コスパ抜群! スズキ「スイフトスポーツ(ZC32S)」は168万円~【今日は何の日?11月28日】

スズキ3代目スイフトスポーツ
スズキ3代目スイフトスポーツ
一年365日。毎日が何かの記念日である。本日は、リーズナブルな価格で運転が楽しめるスズキのホットハッチ「スイフトスポーツ」の3代目が誕生した日だ。スイスポ人気に火を付けた2代目に続いた3代目は、走りと装備を充実させた正常進化によってスイスポ人気を加速させた。
TEXT:竹村 純(Jun TAKEMURA)/PHOTO:三栄・新型スイフトスポーツのすべて

■スポーツモデルのフラッグシップとして進化した3代目

2011(平成23)年11月28日、スズキは3代目となる新型「スイフトスポーツ」を発表(発売はMT車12月13日、CVT車2012年1月27日)。スイスポは、人気コンパクトカー「スイフト」のスポーツモデルとして2003年に誕生したが、3代目は“スポーティ・フラッグシップ”を開発コンセプトに基本性能を大幅に高めた。

スズキ3代目スイフトスポーツ
スズキ3代目スイフトスポーツ

スイフトのスポーツモデルとして誕生したスイスポ(HT81S)

2003年に誕生した初代スイスポのベースは、2000年にデビューしたコンパクトカーの初代スイフト(海外名イグニス)である。スイフトは、カルタスの後継車として登場し、ワゴンR+や軽「Kei」のワイド版で部品を流用した低価格が売りだったが、逆に安直に思われて人気は浸透しなかった。

スズキ初代「スイフトスポーツ」
2003年にデビューしたスズキ初代「スイフトスポーツ(海外ではイグニススポーツで販売)」

スイスポは、ベースのスイフトより全幅を50mm拡大、全高を15mm下げたスポーティな3ドアハッチバックスタイルへと変貌。パワートレインは、排気量を1.3Lから1.5Lに拡大してハイチューニングされた直4 DOHCエンジンとクロスレシオの5MTの組み合わせ。

最高出力115ps/最大トルク14.6kgmのパワーを支える足回りは、専用サスペンションと4輪ディスクブレーキ、さらに専用エアロパーツやオーバーフェンダーも装備され、本格的なスポーツ走行が楽しめた。特に欧州では、JWRC(ジュニア世界ラリー選手権)で大活躍して、“黄色い弾丸(イエローブリッド)”と呼ばれて多くの走り好きの若者から人気を集めた。

基本設計を刷新して人気を獲得した2代目(ZC31S)

2代目となるスイスポは、ベースのスイフトがモデルチェンジして2代目に切り替わった翌2005年に登場。初代で不評だった軽ベースのプラットフォームを、コンパクトカー専用設計に刷新し、世界戦略車と位置付けられた。

スズキ2代目「スイフトスポーツ」
2005年にデビューしたスズキ2代目「スイフトスポーツ」は専用プラットフォームに変更

専用のエアロパーツやテールランプユニット、特にフロントバンパーの大型化によってスポーティさをアピール。エンジンは、JWRCのレギュレーションに準じて排気量が1.6Lに拡大され、初代と同様に高圧縮比や鍛造ピストンなどチューンナップが施された。

軽量ボディに6800rpmで最高出力125psを発生する高性能1.6L直4 DOHCエンジンを搭載した2代目スイスポは、軽快な走りでスイスポの実質的な躍進はこのモデルから始まったのだ。

2代目スイフトはJWRCでも大活躍した
2代目スイフトはJWRCでも大活躍した

すべてを進化させてレベルアップした3代目(ZC32S)

スズキ3代目スイフトスポーツ
スズキ3代目スイフトスポーツ

3代目スイスポは、高張力鋼板を積極的に使ったシャシーを採用して、剛性と強度を高めながら先代に対して約10kgの軽量化に成功。スタイリングは、大開口のグリルやフォグランプベゼル、ルーフエンドスポイラーなどを採用、インテリアも黒基調に赤のステッチを多用して、スポーティさをアピールした。

スズキ3代目「スイフトスポーツ」
スズキ3代目「スイフトスポーツ」のリアビュー

エンジンは、先代と同じ1.6L直4 DOHCだが、可変吸気システムの採用や吸気抵抗を減らすなどして、最高出力は136ps/最大トルク16.3kgmに向上。組み合わされるトランスミッションは、6速MTとCVTを設定。

スズキ3代目「スイフトスポーツ」
スズキ3代目「スイフトスポーツ」のコクピット

足回りは、専用チューニングされたサスペンションや乗り心地とコーナリングを両立させるショックアブソーバーの採用によって、さらにレベルアップした走りを達成。それを実証するように、ジムカーナやダート、ラリーなど国内のモータースポーツで大活躍した。

スズキ3代目「スイフトスポーツ」
スズキ3代目「スイフトスポーツ」のスポーツシート、黒を基調にレッドステッチがオシャレ

車両価格は168万円(6速MT)/174.825万円(CVT)のお手頃価格で、これもスイスポ人気を加速した。ちなみに当時の大卒初任給は、20.1万円(現在は約23万円)程度だったので、単純計算では現在の価値で192万円/200万円に相当する。

スズキ3代目「スイフトスポーツ」の1.6直6 DOHCエンジン(M16A型)
スズキ3代目「スイフトスポーツ」の1.6直6 DOHCエンジン(M16A型)

待ちに待った新型5代目がついに登場か?

2017年に登場した4代目(ZC33S)は、初めてターボエンジンを搭載。パワートレインは、140ps/23.4kgmを発揮する1.4L直4 DOHCターボと6速MTおよび6ATの組み合わせ。走りの飛躍的な向上に加えて、多くの運転支援技術が採用されて安全性能が充実していることも注目された。

スズキ4代目(現行)「スイフトスポーツ」
)2017年にデビューしたスズキ4代目(現行)「スイフトスポーツ」。1.4Lターボエンジンを搭載

そして、昨2023年にベースの新型(5代目)スイフトが登場し、いよいよスイスポも新型が登場すると期待が高まっている。いろいろな情報が流れていたが、ついに2025年春というのが濃厚のようだ。

注目のエンジンは、欧州仕様のスイフトスポーツにすでに設定されている1.4L直4 DOHCターボ+ISG(48V)を組み合わせたマイルドハイブリッド仕様になるのでは、と予想される。

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スズキが得意とする軽量化をスポーツモデルに生かしたスイスポは、走りの楽しさを200万円程度の価格で体感させてくれる唯一無二の存在であり、近々登場しそうな次期型にも期待が膨らむ。4代目以降はターボエンジンでハイパワー化しているが、一方3代目スイスポはクセのないテンロクNAらしい走りで中古車市場では人気を獲得しているのだ。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。

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著者プロフィール

竹村 純 近影

竹村 純

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までを…