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■8代目シビックに進化版ハイブリッド採用
2005年(平成17)年11月22日、ホンダは9月22日にデビューした8代目「シビック」に、新しく開発したIMA+3ステージi-VTECのハイブリッドを搭載した「シビックハイブリッド」を追加。進化版IMAと運転条件に応じて低回転、高回転、気筒休止の3段階のバルブ制御を行なうi-VTECエンジンの組み合わせで、走りと低燃費の両立を実現した。
7代目シビックにシビック初のハイブリッドモデル登場
初代から28年を経て登場した7代目シビックは、2000年に“スマートシビック”の愛称でデビューし、5ドアハッチバックとセダン「フェリオ」が設定された。そして、翌2001年にはセダンのフォリオにシビック初のハイブリッドモデルが追加された。
フェリオに搭載されたハイブリッドシステムは、「インサイト」で採用されたマイルドハイブリッドのIMA(インテグレーテッド・モーター・アシスト)。ハイブリッドに組み合わせたエンジンは、1.3L直3 i-DSIエンジンで、1気筒に2本の点火プラグを装着したリーンバーン仕様である。さらに、VTECを気筒休止に適用して減速時に4気筒のうち3気筒を休止させてポンピングロスを減らすとともに、減速回生を増やすことによって燃費改善を図った。
IMAと低燃費エンジンの組み合わせで、10-15モード燃費は29.5km/Lを達成。これは、当時のトヨタ「プリウス」の29.0km/Lを上回り、5人乗り量産ガソリン車として世界トップレベルだった。
3ナンバーボディでミドルカーセダンとなった8代目シビック
2005年に7代目シビックがモデルチェンジして、8代目に移行。最大の特徴は、ボディサイズが3ナンバーへと拡大されたこと。コンパクトカーというポジションは、2001年にデビューして大ヒット中の「フィット」に譲り、またアコードがアッパーミドルセダンへ移行したため、8代目シビックはミドルカーセダンへとステップアップしたのだ。
ハッチバックが廃止され、4ドアセダンとなりフェリオのサブネームも廃止された。スタイリングは、キャビンを前進させて前後のウインドウの傾斜を寝かせてスポーティなイメージを強調。パワートレインは、1.8L直4 i-VTECエンジンと5速ATの組み合わせで、駆動方式はFFのみ。
i-VTECは、VTEC(可変バブルタイミング・リフト制御)機構を進化させ、VTECに連続可変バルブタイミング(VTC)を組み合わせ、低負荷時に吸気バルブの閉じるタイミングを遅くする機構を追加した可変動弁機構。従来の高速カムと低速カム切り替えに加えて、低速時に吸気のバルブリフトを低減して吸気のポンピング損失を減らして、燃費も低減するのが狙いである。
8代目シビックでさらに進化したハイブリッドシステム
セダンのデビューから2ヶ月遅れで登場したシビックハイブリッドは、高効率IMAと新たに開発されたバルブ可変機構“3ステージi-VTEC”エンジンが採用された。
IMAのモーターは、ホンダが独自に開発した高効率モーターで、エンジンとCVTとの間に組み込まれる。1.3L直4 エンジンには、新たに開発された“3ステージi-VTEC”機構が組み込まれた。これは、走行状況に応じて低回転、高回転、気筒休止の3段階のバルブ制御を行なう。
8代目シビックに設定されたシビックハイブリッドは、高効率のIMAと3ステージi-VTECエンジンの組み合わせ、さらにスムーズな変速ができるCVT(ホンダマチック)の採用によって、1.8Lエンジン並みの低速トルクを発揮しながら、31.0km/Lの低燃費が実現されて市場でも高く評価された。
車両価格は、2グレードで209万円/225万円。当時の大卒初任給は19.7万円程度(現在は約23万円)だったので、単純計算では現在の価値で約244万円/263万円に相当する。
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ホンダのハイブリッドは、マイルドハイブリッドの“IMA”で始まったが、簡易で低コストな分燃費向上率が低いシステム。その後、ホンダはさらなる燃費向上を目指してフル(ストロング)ハイブリッドの“i-DCD”や“i-MMD”を経て、現在は“e:HEV”に収束している。一方、シビックは8代目からグローバルなミドルカーセダンとして位置づけられたが、国内市場はセダン冬の時代、残念ながら2020年8月に国内での販売は終了してしまった。
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