SUS(304)というニッケルを多く含んだ耐食性に優れたステンレス鋼板を採用
さらに塩害を防ぐ強力な特殊塗料を塗布して潮風の塩分から充電器を守る
潮風に含まれる塩分は、電気機器を腐食させたり劣化させたりして、機器の不具合の原因となる。THE HOTEL YAKUSHIMAは雄大な東シナ海を望む海岸沿いに建つホテルで、EV充電器の設置には塩害を防ぐ対策が必要だった。このたびアウディが自社開発したEV充電器用耐塩害ボックスには、SUS(304)というニッケルを多く含んだ耐食性に優れたステンレス鋼板を採用し、塩害を防ぐ強力な特殊塗料を塗布。潮風の塩分から充電器を守る。また、海岸沿いに吹く強い風にも耐えられるよう、充電器をアンカーボルトで強固に固定している。
その一方で、充電の利便性を損なわないよう、ボックス中央部に開口部を設けて充電ケーブルを通し、ボックスの扉を閉めたままでの充電を可能にした。開口部にはブラシを付けることで、充電時のケーブルの動きにも対応できるよう工夫されている。アウディは、充電器設置を拡大するにとどまらず、各地域の自然と共存できるような設備を整えることが、EVを普及させるうえでも大事なことであると認識し、専門家のアドバイスやガイドラインを参照して、このたびの設備を開発するに至った。
同ホテルでは、アウディの電気自動車e-tronのレンタカーサービスを運営しており、今回、耐塩害ボックス付き充電器を設置したことで、屋久島でのEVの利便性のさらなる向上が期待できる。
なお今回の取り組みは、アウディが、屋久島町、アウディ正規販売店を運営するファーレン九州(鹿児島県鹿児島市)と、2023年7月に締結した包括連携協定に基づくものだ。
アウディでは屋久島での取り組みのほかにも、独自の電動化戦略に基づき、BEVの利便性向上のために8kW普通充電器の設置を全国で進めており、6月末時点ですでに103カ所202基の設置が完了している。また、急速充電器としては、アウディ、フォルクスワーゲン、ポルシェのBEVオーナーを対象に提供する、最大150kWの急速充電ネットワーク、PCA(プレミアム チャージング アライアンス)を展開し、さらに都市部のユーザー向け蓄電池型超急速EV充電施設「アウディ チャージングハブ」の運営も行うなど、各地のニーズと環境に準じた充電ネットワークの拡充に努めている。