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■ハイソカーとして一世を風靡した5代目マークIIにワゴン登場
1984(昭和59)年11月21日、トヨタから5代目マークIIをベースにした「マークIIワゴン」がデビューした。ワゴンは、初代「コロナマークII」からモデルチェンジごとに設定されたが、ハイソカーとして大ヒットした5代目マークIIのステーションワゴンも、アウトブームの広がりとともに若者を中心に人気を集めた。
初代から設定されたセダンと同等装備のマークIIワゴン
コロナマークIIの源流である「トヨペットコロナ」が誕生したのは、1957年のこと。コロナは、日産の「ダットサン(1959年からはブルーバード)」に対抗するモデルとして、長期にわたってBC(Bluebird-Corona)戦争と呼ばれたライバル関係が続いた。
1960年代も後半になると、クルマの上級化が求められるようになり、それに対応するために新たに開発されたのが、1968年にデビューした「コロナマークII」だった。コロナマークIIは、クラウンとコロナの中間に位置づけられ、エンジンは1.6Lと1.9L直4 SOHCが搭載され、4ドアセダンと2ドアハードトップの他、商用車のバンとピックアップ、そして乗用車登録のワゴンが設定された。
ワゴンは、バンに対して内外装を豪華に設けているほか、前輪ブレーキをセダン系と同じディスクとし、パワートレインは当初1.6L直4 SOHCエンジンと3速MTの組み合わせだった。
初代以降も人気のマークIIとともにワゴンも進化
その後も、2代目(1972年~)マークIIは先進的なデザインで初代より大型化、3代目(1976年~)は特徴的なヨーロピアン調に変貌し、マークIIはより上級化を求める市場に応えてアッパーミドルの高級セダンとして人気を獲得した。
1980年にデビューした4代目は、角型ヘッドライトを組み込んだ直線基調のシャープなスタイリングのピラードハードトップが大ヒットし、スポーティな高級セダン“ハイソカー”ブームの火付け役となった。
ワゴンは、初代以降も各世代で設定され、ベースのセダン/ハードトップとともに堅調な人気を獲得したが、1980年代後半には日本でもアウトドアブームが起こり、それまでの商用車的なイメージのワゴンからレジャー用としての需要が高まり、米国のように若者からも人気を獲得するようになった。
5代目マークⅡワゴンは高級ステーションワゴンとして人気を獲得
そして1984年8月、この世代から車名のコロナの冠が取れて単独ネームのマークIIとなった5代目が登場。先代同様の直線基調のシャープかつスポーティなスタイリングで、高級感と走りのブラッシュアップが図られ、ハイソカーを代表する大ヒットモデルとなった。
5代目マークⅡのワゴンは、セダン/ハードトップの3ヶ月遅れのこの日に登場し、エンジンやインテリア、装備などはセダン系と同等に設定。1グレードのみで2.0L 直6 SOHCエンジンを搭載し、トランスミッションは5速MTと4速ATが組み合わされた。
エンジンやフロントフェンダー、フロントバンパーなどをセダン系と共用し、細いB、C、Dピラーでスタイリッシュなワゴンスタイルを形成。インテリアは、木目調パネル前後席パワーウインドウ、集中ドアロック、チルト機構付きステアリング、フルオートエアコンなど、これらもセダン系と遜色ない装備だった。
車両価格は、165.2万円(5速MT)/173.1万円(4速AT)。当時の大卒初任給は13.5万円程度(現在は約23万円)だったので、単純計算では現在の価値で約281万円/295万円に相当する。5代目マークIIワゴンもベースのハイソカーブームの後押しもあり、レジャー用途の高級ステーションワゴンとして若者から人気を集めた。
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1970年代までは、ワゴンは乗用車登録ながら装備を豪華にした商用車バン的なイメージが強かった。しかし、5代目マークIIワゴンが登場する頃には、日本ではサーフィンやスキー、キャンプなどのアウトドアブームに火が付き、お洒落なステーションワゴンが若者から人気を獲得するようになった。
そして、1989年にスバル「レガシィ・ツーリングワゴン」が登場し、よりスタイリッシュでスポーティさをアピールするステーションワゴンの大ブームが起こったのだ。
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