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■プラットフォーム、エンジンなど一新した次世代ライトウェイトスポーツ
2005(平成17)年8月25日、マツダの「ロードスター」が7年ぶりにモデルチェンジして3代目NC型に移行した。1989年に誕生したロードスターは、ライトウェイトスポーツブームを巻き起こして大ヒット。2代目は正常進化。そして3代目はプラットフォームを一新して3ナンバーモデルとなった。
人馬一体を具現化した初代(NA型)
初代ロードスター「ユーノス・ロードスター」は、1989年にデビュー。ユーノスは、当時マツダが展開していた5チャンネル(販売系列)のひとつで、高級車などのスペシャリティカーを扱う販売チャンネルの名称である。
初代ロードスターは、現在もマツダで継承されている開発コンセプト“人馬一体”をベースに開発された第1弾。リトラクタブルヘッドライトを装備した、能面“若女”をモチーフにした和のテイストを生かしたオープンスポーツで、コンパクトな軽量ボディが特徴だった。
パワートレインは、最高出力120psを発揮する1.6L直4 DOHC(B6型)を縦置きしたフロントミッドシップで、トランスミッションは5速MT、遅れて4速ATも追加された。特にハイパワーではなかったが、重量を車体中央に集中させた50:50の理想的な前後重量配分と軽量化ボディにより、レスポンスに優れた走りと高いハンドリングが楽しめた。
初代ロードスターは、斬新なライトウェイトスポーツのオープンモデルとして、標準グレードの5速MT車が170万円、4速AT車が174万円と、誰でも入手できる低価格で国内外で大ヒット。予約段階で大量のバックオーダーを抱えるほどの大人気となり、翌年1990年の販売台数は2万5000台を超え、世界中でライトウェイトスポーツ旋風を巻き起こしたのだ。
キープコンセプトで正常進化した2代目(NB型)
1998年に初めてのモデルチェンジで2代目へと移行。ユーノスブランドが終了したことから、ロードスターの単独ネームになった。
基本的には、キープコンセプトだが、リトラクタブルヘッドライトから固定式ライトになり、各機能がブラッシュアップされ、パワートレインには1.8L直4 DOHC(BP型)と6速MTが追加された。最高出力は160psまで向上し、さらにターボエンジンの追加によって最高出力は172psに達した。
車両価格は、1.8L標準グレード(6速MT)が218.5万円に設定され、2代目ロードスターも引き続き人気を獲得。2000年には、英国のMGBを抜いて「2人乗り小型オープンスポーツカー」として生産累計台数53万1890台で世界一となり、ギネスブックに認定された。
3ナンバーボディとなった3代目(NC型)
2005年に登場した3代目のスタイリングは、ロードスターらしさを継承しながら、洗練されたオーバルフォルムを採用。最大の特徴は、新開発のプラットフォームが採用され、それまでの5ナンバーから3ナンバーボディになったこと。
ただし、ライトウェイトスポーツが自慢のロードスターらしく、高張力鋼板やアルミ材を多用して、車重増加は先代に対して10kg程度に抑え、前後重量配分は従来通り50:50を実現。パワートレインは、排気量を1.8Lから2.0L直4 DOHCエンジン(LF型)に変更し170psにパワーアップしたエンジンに、5速&6速MTおよび6速ATの3種が組み合わされた。標準グレードの車両価格は、220万円(5速MT)/230万円(6速AT)に設定された。
ボディは大きくなったものの、エンジンのパワーアップと軽量化により、ロードスターらしい走りは変わることなく、発売から1ヶ月で約1900台を受注、引き続き好調な販売を記録した。そして、2014年に徹底した軽量化によって原点回帰した4代目(ND型)へとバトンを渡し、2016年にはロードスターの累計生産台数は100万台を突破したのだ。
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希少なライトウェイトスポーツのオープンモデルとして相変わらずの人気を獲得しているロードスターだけに、次期(5代目)ロードスターに注目が集まっている。2026年頃にフルモデルチェンジして、SKYACTIV-X+48VマイルドHEVを経てBEVになるという情報もあるが、まだ不確定だ。どういうストーリーで電動化の道を進むのか、興味深いところだ。
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