ランエボが!インプレッサが!ミラージュが!最新のヤリスや86/BRZとタイムアタックバトル!? ネオクラ的にも楽しめるダートトライアル選手権

未舗装路で争われる全日本選手権の冠を持つ自動車競技にラリーとダートトライアルがある。2024年8月4日(日)に『グループAラリーカーミーティング』が開催されたエビスサーキットの新南コース「スライドパーク」では、同日(8月3日〜8月4日)に全日本ダートトライアル選手権の第6戦『ALL JAPAN SUPER DT in EBISU(スーパーDT)』が開催されていた。『グループAラリーカーミーティング』の取材と合わせて時間の許す範囲で観戦してみたのだが、今では街ではすっかり見なくなったクルマが走っていたのに驚いた。
REPORT&PHOTO:大橋俊哉(OHASHI Toshiya/MotorFan.jp)

インプレッサWRX!レガシィRS!ヴィヴィオRX-R!本物のWRCマシンが並んだ『グループAラリーカーミーティング』

2024年8月4日(日)、福島県のエビスサーキットにスバルがWRCで走らせた本グループAマシンが4台も集結するイベント『グループAラリーカーミーティング』が開催された。並んだマシンはレオーネRX、レガシィRS、インプレッサWRX、そして今回がレストア後の初のお披露目となったヴィヴィオRX-Rだ。いずれもWRC参戦歴のある本物。そんな貴重なイベントの様子を紹介しよう。

ダートトライアルとは?

国内モータースポーツを統括するJAF(日本自動車連盟)のオフィシャルサイトでは以下のように説明されている。

ダートトライアル競技は、未舗装路面に指定されたコース走行するタイムトライアル競技で、全国各地にあるJAF公認コース(ダートトライアルコース)で開催されています。

同じ未舗装路で行われる自動車競技でもラリーと比べると敷居が低く、クローズドコースでの開催なので観戦も容易。コースによってはコース全域が視野に入れられる会場もある。それでいてクルマやドライバーの走りも間近で見ることができ、入場料もモータースポーツ観戦としては安いのが魅力。

スーパーDTの会場はエビスサーキット新南コース「スライドパーク」。以前は舗装コースでドリフトの聖地として多くのファンが足を運んだ。2022年にダートコースに生まれ変わり、全日本ダートトライアルの会場になった。元がドリフトコースということもあり、観客席がコースにとても近い。

ただ、会場の交通の便が良くないのはモータースポーツの例に漏れない。それと、悪天候は言わずもがな、天気が良くても、観戦場所や風向きによっては観客は競技車両が巻き上げる砂埃を浴びることなる。文字通り”砂被り”というわけだ。

激しく砂塵を巻き上げる競技車両。
パドックにはダンロップや横浜タイヤといったタイヤメーカーがサポートとしてタイヤを持ち込んでいた。
テインなどエントラントやイベントをサポートするパーツメーカーもブースを構えていた。

今やネオクラシックとなったクルマが目白押し!

ダートトライアルは排気量や駆動方式、改造範囲などで細かくクラス分けがなされている。ノーマル車のクラスでは、小排気量の二輪駆動では新旧スイフト(スポーツ)が圧倒的に多く、フィットやデミオが散見される。FR車に至っては新旧86/BRZの実質ワンメイクだ。

PN3クラス(1600cc以上のノーマルFR車)は新旧の86/BRZのみ。ゼッケン064はパッション崎山選手のDL☆ラブカ☆ライズGR86。
ゼッケン061、YH・KYB・スラパ・GR86の竹本幸広選手はエビスサーキットのチームでエントリー。
ゼッケン49(徳山優斗選手)のADVANオクヤマFTGR86(ZN08)。エントリー台数はBRZより86が多い。
ゼッケン62(和泉泰至選手)のDLクスコXP・GR86。エントリーのほとんどが現行モデルだった。

ノーマル車のクラスでも4WDターボのクラスになるとGRヤリスに加え、ランサーエボリューションのエントリーがグッと増える。しかも、2015年まで販売された最終型のランエボX(CZ4A)だけでなく、2005年のランエボIX(CT9A)の数が侮れないのが、ランエボの競技車両としての強さを感じさせる。

ゼッケン62はNクラス(ナンバー付きノーマル車)河田富美男選手のDLZEALレプソルGRヤリス(GXPA16)。
ゼッケン60は同じくNクラスの伊藤益弘選手のBOOBOW・DL・ランサー(エボIX/CT9A)。
ゼッケン64もNクラス。星 盛政選手のYHモウルWAKO’Sランサー(エボIX/CT9A)。

