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■若年層をターゲットした軽量コンパクトカーへと変貌した3代目
2007(平成30)年7月5日、マツダの3代目「デミオ」がデビューした。大ヒットした初代、正常進化した先代に対し、見た目も中身も大きく変わった3代目。それまでのファミリー層をターゲットにしたコンパクトカーから、軽量コンパクトになり、若者特に女性を意識したパーソナルカーへと変貌した。
●初代は、マツダ再生の一役を担ったコンパクトワゴン
マツダは、1991年に始まったバブル崩壊と国内販売網の拡大(5チャンネル化)の失敗によって経営危機に陥り、1996年にフォードの傘下に収まった。
フォード傘下となった直後にデビューした初代デミオの特徴は、当時人気を獲得していたミニバンとステーションワゴンを融合したような新しいスタイルのコンパクトワゴンだった。合理的なプラットフォームにより、コンパクトながら多彩なシートアレンジや広いラゲッジスペースを実現し、実用性と居住性を両立させたのだ。
シンプルでボクシーなスタイリングも新鮮で、ファミリー層だけでなく、ビジネス用途としても人気を獲得し、発売1ヶ月の受注は2万台を超え、発売後1年で生産台数10万台、約6年通算で47万台を販売する大ヒットとなった。
初代デミオは、まさしく苦境に喘いでいたマツダの救世主となり、復活の起爆剤となったのだ。
●2代目は、正常進化しボディを拡大
2代目デミオは、初代のキープコンセプトだが、パワートレインやサスペンション、ブレーキなどすべてを一新。ボディサイズが拡大され、ボクシーながらエッジを丸めたソフトなフォルムとなり、シート間隔を拡大したゆとりある室内空間と質感の向上がアピールポイントだった。
パワートレインは、パワーアップした新開発の1.3L&1.5L直4 DOHCエンジンと4速ATおよび5速MTの組み合わせ、駆動方式は当初FFのみだったが、途中から4WDも設定された。
2代目デミオも発売1ヶ月で1.5万台と好調に滑り出し、初代ほどではないが堅調に販売を増やし、初代から10年余りで100万台を突破した。
●3代目は、軽量コンパクトになり低燃費を実現
2007年のこの日、モデルチェンジで3代目デミオに移行。初代と先代のファミリーカー志向に対し、3代目はメインターゲットを若年層、特に女性にも気軽に運転が楽しめるコンパクトカーへと変貌した。
スタリングは、コンパクトワゴンからウェッジシェイプとなり、最大の特徴は100kgの軽量化や、ミラーサイクルエンジンの採用によりトップクラスの燃費を実現したこと。ボディ構造の見直しで22kg、リアシートの構造を簡素化して20kg、サスペンションで13kg、排気系で5kg、スピーカーで1kgなど、4WDを除けば車両重量は1000kg以下に収まっている。
パワートレインは、1.3L&1.5L直4 DOHC(一部グレードにはミラーサイクル搭載)、トランスミッションはマツダ登録車初のCVTおよび5速MTの組み合わせで、(ミラーサイクルエンジン+CVT)モデルは軽量化と相まって燃費はトップクラスの23km/L(10-15モード)を達成した。
車両価格は、1.3Lモデルが112.5万~155.425万円、燃費最良モデルは131万円。ちなみに当時の大卒初任給は、19.8万円程度(現在は約23万円)なので、131万円は単純計算では現在の価値で約152万円に相当する。
3代目デミオも、発売後1ヶ月の受注台数が1.5万台に達する好調な販売を記録した。
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その後、デミオは2011年にSKYACTIV-GやSKYACTIV-Dエンジンを搭載してさらに燃費を向上。2019年には車名を「MAZDA2」に変更し、グローバルモデルとして現在350万台超える、マツダの屋台骨を支える中核モデルとなっているのだ。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。