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ツール感を押し出す外装意匠 ガラスルーフもポイント
ダイハツ・タフトは軽自動車では貴重なクロスオーバーSUVである。現代の軽クロスオーバーSUVの元祖は2014年に初代が発売されたスズキ・ハスラーであり、タフトの発売が2代目ハスラーのさらに5ヵ月後だったことを考えると、初代ハスラーの成功を見て企画開発されたことは(デビュー時の開発陣は否定していたけれど)間違いないだろう。ただ、一方で後発商品として、独自の個性を打ち出しているのも事実だ。
エクステリア
ハスラーが走破性にこだわった4WDシステムや車中泊など、意外にも(失礼!)本格的なアウトドア性能を自慢とするのに対して、タフトはちょっと毛色が異なる。いわば、もう少しライトな遊び方に似合う。四角四面のデザインは根強いファンをもつネイキッドも彷彿とさせる、ゴツいツール感を押し出す。1630㎜という低めの全高も室内空間などの機能的な理由というより、ベルトラインからバランスのいいキャビンサイズが割り出された数値という。つまりデザイン重視。
乗降性
室内空間も個性的だ。後席にはスーパーハイトやハイトワゴンとしては常識のスライド機構がなく、かわりに折り畳んだときにピタリとフラットになり、リヤドアトリムもあえて凹凸のほとんどない造形として「後席を倒したときにいかに美しく使い勝手の高い荷室とするか」に徹底してこだわっている。ほかにも荷室内の各部に取り付けられる脱着式マルチフックや立てても使えるフロアボードも用意される。そんな荷室へのこだわりを強調すべく、キャビン後半部の内装色も、前席(=ブラック)とは異なるグレーとしている。
インストルメントパネル
そして、もうひとつのタフトならではの売りが、大面積ガラスルーフの「スカイフィールトップ」である。日本市場ではガラスルーフは伝統的に売れないというジンクスがあるが、それにあえて挑戦。しかも全車標準装備で、同トップなし仕様は選択できない。これもスカイフィールトップを手頃な価格で提供するため。標準ルーフの選択肢も用意すると設計や生産も一気に複雑になり、スカイフィールトップの生産数も少なくなってコストが上がるという。そんなスカイフィールトップは写真や言葉で想像するより開放感が高い。単に面積が大きいだけでなく、運転していても開放感が感じられるように、ルーフ前端ぎりぎりまでガラスが来る設計になっているからだ。
居住性
個性的なデザイン、荷室、そしてスカイフィールトップ……というタフトの三種の神器(?)を除けば、タフトのオフロード性能はハスラーにちょっと譲る。4WDシステムもムーヴやタント系のそれと変わらず、アプローチアングルやディパーチャーアングルもハスラーより少し劣る。
うれしい装備
月間販売台数 5184台(23年7月~12月平均値) 現行型発表 20年6月(一部改良 22年9月) WLTCモード燃費 21.4 ㎞/ℓ※自然吸気のFF車
ラゲッジルーム
とはいえ、190㎜という最低地上高はハスラーを僅かに凌いでおり、普通の人が日常生活や出先で遭遇するような雪道や段差、ちょっとした未舗装路程度なら、普通の乗用車よりは安心できるのはご想像のとおり。基本骨格はダイハツ最新のDNGAなので、走行性能にはなんら不足はないどころか、SUVらしい大径タイヤもあって、市街地の乗り心地はさらに快適なくらいだ。
※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.157「2024 軽自動車のすべて」の再構成です。