ヤマハ、46万円の本気の電動自転車「YPJ」シリーズに試乗!通勤から山まで活躍する欲張りな1台

ヤマハ発動機が展開するスポーツ電動アシスト自転車(eBike)「YPJシリーズ」は、スポーツ自転車の高い走行性能と電動アシスト機能のメリットを兼ね備えてファンを拡大している。10月9日に「WABASH RT(ワバッシュ アールティー)」、「CROSSCORE RC(クロスコア アールシー)」の2024年モデルが発売されるということで、早速最新モルに試乗してみた。

「楽するアシスト」から「楽しむアシスト」に進化!

ヤマハ発動機のeBikeブランド「YPJ」は、電動アシスト技術を駆使した高性能自転車だ。ロードバイクやマウンテンバイク、クロスバイクなど、多様なライディングスタイルに対応。長寿命バッテリーやスマホ連携機能も備え、快適かつ環境に優しい移動を実現している。スポーツや通勤、レジャーなど日常の様々なシーンでユーザーの移動に楽しさを提供する。

「WABASH RT」オンロードの快適性とオフロードの走破性を両立する電動アシストグラベルバイク。価格は税込46万3100円

今回、新たに登場した、「ワバッシュ RT」は、「いろいろ使えそう。ONもOFFも。」をコンセプトに、オンロードでの快適性とオフロードでの走破性など、あらゆる路面で高い走行性能を発揮するeグラベルバイクだ。Shimano GRXの11速ドライブトレインや700×45Cグラベルロード用タイヤを装備しており、オフロードでもの安定した走行が可能となっている。また「ドロッパーシートポスト」を採用しているのも特徴。自転車に乗ったまま、レバーをワンタッチ操作するだけでサドルの高さが調節できる機能だ。荒れた路面での衝撃吸収や、山道を上り下りする場面で自在にシートポジションを変更できたりと活躍する機能だ。

「ドロッパーシートポスト」は、オフィスチェアのようにワンタッチで座面が上下する機能。右ハンドルのレバーを親指で押したまま、シート押すと下げることができる。シートに跨った状態で体重を掛けて下げることも可能。

搭載される新型ドライブユニット「PWseries S2」は、現行モデルより強力な75Nmのトルクを実現しながら、ボディを約20%の小型化と550gの軽量化を果たしたことで、急坂やオフロードなどアシスト力が求められる状況でスムーズな加速を発揮する。走行状況に応じて「ハイモード」「スタンダードモード」「エコモード」から自動選択し、ライダーに最適なアシストを提供する「オートマチックアシストモード」をアップデート。アシストモードが自動で切り替わるタイミングをスムーズにしたことで、より自然なフィーリングで走行することができる。
1充電あたりの走行距離は「ハイモード」で85km、「+エコモード」で最長の188kmとなっている。

左が旧式のドライブユニットで、右が新型ドライブユニット「PWseries S2」だ。最大トルクは7%増加し75Nmとなり、ボディは550g軽量化と約20%小型化している。小型化したことにより障害物へのヒットが回避され走行性能が向上している。

オンロードの快適性と、オフロードの走破性を両立

今回は「ワバッシュ RT」を平地の舗装路と未舗装路で試乗してみた。筆者は普段から、通勤で自宅〜最寄り駅までの往復に自転車に乗る程度、電動自転車はママチャリタイプしか乗ったことがない…。というズブの素人である。eバイク初心者として素直なレポートをお送りしたい。

Shimano GRXの11速ドライブトレインや700×45Cグラベルロード用タイヤを装備。
本質的なバイクらしさの中に独自性を追求したインチューブフレーム構造を採用。

見るからにヤル気を感じさせるスタイリングだが、跨ってみるとライディングポジションはそれほどキツくない。身長180cmの筆者はLサイズのマシンを選択し、ちょうど良いサイズだった。「ドロッパーシートポスト」のおかげで、ワンタッチでシートのポジションを決めることができるのも評価のポイントだ。まず、未舗装路を走り始めると「オートマチックアシストモード」に設定されたモーターが適切にアシストしてくれるので、とても軽い走り出しだ。ペダルを踏む力にリニアに反応するので、モーターのアシストが出遅れることもないし、アシスト量が過剰で思ったよりスピードが出ることもなかった。

幅広のフレアハンドルを採用しオフロード走行時のコントロール性を高めているため、初心者でも安心して運転できる。

700×45Cグラベルロード用タイヤは悪路でもハンドルを取られることもなく安定している。車両重量は21.3kgのためクイックに操ることができる。といっても筆者はマウンテンバイク初心者のため、ハードなライディングは出来ないが、低速で走行しただけでもスタビリティの高さを感じるほどだった。

「ワバッシュ RT」Lサイズの車両重量は21.3kg。“軽々と”ではないが、大人の男性なら持ち上げることができる。ママチャリタイプの電動自転車に比べると、とても軽量だ。

舗装路での走行は「ドロッパーシートポスト」の機能を活用し、ワンタッチでシートポジションを高めに変更した。走り出しは電動アシストのおかげで軽快にスタート、スポードが乗るまでの不安定なタイミングをサポートしてくれるので安心感が高い。山道の登り坂だけでなく、ストップアンドゴーの多い市街地でも活躍するだろう。スピードが乗ってくると電動アシストの上限速度である時速24kmにすぐに到達する。そこからはアシスト無しの状態で走行するが、安定感が高く軽快な車体のため、疲れることもなく、バッテリーを積んでいる分の重量増加はそこまでネガに感じない印象だった。

