国産コンパクト頂上決戦 スズキ・スイフト vs. トヨタ・ヤリス、選択の決め手はナンダ?

国内Bセグメントコンパクトカーの一角を占めるスズキ・スイフトがフルモデルチェンジして半年以上が経つ。このタイミングで新型スイフトの出来栄えをチェックしてみよう。比較対象はこのクラスの最多販売台数を誇るトヨタ・ヤリスだ。それぞれの最上級グレード同士のスペックを比較してみた。

TOYOTA YARIS × SUZUKI SWIFT

ルーフラインの違いが車内の雰囲気を分ける

ヤリスよりもスイフトのほうがわずかにコンパクトだが、どちらもボディサイズは4m×1.7m以下に抑えられており、実用上の違いはほとんどない。5人乗車時の荷室容量もヤリスは270リットル、スイフトが265リットルとほぼ同じだ。

両車のもっとも顕著な違いは、ルーフラインの仕立て方と言えるだろう。ヤリスは緩やかな傾斜を描いてフロントウィンドウが立ち上がり、ドライバーの頭上から後席にかけてがピークとなっている。対するスイフトは、立った角度のフロントウィンドウを頂点として後傾した形状だ。

どちらも乗員の頭上空間は相応に確保されているが、ルーフラインが違うことで車内の雰囲気はまったく異なる。サイドウィンドウの形状なども相まって、前席後席ともに開放感が高いのはスイフトのほうと言えそうだ。

トヨタ ヤリス ハイブリッドZ
ボディサイズ:全長3950mm×全幅1695mm×全高1495mm
ホイールベース:2550mm
車両重量:1090kg
タイヤサイズ:185/60R15(前後)

スズキ スイフト ハイブリッド MZ
ボディサイズ:全長3860mm×全幅1695mm×全高1500mm
ホイールベース:2450mm
車両重量:950kg
タイヤサイズ:185/55R16(前後)

1.5Lフルハイブリッド vs 1.2Lマイルドハイブリッド

新型スイフトは旧来までの4気筒エンジンから、新開発の1.2L直列3気筒エンジンに変更されエンジン効率が大きく改善した。しかし、それでも1.5L直列3気筒+フルハイブリッドシステムを搭載するヤリスに燃費性能では敵わない。

とはいえ、両車の動力性能にそれほど大きな差はない。エンジンと強力なモーターを状況によって効率的に使い分けるフルハイブリッドのヤリスに対して、スイフトは発進加速をマイルドハイブリッドシステムで補いつつ、大幅に効率改善されたエンジンを有効に使って走らせることで十分なドライバビリティを得ている。

エンジン単体の燃費性能ではスイフトの新型エンジンほうが優れている。しかし、ハイブリッドモデル同士を比べた場合、絶対的な燃費性能に優れるのはヤリスのほうだ。

トヨタ ヤリス ハイブリッドZ
エンジン形式:直列3気筒ガソリンエンジン+モーター
排気量:1490cc
最高出力:91ps/5500rpm
最大トルク:120Nm/3800-4800rpm
トランスミッション:電気式CVT
駆動方式:2WD(FF)

スズキ スイフト ハイブリッドMZ
エンジン形式:直列3気筒ガソリンエンジン+モーター
排気量:1197cc
最高出力:82ps/5700rpm
最大トルク:108Nm/4500rpm
トランスミッション:CVT
駆動方式:2WD(FF)

燃費をとるか、使い勝手をとるか

ヤリスは、最上級の「ハイブリッドZ」グレードであってもパーキングブレーキが手動となるなど装備はやや簡素な印象だ。それに対し、約33万円も安いスイフトの「ハイブリッドMZ」グレードには電動パーキングブレーキやアダプティブハイビームなど明らかにヤリスよりも豪華な装備や機能が備わっている。

装備の違いはあってもコンパクトカーとしての基本的な性能はどちらも申し分ない。この価格差の多くを占めるのはハイブリッドシステムの違いによるコストと言えるだろう。

購入の決め手となるのは、クルマに何を求めるかだ。燃費性能や乗車時の包まれ感ではヤリスに分があるが、全体的なバランスや使い勝手では後発となる新型スイフトのほうが優れる。価格を含め、新型スイフトはヤリスの弱点をカバーするような出来栄えだ。

車両本体価格

キーワードで検索する

著者プロフィール

ピーコックブルー 近影

ピーコックブルー

クルマやバイクの分野では日本最大級の記事配信数を誇るコンテンツ・プロダクション。ビギナー向けのやわ…