目次
そもそもガソリンを使わないEVはともかく、燃費が良くても中古でハイブリッド車を買うとなると、購入時に注意しなければならない点が多々あります。たとえばハイブリッド車はガソリン車と比べて様々な部品を搭載しているためシステムも複雑。そのため故障すると修理費が高くなりやすい傾向があります。また、ハイブリッド車の駆動用バッテリーは当然ながら経年や走行で劣化します。
その寿命は実際には15万km以上・10年以上耐えることを想定した仕様もあるようですが、メーカーの保証期間から走行距離10万km・製造後5年と言われます。いずれにせよ駆動用バッテリーの交換費用は20~40万円とかなり高額となるため、安くても古い車両の場合は注意した方が良いポイントです。
しかし、純ガソリン車(アイドリングストップ、補助駆動装置付き含む)ならば、そんな心配も注意も不要です。ごく一般的な中古車購入時のチェックポイントさえおさえておけば、納得の行く買い物が出来るはず。そこで燃費の観点から次の3車種を選んでみました。
4代目 スズキ スイフト(ZC83・ZD83型/2016-2023年)~軽快な走りと低燃費を両立する街乗りベストパートナー
中古車価格帯:67-204万円/平均中古車価格:135.5万円(1.2Lエンジン車のみ調査)
スズキ スイフトは、その軽量ボディと省燃費エンジンにより、燃費と走行性能のバランスに優れたコンパクトカーです。2016年にデビューした4代目モデルは1.2Lエンジンと1.0Lターボエンジンがラインアップされており、低燃費でありながらもパワフルな加速性能を備え、街乗りから高速道路まで幅広いシチュエーションで快適な走行が可能です。燃費性能は自然吸気の1.2Lエンジンの方が優位で、2022年9月発売のXGグレードでは21.8km/L(WLTCモード/FF/5MT)を記録しており、維持費を抑えたい方に最適でしょう。ちなみに現行モデルである5代目ZCDD型のXGグレードの燃費は23.4km/L(WLTCモード)となっており、その差は1.6km/Lですから、まだまだ4代目も捨てたものではないでしょう。
なお、弊メディアがオーナーに対して実施している『モーターファン ユーザーアンケート』によると、室内空間が若干狭く、後部座席や荷室スペースに限りがあるため、使い勝手に対する不満の声が挙げられています。また、サスペンションがやや硬めであるため、長距離運転や悪路では快適性がやや劣ると感じる方もいるようです。
詳細スペック:XG(FF/5MT)/ 4BA-ZC83S型
全長×全幅×全高(㎜)=3845×1695×1500
ホイールベース(㎜)=2450
エンジン:1.2L 水冷直列4気筒DOHC
駆動:FF
最高出力:91ps(67kW)/6000rpm
最大トルク:12.0kgm(118Nm)/4400rpm
使用燃料:無鉛レギュラーガソリン
燃費:21.8km/L(WLTCモード)
トランスミッション:5MT
車重(kg):860
新車価格:154.66万円
※2022年当時のスペック
3代目 トヨタ ヴィッツ(NSP130型/2010-2020年)~信頼の世界クオリティ、燃費と安心を手軽に手に入れたいなら
中古車価格帯:43-198万円/平均中古車価格:120.5万円(2014年モデル以後1.3Lエンジン車のみで調査)
トヨタ ヴィッツは、信頼性と経済性に優れたコンパクトカーとして、長年にわたって多くのユーザーに支持されてきました。現行モデルはヤリスと車名を改めていますが、そもそも日本以外では最初からヤリスの名前で販売されており、世界表記に統一した形となっています。従ってヤリスの先代モデルは2020年まで製造販売されていた3代目ヴィッツと言って良いでしょう。
3代目ヴィッツは1.0L~1.8Lまで4種類のエンジンをラインアップしていましたが、2014年4月のマイナーチェンジで1.3LのFF車には大幅な燃費改善がはかられた1NR-FKE型エンジンが搭載され、燃費性能はJC08モードで25.0km/Lを達成しています。これは大雑把にWLTCモードに換算すると約21.25km/Lになりますので、燃費に着目した場合には、2014年以後の1.3LのFF車がオススメです。ちなみにヴィッツの後継車であるヤリスの1.5LのXグレードの燃費は21.3km/Lですので、燃費はほぼ変わらないものと思われます。