前傾姿勢はそこまでキツくなく、リラックスしたポジション。ブレーキは油圧式ディスクブレーキで、SHIMANO GRXを採用する。

ボディカラーはタフさを表現した「マットショールグレー」と、都市に馴染む洗練された「マットストーングレー」の2色展開となっている。価格は税込46万3100円。

毎日使い続けられるカジュアルさが魅力

「CROSSCORE RC」日常的のスポーツライドまで快適にこなす電動アシストクロスバイク。価格は税込34万1000円。

クロスバイクタイプの「クロスコアRC(税込34万1000円)」は、「365days,1bike」がコンセプト。日常の通勤から、休日に仲間とのレジャーライドまで1台で楽しみたい方をターゲットに、街中での移動から郊外のロングライドまで快適に走行できる点に注力し開発した、オールマイティに活躍するeクロスバイクとなっている。

タイヤはセミスリックタイヤ 27.5×2.0で、エアボリュームがある太いタイヤでありながら、転がり抵抗も軽減。街中で安定感のある快適な乗り心地を実現している。

「クロスコアRC」は「ワバッシュ RT」と違い、バーハンドルを装備しているため、ライディングポジションは前傾姿勢がキツくないリラックスした姿勢。ゆったりと景色を楽しむぐらいの余裕でライドするのが心地良いと感じた。フロントフォークにはSR SUNTOUR製のサスペンションが搭載され、悪路だけでなく、舗装路の継ぎ目など細かい段差の衝撃も緩和してくれるので、フロントの接地性が高く安心して走ることができる。

走行時の負担を軽減するフラットバーを採用しているため、「ワバッシュ RT」よりもリラックスした姿勢で運転できる。日常使いには最適だ。

「ワバッシュ RT」同様にモーターのアシストはパワフルで不足はない。「オートマチックアシストモード」の制御も優秀で自然なフィーリングで走行することができる。これなら日々の通勤も快適に、毎日無理なく使い続けることができそうだと感じた。

フロントサスペンションフォークにSR SUNTOUR NEX-E25を採用。路面の凹凸などの衝撃を吸収してくれるので安定感が高い。悪路だけでなく街中の走行も路面の継ぎ目などの段差による衝撃も吸収して快適に乗ることができる。サスペンションの硬さも調節可能。

「クロスコアRC」のカラーリングはトレンド感を高めた3色を展開。「シティ」「アクティブ」「ネイチャー」というテーマを軸に、フォーマルでありながらも、肩肘の張らないカジュアルコーディネートに最適な「スペースグラファイト」、高級感とスポーティーさを融合させた「マットブロンズ」、カフェやビーチライフなどスローカジュアルなイメージを表現した「カーキジェイド」が設定されている。

大型2.8インチカラーディスプレイとスマホがリンク

「CROSSCORE Connected」クロスコアRCに大型ディスプレイとBluetoothでのコネクト機能を搭載したモデル。価格は税込36万6300円。

さらに「クロスコアRC」をベースに、YPJシリーズ初のコネクテッド機能を搭載したモデル「クロスコア コネクテッド(税込36万6300円)」も発売。同社が企画・開発したアプリを介して、リアルタイムで様々な情報を提供。走行距離や速度、消費カロリーなどが表示され、より快適にライドを楽しめる。メンテナンスのタイミングや方法お知らせしてくれる機能も搭載されているので、初めてeBikeを購入する方や、自転車の知識が浅くライドが不安な方にもお勧めだ。カラーは「スペースグラファイト」。

スマートフォンアプリ「YAMAHA e-Bike Link」と連携すると、写真に表示されているように、バッテリー残量や走行可能距離などリアルタイムでさまざまな情報を確認することができる。
「メンテナンスノート」では、メンテナンス方法や推奨点検時期の通知、作業履歴の管理、取扱可能な店舗の情報など、長期間安全に走行するために必要なサポート機能を提供する。

試乗を通して感じたことは「素直に楽しい!」という印象だ。スポーツ系の自転車に電動アシストを搭載することは邪道なのではないか? と考えるユーザーもいると思う。筆者もその考えはあった。しかし、試乗をしてみると、考え方は180度の方向転換。基本性能の高いスポーツ系の自転車にモーターを搭載することで、「キツイ、疲れる」といったネガティブな部分をモーターのアシストに担当してもい、ライディングの「楽しい」部分だけにユーザーは集中することができる。「楽するアシスト」から「楽しむアシスト」への進化を感じ取ることができた。

まず、スタリングが良いので愛着が湧く。そして、自転車の「キツイ、疲れる」といった辛い部分を電動アシストに任せることで、リラックスした気持ち走る余裕が生まれる。これなら毎日の自転車通勤を続けられそうだ。筆者のような三日坊主の性格にはピッタリの1台と言えるだろう。

横浜・みなとみらいに今年6月、新しくに誕生した「YAMAHA e-RIDE BASE」は、誰でも無料で気軽にヤマハの「e-BIKE=スポーツ系電動アシスト自転車」を体験できるスポットとして話題になっている。少しでも興味を持ったら、ぜひ体験してみていただきたい。

ヤマハが創るのは、乗り物と感動!「YAMAHA e-RIDE BASE」もっと電動アシスト自転車に乗りたくなる新スポットだった!

ヤマハ発動機が電動アシスト体験ができる「YAMAHA e-RIDE BASE」をオープンしたというので早速訪問。横浜みなとみらい地区のその場所へ行ってみると、ヤマハのモビリティ体験だけでなく、なんと隣は広大なヤマハミュージック(ヤマハ株式会社)の楽器体験スポットだった。2つのヤマハを体験できる新スポットとは? TEXT&PHOTO:小林 和久(KOBAYASHI Kazuhisa)

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著者プロフィール

土屋直軌 近影

土屋直軌

1982年生まれ、静岡県出身。都内の美術大学を卒業後、なんとなくモータースポーツ関連のイベント制作会社…