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■人気だったスポーティ路線から高級路線に変更した4代目
1971(昭和46)年8月10日、日産自動車の4代目「ダットサン・ブルーバードU」がデビュー。スポーティさをアピールして大ヒットした3代目(510型/ゴーイチマルブル)から、4代目では高級路線へと変更したが、精悍なフロントマスクが一般受けせず人気を継続することはできなかった。
日本の小型車市場をけん引したコロナとブルーバード
トヨタの初代コロナ「トヨペット・コロナ」は、1957年に誕生。当時は、マイカーブームに火が付いた頃で、徐々にクルマが一般庶民に浸透していた。
初代コロナは、クラウンの足回りやトヨペットマスターの車体を流用して、トヨタ初のモノコック構造を採用し、1.0Lの直4サイドバルブエンジンを搭載。丸みを帯びたフォルムから「ダルマ」の愛称で親しまれた。
一方、初代ブルーバード「ダットサン・ブルーバード(310型)」は、トヨペット・コロナに対抗し、2年後の1959年にデビュー。コロナ同様丸みを帯びたフォルムに、1.0Lおよび1.2L 直4 SOHCエンジンを搭載。初代ブルーバードは、1ヶ月で約8000台を受注する人気を獲得した。
ライバルのコロナとは、市場を二分して熾烈な販売合戦、いわゆる“BC戦争”が始まったが、初代の対決はブルーバードが圧倒。連続64ヶ月間小型乗用車のトップに君臨し、小型乗用車のパイオニアとして輝かしいデビューを飾ったのだ。
2代目でコロナに奪われた首位の座を3代目(510型)で奪回
ブルーバードは、1963年に初めてのモデルチェンジで2代目(410型)に移行したが、初代で惨敗したトヨタが巻き返しを図り、2代目コロナの排気量を1.5Lに拡大する車格アップ策により、2代目ブルーバードはあえなく首位の座から陥落してしまった。
首位奪回のため1967年に登場した3代目(510型)ブルーバードは、プラットフォームやエンジンなどを一新。高性能時代にふさわしいスーパーソニックラインと呼ばれるシャープなフォルムに、新開発の1.3L&1.6L直4 SOHCエンジンを搭載し、4輪独立サスペンションなどを採用して先進性をアピール。
特に、1.6L高性能エンジンを搭載したスポーツグレード「ブルーバード1600SSS(スリーエス)」は、その快速ぶりが多くの走り屋を魅了、1968年にはスポーティなクーペも追加されて人気爆発。2代目でコロナに奪われた小型乗用車トップの座の奪回に成功したのだ。
特にブルーバードの中でも名車の誉れ高い1600SSSは、その優れた走りで国内外のレースを席巻。1970年には、国産車初となるサファリ・ラリー総合優勝という快挙を成し遂げ、日産とブルーバードの名を世界に轟かせた。
個性的なフロントマスクからサメブルと呼ばれた4代目(610型)
人気の3代目に続いて1971年に登場したのが、4代目ブルーバードUだ。サブネームの“U(ユーザー・オリエンテッド)”は、人気の先代が引き続き併売されたため、区別するために付けられた。
ブルーバードUは、3代目コロナが国産車初の2ドアハードトップ(HT)を採用し上質化したことを受け、先代より大型化して上級化を図り、4ドアセダンと2ドアHTを用意。その特徴は、サメを連想するような精悍なフロントマスクにスラントノーズの流れるようなボディラインだった。
エンジンは、先代と同じ1.6Lと1.8L SOHCを搭載。その後1973年には、スカイラインGTと同じ2.0L直6エンジン搭載の「2000GT(G610型)」も追加されて、注目を集めた。
車両価格は、1600DXが62.9万円、1600SSS は72.3万円に設定された。当時の大卒初任給は、4.7万円程度(現在は約23万円)なので、単純計算では現在の価値で1600DXが約308万円、1600SSSが約354万円に相当する。
スポーティ路線で大ヒットした3代目に対して、高級路線へ舵を切った4代目だが、この路線変更は上手くいかず、販売台数でライバルのコロナ(含む、上級モデル「コロナ・マークII」)に再び首位の座を奪われてしまった。
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サメブルの他にもちょっと変わった愛称として、4代目クラウンの「クジラ」、2代目ローレルの「ブタケツ」、3代目マークIIの「ブタ目」などがあるが、この種のクルマらしくない愛称が付いたモデルは、たいてい不人気である傾向も…?
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