惜しい走行も多かったダンロップ勢だが、DUNLOP DIREZZA β02を履くチーム・ドルーピー石川がポイント獲得【D1GP EBISU DRIFT】

例年は8月に開催されるグランツーリスモD1グランプリシリーズ・エビスラウンドだが、猛暑を避けるために2024年は7、8月にサマーブレイクがとられ、9月下旬に開催された。ダンロップ勢であるチーム・ドルーピーの2台、“のむけんJr.”野村圭市は「あと少し」という悔しい走行も多かったが、石川が第5戦で12位に入り、ポイントを獲得した。

Photo:サンプロスD1事務局

「グランツーリスモD1グランプリシリーズ」第5戦と第6戦が開催されたのは9月最後の週末。猛暑は終わり、モータースポーツ観戦には最適な気候になった。エビスサーキット西コースの審査区間は例年通りだったが、ふたつめの通過指定ゾーンの位置が変更になるとともに、飛び込み手前のストレートにラインが引かれて進入のライン取りが限定されたことで、非常にシビアなコントロールが要求される設定となった。

URAS RACINGのDUNLOP CUSCO SKYLINE(ER34)を駆る野村は、前戦の筑波でエンジンブローを起こしていたため、インターバルの期間にエンジンを載せ替え、これまでの3.4L仕様から3.6L仕様に変更してきた。このエンジンはかつて父親の“のむけん”がD1GPで使っていたもので、圭市自身もD1ライツのときに使っていたエンジンだという。さらにタービンもMAMBAの新作のものに交換してパワーアップ。冷却系や燃料系の手直しとサージタンクの変更により信頼性も高めてきた。

チーム・ドルーピーのHT・DUNLOP・86(GR86)も3.4L仕様のエンジンから3.6L仕様のエンジンに載せ替えてきた。これは2JZエンジンを採用した今季当初からの予定どおりで、両方の仕様の特性を探るためだという。ドライバーの石川は、「アクセル踏み直しのときに強い。ドンとくる気がする」というコメントだ。

金曜日の公式練習から発表されたDOSS(機械審査システム)のスコアでは、ギヤ比を合わせるのに多少手こずった石川も含め、野村、HT・DUNLOP・85(AE85)の松川いずれもまずまずの得点を出し、DUNLOP DIREZZA β02のグリップ性能や扱いやすさを証明していた。

野村が搭載してきたのは東名パワードのコンプリートエンジン。タービン変更もあわせて、現在は800psオーバーになったという。

そして土曜日午前に開催された第5戦の単走、まずGR86に乗る石川は大きな角度をつけた飛び込みやクイックな振り返しを見せて難なく9位通過。いっぽうAE85に乗るチームメイトの松川は深い角度がつけられないなどで得点が伸びず26位。まずまずの角度で飛び込み、鋭い振り返しも見せた野村だったが、じつはステアリングが引っかかるトラブルに見舞われていて、2番目の通過指定ゾーンに届かず、惜しくも19位で単走敗退となってしまった。

午後に行われた第5戦の追走トーナメント、石川のベスト16の対戦相手はランキング首位にいる齋藤(太)だった。1本目は齋藤が先行。単走の時点でずば抜けた進入速度を記録していた齋藤のマシンはやはり加速力に勝っていて1コーナーの飛び込みまでに石川は離されてしまう。96.1対96.6と得点ではリードしたがその差はわずかだった。そして石川先行の2本目。石川も98.2という高得点を記録したものの、後半にかけてきっちり齋藤に寄せられて接近ポイントをとられ逆転負け。石川はベスト16敗退となった。

石川は、齋藤(太)のスピードには敗れたものの、DUNLOP DIREZZA β02の実力を引き出し、先行時には98.2点という高得点を叩き出していた。

翌日曜日に第6戦が行われた。コース設定は前日と同様だ。まずは単走。野村の1本目は1コーナー立ち上がりでドリフトがもどってしまい、2本目もいまひとつ決まらず減点が入ったこともあって、単走を通過できる得点はとれなかった。松川は1本目にまずまず走りをまとめたが、進入の速度や2コーナー手前の振り返しなどで点が伸びず、惜しくも19位で単走通過ならず。

そして前日は余裕で単走通過を果たした石川だったが、1本目はキレを欠く振り出しから1コーナーでアウトに流されてしまい大きく減点を受ける。2本目は振り出しですっぽ抜けるような形でスピン。これまた大きな減点となって追走トーナメント進出を逃してしまった。

ゾーン外しなどのミスが出て追走進出を果たせなかった野村。スピードやリズムはよかったので、あとは細かい仕上げか。
松川はまとまった走りを見せたものの、追走進出の条件である上位16名には届かず。

大会後に野村はこうコメント。

「DUNLOP DIREZZA β02は2日間とも信頼しきって行けたので、思い通りの走りがコンスタントにできればいいんですけど、そこまで持っていけてない感じですね。上位の人たちを見てると同じような走りをしたくなるけど、たぶんいまのクルマで同じことやろうと思っても難しいんで、そこを割り切ってポイントを確実にとれるように走るっていうのも大事だし、上位の選手のような走りができるクルマ作りを目指すっていうのも大事なのかなと思います。難しいところですけど、がんばります」

またチーム・ドルーピーの松岡監督はこう話してくれた。

「なかなかうまいこといかんのぉっていう感じはする。ほんと紙一重なんだけど、石川に関しては、今日は進入でリヤが出きらない、昨日出たはずのものが出きらないということがあったんだけど、路面の変化に対する対応っていうのがうまくいかなかったのは事実で、それにはここまでの流れで、これが原因かもしれない、あれが原因かもしれないというのはいっぱい思い当たるんで、これから先は組み立てかたを変えて試してみようといった修正は確実にできる。

松川に関しては、もう少し奥で振れれば、っていうのがずっとあったんだけど、それができたのが今日の2本目だったので、やっぱりちょっと組み立てのミスがあったかな。練習で振りが奥すぎると飛び出してぶつかったりしていたので、こっちもやっぱり紙一重だった。

クルマは、かなり今はいい状況まで仕上がってきたんでね。残り4ラウンドしかないけど、まだまだあきらめてないんで、あと、ほんとに微調整というか、細かい組み立てでいけると思います!

タイヤに関しても、このコースでは摩耗もグリップレベルも、じゅうぶん3本走れるコンディションを維持してくれて、DUNLOP DIREZZA β02はすっかり安心して使ってます。次のオートポリスは嫌いじゃないコースなんだけど、タイヤの減りが速いコースだから、そこはDUNLOP DIREZZA β02に頼っていきたいと思います!

練習日からの走りの内容に関しては満足のいく手応えがあっただけに、このラウンドの結果に関しては悔しそうな松岡監督。

上位入賞はならなかったが、質の高い走りを見せたダンロップ勢。マシントラブルも減り、戦闘力は確実に上がっている。次のラウンドは、チーム・ドルーピーも野村も相性がいいオートポリス。ほんのちょっと歯車がかみあえば、結果がついてくるはずだ!

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