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高性能を追求した6代目ニューマン・スカイライン
1981(昭和56)年8月18日、5代目「ジャパン」に続いて6代目「スカイライン(R30型):ニューマン・スカイライン」が登場。R30スカイラインは、史上最強のスカイラインと謳われた「ターボRS」を追加し、さらに1983年のマイナーチェンジでは“鉄仮面”と呼ばれた個性的なモデルも登場した。
スカイライン人気を決定づけた5代目までの振り返り
60年以上の歴史を持つ名車スカイラインには、その車の特徴や時代背景を表現したニックネームが付けられ、そのニックネームで呼ばれることが多い。
・初代L型/20系(1957年~1963年)
富士精密工業(後に日産と合併するプリンス自動車の前身)にて、初代「プリンス・スカイライン」が誕生。日本の自動車史で重要な役割を果たした名車スカイラインは、ここから始まった。
・2代目S50型(1963年~1968年):羊の皮を被った狼
プリンス自動車からデビューしたが、1966年にプリンス自動車は日産に吸収合併。日本グランプリでポルシェを抜き去った偉業をもって、見た目とパワーのギャップからつけられた“羊の皮を被った狼”はニックネームというより名言。
・3代目C10型(1968年~1972年):ハコスカ
箱(ハコ)型のスカイライン(スカ)が短縮されたネーミング、1969年にはGT-Rの初代に相当する「スカイラインGT-R」が誕生。
・4代目C110型(1972年~1977年):ケンメリ
ファッショナブルなTVコマーシャルで“ケンメリ”の愛称を浸透させ、ハコスカを上回る人気を獲得し歴代最高の販売台数を記録。
・5代目C210型(1977年~1981年):ジャパン
日本の風土が生んだ日本の名車の意味を込めて“ジャパン”の愛称で親しまれた。当時は、強化された排ガス規制が優先されたため、性能的には停滞。
高性能化を進めて速いスカイラインをアピールした6代目(R30型)
1970年代のオイルショックや排ガス規制強化を乗り越えた1981年に登場したR30スカイラインは、それまでスカイラインを特徴づけていたサーフィンラインの代りに、ウェッジシェイプのシックなデザインに一新された。
2ドアハードトップと4ドアセダンに、新たにスカイラインとしては最初で最後の5ドアファストバックが加わり、エンジンは、2.0Lの直6 SOHCと直4 SOHCの2機種で、トップモデルには直6ターボが用意された。
車両価格は、ハードトップで172.0万~196.2万円に設定。当時の大卒初任給は、12万円程度(現在は約23万円)なので、単純計算では現在の価値で330万~376万円に相当する。
注目は、同年10月に登場した「スカイラインGT」のDNAを受け継ぐ「スカイラインRS」(212.1万円)だ。RSは、モータースポーツへの参加を前提にしたモデルで、2.0L最強の直4 DOHCエンジンFJ20E型を搭載し、最高出力150ps/最大トルク18.5kgmを発揮した。高性能化はさらに続き、1983年2月には最高出力190psの「ターボRS」(235.6万円)を追加、6気筒のGTとは一味違う存在として人気を獲得した。
マイナーチェンジで鉄仮面登場(R30後期型)
1983年10月には、マイナーチェンジでフロントとリヤのデザインを大きく変更。フロントグリルのない個性的なフロントマスクの風貌から“鉄仮面”と呼ばれ、今も一部のファンからは絶大な人気を獲得している。
1984年2月には、ターボにインタークーラーを組み合わせて、最高出力は205psまで向上。RSターボは、スカイラインGT-Rを凌ぐ性能を発揮し、十分にスカイラインGTを名乗る資格はあったのだが、4気筒エンジンであったためか、「GT」を名乗らなかったらしい。ちなみに、2000インタークーラーターボRSハードトップは247.4万円だった。
“史上最強のスカイライン”と謳われたRS、高出力モデルでありながらGTとは一味違う運命を辿ったのだ。
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R30スカイラインは、1970年代の排ガス規制から解放され、再び速いスカイラインをアピールした。スカイラインのなかでも異彩を放ったR30は、希少価値の高い高性能スカイラインとしてマニアックなファンから今も愛され続けているのだ。
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