AV性能やスマホ/アプリ連動に音声認識など……機能・スタイル・サイズから考えるタイプ別カーナビの選び方

スマートフォン用のナビアプリが浸透し、かつては憧れの装備だった「カーナビ」も、あって当たり前のツールになった。なかには車載機器メーカーの手によるアプリも登場するなど、質的にもかなり高いものにもなっている。けれど、スマートフォン単体でナビ機能をこなすには限界もある。ハンディツールゆえの画面サイズやサウンドボリュームにも限りがあり、また自車位置情報も主にはGPS頼り。視認性や操作性といったハードウェア由来の要因はもちろん、扱われる情報量やデータ編集力といったノウハウ的なものまで、いわゆる車載専用機とは同列に語れない。それでは、その車載専用機の今はどうなっているか? 用品についても実はこれまで以上にバリエーションは大きく広がり、魅力的なマーケットにもなっている。ここでは主な選択肢について、四つの分類に分けて見ていこう。

熟成の複合システム機

カーナビと言えば、オーディオ&ビジュアル機能をもカバー車載専用の複合機がいまだその頂に立つ構図は変わっていない。
音や映像を始めとするエンタメ面も充実したセンターユニットであるのは言うに及ばず、ナビそのものの機能においても、より上質さを得られる利点を多く持つ。

スマホライクな操作が可能になった今、操作感で身構える必要はない。地図描写もより高度かつ複雑な表示が可能になり、なにより正確な自車位置測位が車載専用機の持ち味。そのレベルは昨今で大きくレベルアップしている点にも注目だ。
しかも、これらの基本は概ねデフォルトの機能ともなっている。それこそ入門クラスのモデルでも十分手に入り、少し前と比べてコスパも着実に上がっている。

さらにその上を見るなら、独自の強みを加味された上級モデルもある。通信機能にリビングテレビ以上の高画質と、上には上の選択肢も存在する点も見逃せない。
導入による旨みは、数年前より格段に上がっているとも言えそうだ。

モデルチェンジされたばかりの注目機、KENWOOD『彩速ナビ Type-Sシリーズ(実勢価格:9万7000円〜13万5000円前後税込)』も、ユーザーの好みで地図色を3種類から選択できるほか、写真のような、ランドマークに隠れたマップを可視化表示もできるなど、地図表示機能もハイレベルだ。

革新のナビアプリ連動機

スマホアプリはそのままで、画面だけ大きくなればいいという人もいるだろう。運転中は画面を注視できず、大画面ほどに有利なのは間違いないからだ。
今や純正装備でもそうであるように、車載ディスプレイも一般的になりつつある。そして、アップルカープレイやアンドロイドオートといったスマホとのディスプレイ連動機能にも市販用品は対応する。ディスプレイオーディオと言われるデバイスがそれだ。

2DINはもちろん、1DINスペースにも対応モデルが用意されるなど、旧型車まで含めて多くの車両に適合するなど、選択肢も幅広い。
なかでも注目したいのはワイヤレス接続のメリットだ。これまでは、カープレイやアンドロイドオートの起動にあたり、スマホとの有線接続が前提だったが、ワイヤレス対応機の場合、この必要がない。初期設定さえ済ませていれば、始動ごとに自動でつながる。ナビ機能など、日々使う機会が多いものにとって、その利便性は高い。

そして実のところ、このワイヤレス接続機能は純正装備でもまだ多くない。その点市販用品では、トップグレードはもちろんスタンダード機まで拡充中。少し前の古いクルマでも、一気に最新設備にアップグレード可能できる点にも注目だ。

リリースされたばかりのcarrozzeria『DMH-SZ500(実勢価格:5万5000円前後/税込)』は、CarPlay・Android Autoともにワイヤレス接続に対応する。6.8V型ワイドVGAのディスプレイを搭載し、本体左端には静電フラットタイプのハードキーも備え、ここからCarPlay・Android Autoにダイレクト遷移できる。

保守のポータブルナビ、先鋭の音声ナビ

かつてはナビを浸透させた立役者“PND”も、スタンドアローンのナビ専用機として考えるならいまだ有効な選択となる。複数台所有での載せ替えも容易で、慣れた操作と表示が好きな人に根強く支持され続けている。
自車位置の測位についても、複数のGPS信号を多角的に活用しつつ、ジャイロセンサーなどのデータも加味されるため、精度の高さはスマホアプリの比ではない。このところ相次いでいる主要道路の更新も含め、地図画面も都度アップデートが可能になっている点も愛用され続ける理由だろう。

お馴染み、Panasonic『Gorilla CN-G1500VD(実勢価格:6万円前後/税込)』は、ポータブル機といってもVICS WIDEに対応して渋滞を回避することもでき、高精度のGジャイロを搭載するほか、GPSのほかに「みちびき」や「グロナス」などの衛星受信にも対応して、高い自車位置精度を誇る。2023年度版の収録地図には全国市街地図も含まれ、ピンポイントのルートガイドも可能だ。

一方で、より新しいナビ機能にチャレンジしたい人にとってユニークなものもある。それが、クラウド利用のドラレコ機能がフィーチャーされるパイオニアのNP1。実のところ、対話を主体としたカーナビ機能もNP1が持つ目玉であり、スマート音声ナビと評される通り、基本は音声だけであるがゆえに、斬新なナビ機能とも言える。

しかも繰り返されるアップデートにより、最近ではアップルカープレイやアンドロイドオートにも対応し、一般的なナビアプリ同様に、自車位置やルート情報などを画面上から確認できるようになった。購入後でも機能・性能が飛躍的に上がる点で、注目度は高い。地図情報の更新においても、それは同様だ。

声だけで操作可能な会話型ドライブパートナー、Pioneer『NP1(価格:3万9800円〜(通信+サービス利用料1年分付〜)/税込)』は、目や手を使う操作から離れ、声だけの操作によってドライブレコーダー&カーナビ機能を行える斬新な機構を採用。目的地の検索から案内にルート確認まで、声だけの操作・案内で行うことができ、視線を外すことなく運転に集中できる。通信を利用しているため、得られる情報量も多く、オプションプランではWi-Fiスポット機能にも応用可能だ。

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