開発コンセプトは「細胞研究のベストパートナー」。最先端技術を取り入れ、研究者からのフィードバックを活かし、ユーザーエクスペリエンスを向上した次世代セルハンドリングシステム
近年、新薬の開発費は増加傾向にあり、新たに増加しているiPS細胞等の幹細胞を用いた創薬研究や実験動物を用いない非臨床試験では、細胞の取り扱いの効率化や精緻化に加えて、工程全体の自動化・省力化・デジタル化が求められている。
同社では表面実装機(サーフェスマウンター)を中心とする産業用ロボット技術のさらなる活用を視野に、2010年からメディカル分野への検討に着手し、2017年に「セルハンドラー」を発売した。超高速・高精度なピック&プレース技術を応用し、電子部品に比べて不均一な形状で、柔らかく壊れやすい細胞(塊)※に適した吸引吐出技術や画像処理技術を開発。手動では困難な速度と精度で対象となる細胞(塊)を選択、高密度培養プレートへひとつずつ移動するとともに撮像し、画像情報を取得・データ化することを実現しました。「セルハンドラー」は世界の研究機関や製薬企業に納入され、創薬開発などの工程の負荷軽減に役立てられている。
※単一細胞もしくはその集合体
このたび発表された「セルハンドラー2」は、「セルハンドラー」の後継機で、開発コンセプトは「細胞研究のベストパートナー」。最先端技術を取り入れ、研究者からのフィードバックを活かし、ユーザーエクスペリエンスを向上した次世代セルハンドリングシステムだ。AIによる自動化とイメージング機能の強化、操作感の向上を実現し、新たな発見を目指す研究者の挑戦を力強くサポートする。
「セルハンドラー2」は、研究者の日常的な使用を想定し、吸引・吐出だけでなく、観察や解析など、細胞を扱う研究のさまざまな工程における作業環境の効率化を目指して開発された。AIによる細胞の自動選別や、オートフォーカス機能によるスムーズで明瞭な画像撮影により、省力化しながら、より精緻な作業が可能になった。動画での撮影や、吸引した細胞(塊)配置の自由度向上も実現し、研究の幅が広がることが期待できる。さらに、細胞吸引後の画像撮影におけるトレーサビリティを改善し、細胞周辺の画像を自動で繋ぎ合わせた「タイリング画像」の自動生成により、信頼性の高いデータ構築に貢献する。
同社は2022~24年の中期経営計画において、新規事業と成長事業を戦略事業領域と位置づけ、将来のコア事業に育てるための経営資源を積極的に配分するポートフォリオマネジメントを進めている。そのなかで、医療・健康分野を戦略事業領域のひとつと位置づけ、将来のコア事業とするための体制強化、需要創出による事業拡大を目指している。