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■初代の弱点を解消するもオデッセイには敵わなかった2代目プレサージュ
2003(平成15)年7月24日、日産自動車からミニバン「プレサージュ」の2代目がデビューした。プレサージュは、1994年に登場して大ヒットしたホンダ「オデッセイ」に対抗する形で日産が放った上級ミニバン。初代を進化させた2代目だったが、オデッセイの牙城を崩すことはできなかった。
●オデッセイの対抗馬として登場した初代プレサージュ
1994年にデビューしたホンダの初代オデッセイは、それまでの商用車ベースのミニバンとは異なり、乗用車ベースで車高は低いが、3列シートの広い室内空間を確保した新世代ミニバン。約5年間で国内販売42万台を達成する大ヒットモデルとなり、ミニバンブームに火を付けた。
日産もオデッセイの人気に刺激を受け、4年後の1998年に初代プレサージュを投入。オデッセイより全高が75mmほど高いやや大きめのボディに、パワートレインは3.0L V6 DOHC、2.4L直4 DOHC、2.5L直4 DOHCターボの3機種と4速ATの組み合わせ、駆動方式はFFと4WDが用意された。
プレサージュは、エコノミー派からパワフル派までが満足できるエンジンラインナップで一定の評価は受けたものの、オデッセイの牙城を崩すには至らなかった。全高を抑えた乗用車感覚のオデッセイに対し、全高が高いプレサージュに多くの人が新鮮味を感じなかったのだ。
●初代の弱点解消のために低床化した2代目
2代目プレサージュは、初代の弱点であった高床による室内高不足を解消するために、新世代プラットフォームを開発し、低床化パッケージングを実現。これにより室内高を拡大し、さらにホイールベースを伸ばすことでクラストップの室内空間を実現した。
その広い室内空間を使ったシートアレンジの多彩さが2代目の大きなアピールポイントだった。2列目にはキャプテンシートからベンチシートに変化する横スライド機構を採用したり、ドライバーが運転席から3列目シートへの乗降をサポートできるセカンドシートリモコンウォークイン機構など、より実用的な機能が採用された。
スタイリングは、低床化により流れるようなダイナミックなフォルムに変貌し、横線基調のメッキグリルやシャープなラインで構成されたウインドウなどで上級感をアピール。またエンジンは、先代と同じ2.5L直4 DOHCに3.5L V6 DOHCが加えられ、力強い走りとともに燃費も改良された。
車両価格は、FFで213万~272万円、4WDで241万~306万円に設定。当時のミニバン市場は、「オデッセイ」と「エスティマ」の2強の他、他社のミニバンも続々登場し、競合ひしめく激戦区。2代目プレサージュは、当初は堅調に売れたが、その後は苦戦を強いられてしまった。
●車高の低い乗用車ライクなミニバンは市場から徐々に撤退
2代目プレサージュは、2009年8月に生産を終了。2010年前後には、ミニバンブームで人気を博したトヨタ「ウィッシュ」や「イプサム」、ホンダ「ストリーム」、マツダ「プレマシー」、三菱「グランディス」なども同じ道を辿り生産を終えた。そのほとんどが、オデッセイが開拓した比較的車高の低いミニバンだった。
人気に陰りが見え始めたオデッセイはその後、車高を高くして挽回を図ったが、低迷に歯止めはかからず、2022年をもっていったん生産を休止したが、2023年末に中国生産の改良型モデルで販売を再開したが、人気は限定的だ。またエスティマも、2019年に生産を終え次期型の噂が出ているが、2024年7月中旬の今現在、状況は不透明である。
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まさに栄枯盛衰で、車高の低いミニバンは終焉を迎え、2010年以降は車高の高いボックス型のミニバンが人気を博している。スタイリッシュなミニバンは、3列シートで多人数が乗れるとはいえ、やはり3列目は窮屈である。実用性が求められる現在、室内スペースに余裕があるボックス型が選ばれ、3列シートが必要でなければSUVが好まれるというのが、現在のユーザートレンドなのだ。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。