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スバル系プロショップ「KITサービス」主催のイベント
このイベントを企画したのは群馬県にあるスバル系プロショップ「KITサービス」。スバルの昭和時代のモータースポーツ活動のキーマンだった故・小関典幸氏の興した会社で、現在は小関高幸氏が跡を継ぎ代表を務めている。
そんなKITサービスだけに、STI発足以前のスバルモータースポーツ活動で使用された車両を保管しており、同社ショールームのほか、折々のイベントで展示されているのだが、今回は同社主催のイベントとして開催されることになった。
展示されたのはKITサービスが所有するAB型レオーネRXとヴィヴィオRX-R。そして、スバルコレクターとして有名な@BOXER_GrA_GC8氏の所有するプロドライブ製グループAのレガシィRSとインプレッサWRX(ホモロゲーション名:インプレッサ555)の合計4台。
また、会場となったエビスサーキット(福島県)西コースには多くのスバルファン、ラリーファンが訪れたことから、駐車場にもスバル車が列を成していた。中には展示されたラリーカーと同世代の貴重なオールドスバルや日本未導入モデルの姿も見受けられるほど。
サファリラリーを走ったレオーネとヴィヴィオ
STI発足以前のスバルのモータースポーツ活動は主にラリーが中心で、なかでも1980年代はレオーネによるサファリラリーへの参戦をメインとしており、故・小関典幸氏や小関氏が抜擢した高岡祥郎氏によって戦われた。
スバルは1980年に二代目レオーネをサファリラリーに投入(アウディ・クワトロに先駆けWRCを走った初の乗用4WD車になった)したのに続いて、1985年からは前年デビューの三代目レオーネにバトンタッチ。レガシィがWRCに投入されるまで、レオーネを主戦マシンとしてサファリラリーを戦った。
今回展示されたレオーネRX(ハードトップクーペ)は二代目のAB型で、サファリラリーでは当時WRC日本人最上位(1983年/総合5位/グループ2)を記録した前述の高岡祥郎氏がドライブしたり、タレント・泉アキ氏がナビゲーター(コドライバー)を務めた(1984年/総合16位)ことで話題を呼んだモデル。1983年まではグループ2、1984年はグループAにホモロゲーションされていた。
そして今回最大の目玉は1993年にサファリラリーに投入された軽自動車・ヴィヴィオRX-R。軽自動車として初のWRC参戦であり、当時のスバルワークスドライバーであるコリン・マクレーがドライブして他の2.0Lターボのマシンにも負けない好タイムを連発したことでも話題となった。
残念ながらマクレーの走りでは完走することは能わなかったが、開催地ケニアの英雄パトリック・ジルが総合12位(グループAクラス5で優勝)という結果を残している。
今回展示されたのはそのジルが完走したマシンそのもので、長らくKITサービスの看板がわりに展示されていたものを約1年かけてフルレストアしたもの。ファンにはおなじみの個体ではあったが、レストアされて蘇った当時の姿を一般公開するのは今回が初となった。
このサファリラリー仕様のヴィヴィオRX-RグループAについて、レストア内容や来歴、戦績などより詳細な内容を追ってご紹介しよう。
イベントではおなじみのプロドライブ製グループAマシン
@BOXER_GrA_GC8氏が所有する2台のプロドライブ製グループAマシンは、イベントではたびたび展示されている1992年ニュージーランドラリーのポッサム・ボーン仕様に彩られたレガシィRS(prodrive Gr.A BC5 #124 J555POS)と、1994年ニュージーランドラリーでカルロス・サインツがドライブしたインプレッサWRX(prodrive Gr.A GC8 PRO94.014 L555RE)。
展示では特に柵などは設けられず、来場者はまさに間近に寄って本物のWRCを単横することができた。そればかりか、インプレッサWRXはエンジンルーム、トランク、ドアまで開け放って隅から隅まで見ることができたのはレオーネRXやヴィヴィオRX-Rと同様だった。
中には、このテの展示イベントでは定番の車体底部を覗き込む熱心なファンの姿も見受けられた。
レガシィRSは残念ながらセッティング決まっておらず展示のみとなったが、インプレッサWRXはグループAサウンドを響かせただけでなく、会場でデモランを披露している。
会場ではデモ走行も行われリアルなグループAサウンドを響かせる
また、当日は展示だけでなく会場(と同時開催中の全日本ダートトライアル選手権第6戦のピットなど)を巡るデモ走行が行われ、多くの来場者の耳目を釘付けにした。
合わせて「X」にポストした取材時の様子を動画でご覧ください。
イベントは全日本ダートトライアル選手権第6戦「スーパーDT」が開催されているエビスサーキットが会場。エビスサーキットの入場料(1700円)でこれら本物のグループAラリーマシンを見ることができるだけでなく、多彩なマシンが土埃を上げて迫力のドリフト走行を見せるダートトライアルも見ることができた。クルマ好き、ラリー好きには大満足な内容だったと言えるだろう。