ヴィッツは走り志向のRSグレード以外は中古車市場でも状態の良い車両が少なくなく、メンテナンスコストが低く抑えられるのも魅力でしょう。しかし、弊メディアで実施している『モーターファン ユーザーアンケート』によれば、特に高速道路での加速力やエンジンのパワー不足を感じる場面があるという不満の声が挙げられています。また、インテリアの質感が競合車種に比べて少しシンプルで、デザイン面での好みが分かれるかもしれないという指摘も見られます。
詳細スペック:1.3 F(FF/CVT)/ DBA-NSP130型
全長×全幅×全高(㎜)=3945×1695×1500
ホイールベース(㎜)=2510
エンジン:1.3L 水冷直列4気筒DOHC
駆動:FF
最高出力:99ps(73kW)/6000rpm
最大トルク:12.3kgm(121Nm)/4400rpm
使用燃料:無鉛レギュラーガソリン
燃費:25.0km/L(JC08モード)
トランスミッション:CVT
車重(kg):1000
新車価格:150.92万円
※2019年当時のスペック
6代目 三菱 ミラージュ(A00系/2012-2023年)~意外な伏兵、エントリーカーにして環境対応車
中古車価格帯:53-158万円/平均中古車価格:105.5万円(2017年以後、1.2Lエンジン車のみで調査)
6代目ミラージュは三菱伝統の名跡を10年ぶりに復活させた世界戦略車として2012年に登場、海外では現在も発売されていますが、日本では2023年までの販売で、現在はスズキ ソリオの兄弟車にあたるデリカD:2にバトンタッチされています。この6代目 AA系 ミラージュは1.0Lと1.2Lの2種類のエンジンがラインアップされていましたが、燃費的には1.2Lエンジンの方がおすすめです。
実は本車は2016年に燃費偽装が明らかになり、製造および販売を停止していた期間がありましたが、その後は改善・改修の後に真正の数値に修正されていますので、2017年以後のモデルならばまず間違いはないでしょう。基本的に不正行為はよろしくありませんが、製造・販売終了後に不正が発覚して投げられるより、現役当時に発覚して対策されていた方が、中古車市場ではまだ信頼出来ると言えます。なお、日本で販売終了した2023年時点で公表されている1.2Lエンジン車の燃費を見ると、WLTCモードで20.0km/L、JC08モードでは22.8km/Lと比較的優れた燃費性能を誇っており、街中でも高速道路でも低燃費を実現していますので、意外なダークホースと言えるかもしれません。
また、小回りが利くため、都市部での取り回しがしやすく、狭い道や駐車が苦手な方でも安心して運転でき、狭い駐車スペースにも問題なく駐車できることでしょう。デザインはシンプルでありながら実用性が高く、インテリアも機能的で操作も直感的に行なえるため、誰でも使いやすい1台でしょう。
弊メディアで実施している『モーターファン ユーザーアンケート』には、燃費を重視したエンジン設計のため、加速力や高速走行時のパワーに物足りなさを感じることがあり、特に乗車人数が増えると加速が鈍くなることがあるとの声が見られました。また、軽量化とコスト削減のため、走行中のエンジン音や外部の騒音が車内に入りやすく、静粛性を重視する方には向かないかもしれないという声も見られます。さらに、標準装備の安全機能は最低限のものに留まっているため、最新の先進安全技術を求める方には物足りなく感じるかもしれないとの声もありました。
とは言え、本車は低燃費でコストパフォーマンスに優れた車を探している方におすすめできる選択肢の一つであり、特に日常の移動や都市部での使用がメインの場合、その魅力が最大限に発揮されることでしょう。他方、エンジンパワーや豪華さを求める方は、他の選択肢も考慮した方が良いかもしれません。
詳細スペック:G (FF/CVT)/ 5BA-A03A型
全長×全幅×全高(㎜)=3855×1665×1505
ホイールベース(㎜)=2450
エンジン:1.2L 水冷直列3気筒DOHC
駆動:FF
最高出力:78ps(57kW)/6000rpm
最大トルク:10.2kgm(100Nm)/4000rpm
使用燃料:無鉛レギュラーガソリン
燃費:20.0km/L(WLTCモード)
トランスミッション:CVT
車重(kg):900
新車価格:158.4万円
※2022年当時のスペック
今回ご紹介した車種は、現在の中古車市場で100万円以下から購入可能であり、純ガソリン車なのに燃費が良く、維持費を抑えたい方に最適と言えるでしょう。それぞれの車種に長所と短所がありますが、自分のライフスタイルや好みに合わせて満足のいく1台を探してみてください。