モデューロ誕生30周年トークショー、土屋圭市「危ない仕事はオレがやる!」と開発秘話を語る

ホンダアクセスは9月29日、東京港区のホンダウェルカムプラザ青山にてモデューロ・ブランドの誕生30周年を記念した「Modulo 30th Anniversary スペシャルトークショー」が開催された。モデューロ開発アドバイザーである土屋圭市氏がゲストで登場し会場は大いに盛り上がった。

モデューロ30周年の歴史を語るトークショー

MCはモータースポーツアナウンサーのピエール北川氏とカーライフジャーナリストのまるも亜希子氏

東京港区のホンダウェルカムプラザ青山にて、モデューロ・ブランドの誕生30周年を記念した「Modulo 30th Anniversary スペシャルトークショー」が開催された。会場には170名を超えるファンが集まりトークショーは大いに盛り上がった。

トークショーのゲストには、ホンダアクセスOBで元モデューロ開発統括の福田正剛氏、ホンダアクセス シビック用テールゲートスポイラー開発者の山崎純平氏、モデューロ開発アドバイザーを務める土屋圭市氏の3名を迎えて、MCをモータースポーツアナウンサーのピエール北川氏とカーライフジャーナリストのまるも亜希子氏の2名が努めた。ここでしか聞くことのできない興味深い内容のトークショーを繰り広げた。

「Modulo」は、ホンダ車の純正アクセサリーを開発しているホンダアクセスから、純正ホイールブランドとして1994年に誕生した。その後、モデューロ・ブランドはエアロパーツなどの機能部品にまで広がり、2013年には「Modulo X」というコンプリートカーにまで発展しているほどホンダアクセスを象徴するブランドとなった。街乗り速度でも体感できる空力を重視した「実効空力」という思想で作り出されるエアロパーツやウイングなど、独自のアプローチで上質な商品を開発し続けている。開発アドバイザーを務める土屋氏は、2008年頃より開発に携わりモデューロの走りの味付けを長年行ってきた。

VEZEL e:HEV 純正アクセサリー装着車 Sports Style “剛性最適化”技術を投入して開発した「アルミホイールMS-050」と、“実効空力”を意識した造形の「テールゲートスポイラー」を装着した、新型VEZELの純正アクセサリー装着車。

開発では現場の感覚を大切にする

トークショーでは、ホンダアクセスOBで元モデューロ開発統括を努めた福田正剛氏は、
「モデューロのエアロパーツはバランスにこだわって開発をしているのが特徴です。派手なウイングやスポピラーをつければ、ダウンフォースは増えるかもしれないけど同時にドラッグも増えていく。それはサーキットで一発のタイムを出すのには有効だけど、日常ではマイナス面も出てきてしまう。

そうではなく、日常でも運転しやすい上質なクルマ。例えば、前後バランスが取れていて、シーソーのように釣り合っている状態。この状態なら軽い力で物体を動かすことができます。このような状態を意識して開発を進めてきました。

ホンダアクセスOB 元・Modulo開発統括 福田正剛氏

そして、現場での感覚を大切にすること。いくら計算で良い数値が出ていても、やっぱりクルマは乗らないと分からない。そうやって走り込んで、鍛えていくと安心感と上質感が出てきます。鍛え上げられてアスリートは姿勢が良くビシッとしている。というイメージでしょうか。そこを作り出していうのが私達の仕事だと思っています」とパーツ開発のこだわりを語った。

S660 Modulo X Version Z Modulo Xシリーズの開発を通じて、ホンダアクセスの “実効空力”エアロパーツと“剛性最適化”アルミホイールの技術レベルが高まりました。なかでもS660 Modulo Xはホンダアクセスが土屋氏とともに開発に長い時間をかけ、実効空力性能に磨きをかけたモデル。

土屋圭市が語るモデューロ開発秘話

福田氏のコメント受けて、開発アドバイザーを務める土屋圭市氏は、
「ホンダアクセスの人は数字に頼らない人が多い!そして、しつこいぐらい走るんですよ!足回りの開発の時なんか、1日で5セットぐらい持ってきちゃうんだから(笑)
そうやって、とにかく走る。こだわりをもって良いものを目指す。という姿勢は本当に大切です。シュミレーションのデータばかり見ていても良いクルマは作れないんですよ。

Modulo開発アドバイザー 土屋圭市氏

そうして、普段のステアリングを切ったときとか、ちょっと段差を乗り越えたとき、普段の運転で普通の人が変化に気づくクルマを目指しているんですよ。ワンランク上のタイヤを履いてるかのような安心感というか。しかも10人のうち8人が感じ取れるぐらいの高いレベルを求めて開発テストを行ってきました。

それと同時に、クルマの限界を試すことも必要なんです。開発テストでは、かなり速い速度でアンジレーションを走ったり、ウエットでハードにステアリング操作をしたりします。普通の人にはできない危険なことは全部オレの仕事なんです!

そうやって良いものが生まれるんです。限界を超えて破綻したときにクルマがどうゆう挙動をするのか試す必要がある。ただ、こうゆうのは信頼できるクルマだからできることであって、危ないクルマでやるのは絶対に嫌ですよ(笑)」と開発秘話を語った。

Sports Modulo CIVIC TYPE R(FD2)“実効空力”をはじめて提唱したのが2008年に発売したCIVIC TYPE R用のエアロパーツでした。土屋氏がホンダアクセスの開発にはじめて関与したモデル。

シビックのため作り込んだテールゲートスポイラー

そして、新商品となるシビック用テールゲートスポイラー開発者の山崎純平氏は、
「シビック用テールゲートスポイラーは、先に発売したシビック・タイプR用のテールゲートスポイラーをベースに制作したので割と簡単に作れたのでは? と思う方もいるかもしれませんが、タイプRとはフロントの空力やエンジンパワーも違うので、全く別のクルマといいぐらい前後バランスも異なります。そのため、シビック用は最初から作り直す必要がありました。タイプRの流用品ではなく。それを超えるシビック専用ものを作りたかったんです。

ホンダアクセス CIVICテールゲートスポイラー開発者  山崎純平

ウイング下面のギザギザしたシェブロンの配置は、色々なパターンを試してかなりこだわりました。そして、両端にある3つの突起の配置で、翌端板から発生する乱気流を整える効果があるということが分かり、特許を申請することになりました。色々試してみてよ収穫がありました。

そして、シビック用テールゲートスポイラーは、マイナーチェンジ前のシビックにも適合するようにしているので、台座のを残してウイング部分を交換して装着することができます。マイチェン前オーナーも愛車のアップデートが実現できる仕様にしました」とこだわりを語った。

新型CIVIC RS テールゲートスポイラー(ウイングタイプ)
装着車これまで培ってきた“実効空力”のノウハウを投入して開発した、純正アクセサリー「テールゲートスポイラー(ウイングタイプ)」を装着した、新型CIVIC RS(今秋発売予定)。

会場には過去に発売されたモデルから現行モデルまで全6台のマシンが展示され、モデューロ・ホイールの初代となった貴重なホイールなど、モデューロの歴史を振り返るアイテムが多数展示されていた。

左のゴールドのホイールが、1994年発売 Moduloアルミホイール(3代目VIGOR用)

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