爆売れ“ハイソカー”5代目「マークII」人気のグランデ・ツインカム24は261.2万円【今日は何の日?8月22日】

トヨタ5代目「マークII」
1984年に登場したトヨタ5代目「マークII」。大ヒットしてハイソカーブームをけん引
一年365日。毎日が何かの記念日である。本日8月22日は、1980年代後半に一世を風靡したハイソカーブームの立役者となった5代目「マークII」が誕生した日だ。直線基調のシャープなスタイリングでスポーティな高級セダンとして広い層から人気を獲得して空前の大ヒットモデルとなった。
TEXT:竹村 純(Jun TAKEMURA)/PHOTO:三栄・新型マークIIのすべて、80年代トヨタ車のすべて

■スポーティなピラードレスハードトップが特徴の高級セダン

1984(昭和59)年8月22日、トヨタから5代目「マークII」がデビュー、5代目からそれまで付いていたコロナの冠が取れて単独ネーム「マークII」となった。5代目マークIIは、4代目マークIIが火を付けたハイソカーブームを花開かせ、ハイソカーを代表する大ヒットモデルとなった。

トヨタ5代目「マークII」
トヨタ5代目「マークII」

マークII誕生から4代目マークIIまでの足跡

・初代「トヨペット・コロナマークⅡ」(1968年~1972年)
初代コロナマークIIは、コロナの最上級モデルとしてコロナとクラウンの中間層をターゲットに1968年に誕生した。基本的なスタイリングは、コロナを継承しながらも、ボディを一回り大きくして広い室内空間を持つ4ドアセダンと2ドアハードトップ、ワゴン、バンと多彩なバリエーションを用意。それに合わせて、1.6L&1.9L直4 SOHCの2つのエンジンもグレードごとに差別化が行われ、上級志向が高まった市場でコロナとは異なるファンを獲得するのに成功した。

トヨタ初代「マークII」
1968年にクラウンとコロナの中間層を狙って誕生したトヨタ初代「マークII」
トヨタ初代「マークII」
トヨタ初代「マークII」

・2代目「トヨペット・コロナマークⅡ」(1972年~1976年)
先進的なデザインで初代より大型化し、より上級かつ上質感をアピールした。また、クラウンに搭載されていた直6の2.0LエンジンのLシリーズもラインナップに加え、一部グレードにはEFI(電子制御燃料噴射)を採用しレスポンス向上と出力アップを図った。

トヨタ2代目「マークII」
1972年に登場したトヨタ2代目「マークII」。大型化・上質化させた
トヨタ2代目「マークII」
トヨタ2代目「マークII」

・3代目「トヨペット・コロナマークⅡ」(1976年~1980年)
丸型ヘッドランプとスクエアライト、独立したフロントグリルというヨーロピアン調の優雅な雰囲気へと変貌し、先代のイメージから完全に脱皮。エンジンは直4と直6の2.0Lで、フラッグシップ「2600グランデ」には直6の2.6Lを搭載。1977年には、プラットフォーム共通の兄弟車「チェイサー」が登場した。

トヨタ3代目「マークII」
1976年に登場したトヨタ3代目「マークII」 。ヨーロピアン風のスタイリングが特徴
トヨタ3代目「マークII」
トヨタ3代目「マークII」

・4代目「コロナマークⅡ(1980年~1984年)
角型ヘッドライトを組み込んだ直線基調のシャープなスタイリングに変わり、スポーティさを強調した高級セダンへと舵を切った4代目。主力は、セダンからBピラーをもちつつ、ドアの窓枠のないピラードハードトップに変わり、これがマークⅡを象徴するアピールポイントになった。当初の搭載エンジンは、1.8L&2.0L直4 SOHC、2.0L直4 DOHC、2.2L直4ディーゼルだったが、その後2.8L直6 SOHCを搭載した「2800グランデ」、そのターボ仕様の「2800グランデターボ」と強力パワートレインを追加し、優れた走りでも注目を集めた。4代目マークIIは、スタイリッシュなピラードハードトップとゴージャスな内装が、若者から中年層まで魅了。ハイソカー(high society/直訳すると上流階級の車)ブームの火付け役となった。

トヨタ4代目「マークII」
1980年に登場したトヨタ4代目「マークII」。直線基調のピラードハードトップが特徴でハイソカーの火付け役
トヨタ4代目「マークII」
1980年に登場したトヨタ4代目「マークII」。

ハイソカーの主役となった5代目マークⅡ

トヨタ5代目「マークII」
1984年に登場したトヨタ5代目「マークII」

そして1984年のこの日、ハイソカーを代表する5代目が登場。この世代から車名のコロナの冠が取れて単独ネームのマークIIとなった。先代同様の直線基調のシャープかつスポーティなスタイリングで、先代同様人気の4ドアピラードハードトップと4ドアセダンが設定され、高級感と走りのブラッシュアップが図られた。

トヨタ5代目「マークII」
1G-GEU型の2L直6DOHC

エンジンは、最高出力130psの2.0L 直6 SOHCと160psの新開発DOHC、さらに185psを発揮する国産初のツインターボが用意された。

足回りは4輪独立サスペンションをベースに、上級モデルにはダンパーの減衰力を3段階に制御する電子制御のTEMS(トヨタ電子制御サスペンション)が組み込まれた。さらに、操舵力を車速に応じて連続的に制御する2モード・プログレッシブ・パワーステアリング機構も採用された。

トヨタ5代目「マークII」
トヨタ5代目「マークII」のコクピット
トヨタ5代目「マークII」
トヨタ5代目「マークII」の豪華なインテリア

人気の高かった160psの「グランデ・ツインカム24」が261.2万円、185psのトップグレード「2000GTツインターボ」が292.5万円。当時の大卒初任給は14万円(現在は約23万円)なので、単純計算で現在の価値では人気のグランデ・ツインカム24が429万円に相当する。

5代目マークIIは、優れた走りと快適性、そして豪華な装備により幅広い層から支持され、マークIIに乗ることがひとつのステータスとなった。1985年の月販台数は1万2000台を超え、その後2万台を超えることもあった空前の大ヒットモデルとなり、ハイソカーブームをけん引したのだ。

トヨタ・チェイサー
トヨタ・チェイサー
トヨタ・クレスタ
トヨタ・クレスタ

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ハイソカーブームは、バブル好景気を背景に、メーカーは潤沢な資金を投入して高性能や高機能のクルマ、できる限りの贅を尽くしたクルマを作った。競うようにハイソカーが出現したことが、結果として日本の自動車技術の発展に貢献したことは確かだ。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。

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著者プロフィール

竹村 純 近影

竹村 純

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までを…