・スーパートラックEVデモンストレーターは、フォード・デザインとSTARD Advanced Research and Developmentと共同開発され、時速150マイル(約241km/h)で6,000ポンド(約2722kg)のダウンフォースを発生する空力性能を持つ。モーターは、3基のSTARD UHP 6相モーターと超高性能リチウムポリマーNMCセルで構成され、最高出力は1400馬力以上だ。ドライバーはコースレコード保持者のロマン・デュマだ。
標高が高いと当然空気は薄くなる。ICE(エンジン)車は4300m地点では最高出力が30%もダウンしてしまうが、BEVならそうはならない(他の課題があるとしても)。
3位もBEVでダニエル・ソルドがドライブしたヒョンデIONIQ 5N TA Spec(エキジビジョン)の9分30秒852だった。
ホンダは、アキュラ・インテグラ タイプS DE5をタイムアタック1カテゴリー)に投入した。もちろん、エンジン車である。エンジンはシビックTYPE-Rと同じ2.0L直4ターボのK20C型。これを360psまでパワーアップしたものを積んでいる。トランスミッションは6速シーケンシャルだ。ドライバーは、インディシリーズにも参戦している女性ドライバー、キャサリン・レッジだ。
タイムは10分51秒359で総合27位となった。