これが改造クラス(改造範囲はナンバー取得可、取得不可に分かれている)となると、二輪駆動はスイフトに加えミラージュ(CJ4A/CA4A)やインテグラ(DC2)、シビック(EK4/EK9)、FFインプレッサ(GP2)、FFヤリス(MXPA12)と実にバリエーション豊かだ。

SA1クラス(二輪駆動のナンバー付き改造車)に出場していたミラージュ(CJ4A)は、古沢和夫選手のYHテイン☆セラメタミラージュ。CJ系のミラージュは五代目にあたる1995年〜2000年のモデルで、当時から多くのモータースポーツユーザーに愛された。
SC1クラス(二輪駆動のナンバー無し改造車)でダブルエントリー(ゼッケン104:アキマただゆき選手/ゼッケン114:小出久美子選手)の(7)切谷内WURTHシビックDL(EK4)。オフロードの印象が薄いシビックだが、EK系は当時からダートトライアルに使用されていた。タイプRのEK9ではなく、SiRのEK4の方がトルク特性がダートでは扱い易いと言われていた。
SC1クラスのゼッケン026(佐藤史彦選手)小倉学園YHCMSインプレッサはFFのGP2がベース。
同じくSC1クラスのゼッケン021(山崎迅人選手)YHマックスゲンシンミラージュは1991年〜1995年に販売されたCA4A型。 1990年台のラリーやダートトライアルでユーザーが多かった。

改造クラスの四輪駆動はGRヤリス、ランエボに加えインプレッサWRX(GDB)が加わる他、より改造範囲の広いクラスにはGP/GJ型のインプレッサがエントリーしていた。

KITサービスと縁の深い上州オートクラブはインプレッサWRX(GDB)でSA2クラス(四輪駆動のナンバー付き改造車)に2台エントリー。ゼッケン91・更科昌義選手のCT更科SYHMインプレッサは鷹目。
同じく上州オートクラブのゼッケン89・豊﨑純任選手のCT更科ALEX/SEインプはGDBでも丸目モデル。
ゼッケン94(遠藤誠選手)のINDXLYHインプレッサHEは涙目モデル。インプレッサ勢のクラス最上位に。
ゼッケン103・林軍市選手のYHクスコトラストF2ランサーはエボX(CZ4A)。

それぞれクラス分けはされており、完全なガチンコではない場合もあるが、最新のGRヤリスと2005年デビューのランエボIXが同じ土俵でタイムを競っているのはなかなか面白い。しかも、4WDターボが出場する全てのクラスでGRヤリスが勝てていなかったのが意外だった。

ゼッケン54はNクラス(ナンバー付きノーマル車両)2位となった宝田ケンシロー選手のYHオクヤマFT小松GRヤリス(GXPA16)。優勝はわずか0.05秒差でランエボX(CZ4A)だった。

なかでも改造無制限とも言えるDクラスは同じクラスで戦うクルマのバリエーション、ド派手な改造、全日本ラリーに参戦するトップドライバーがドライブする大迫力の走りが見られるダートトライアルの華。今回は『グループAラリーカーミーティング』とヴィヴィオのグループAの取材がメインだったことから、見学できなかったのはとても残念だった。

【画像50枚】1993年のサファリラリーで優勝した軽自動車!? スバル・ヴィヴィオ・グループAが完全レストアで当時の勇姿とサウンドが甦る!

2024年8月4日(日)、福島県のエビスサーキットにスバルがWRCで走らせた本グループAマシンが4台も集結するイベント『グループAラリーカーミーティング』が開催された。展示車両の1台、ヴィヴィオRX-Rについて詳細に紹介しよう。

なお、『グループAラリーカーミーティング』を主催したKITサービスはエントラントしてスーパーDTに参戦しており、代表の小関高幸氏がPN3クラス(1600cc以上のFR/ナンバー付きノーマル車)のBRZで3位、同チームの佐藤秀昭選手がやはり同クラスのBRZ、しかもこちらはATでクラス優勝している。

KITサービス代表・小関高幸氏のBRZ(ZD8)。
佐藤秀昭選手(KITサービス)のBRZ(ZD8)はAT。

ちなみに「ALL JAPAN SUPER DT in EBISU」の観戦入場料(駐車場代含む)は1700円(JAF会員証提示で1600円)。会場となったエビスサーキットには東北サファリパークもある。近隣には安達太良高原もありキャンプや温泉など各種アクティビティも楽しめるので、家族でも楽しめるのではないだろうか。

全日本ダートトライアル選手権『スーパーDT』フォトギャラリー

キーワードで検索する

著者プロフィール

大橋 俊哉 近影

大橋 俊哉

自動車部でダートラとジムカーナとラリーを少しずつかじった大学卒業後、ゲーム雑誌編集として10年過ごし…