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■電気自動車「RAV4 L V EV」がインダクティブ充電方式を採用
1999(平成11)年11月29日、トヨタは RAV4ベースの電気自動車にインダクティブ充電仕様の「RAV4 L V(ファイブ) EV」を設定しフリート販売を始めた。インダクティブ充電システムは、現在普及している一般的な接触型でなく非接触の充電方式である。
RAV4 EVのフリート販売は1996年にスタート
ベースのRAV4は、1994年にデビューし、乗用車ベースの都会派SUVとして大ヒットした。
そのRAV4をベースにしたEVとして、トヨタは1996年9月に「RAV4 L EV」のフリート販売を始めた。フリート販売は、特定の大口カスタマーに買い戻し権付で販売する方法で、販売が目的ではなくEVの実車走行実績を積み、技術的なさまざまな情報を抽出するのが目的。市場実績のない新しい技術を採用したクルマを、一般ユーザーに販売する前にメーカーが行なう手法のひとつである。
「RAV4 L EV」は、最高出力45kW(61ps)/最大トルク165Nm(16.8kgm)の永久磁石式同期型モーターやインバーター、シール型ニッケル水素電池で構成され、最高速度125km/hで満充電時の航続距離は215km(10・15モード)を実現した。
この時の充電方式は、一般的に採用されている接触型コンダクティブ充電方式である。なお、「RAV4 L EV」は、1999年11月時点で生産累計1000台(国内向け:290台、米国向け:710台)を達成した。
非接触のインダクティブ充電方式を採用したRAV4 L V EV
1999(平成11)年のこの日、一般的なコンダクティブ充電とは異なる非接触型のインダクティブ充電方式を採用した「RAV4 L V EV」のフリート販売を始めた。
コンダクティブ充電方式の「RAV4 L EV」に対して、モーター出力は最高出力50kW(68ps)/最大トルク190Nm(19.4kgm)と向上させたが、最高速度は125km/h、満充電時の航続距離は215kmと同じである。
インダクティブ充電とは、トランスのように電磁誘導を利用して非接触で電力を伝える充電方式。GMが最初に実用化したもので、卓球のラケットのような充電プラグを、クルマ側に装着したスリット状の充電インレットに差し込んで充電する。
一方でEVが普及している2024年現在は、国際的に標準化された接触充電のコンダクティブ方式が主流となっている。接触充電は、充電ケーブルを介して金属接点によって電力を転送するので効率的に充電できる。一般的には、100Vと200Vの普通充電と高電圧によって大電力を給電する急速充電がある。
現在は、インダクティブ充電の採用例はほとんどないが、インダクティブ充電を発展させた非接触のワイヤレス充電は、注目の将来技術として開発が進められている。
現在は接触充電が主流だが、将来的にはワイヤレス充電へ
最近注目されている非接触のワイヤレス充電は、充電ケーブルを使わず、駐車場に埋め込んだ給電装置からクルマの床下に搭載した受電装置へ電磁誘導や磁界共振作用を利用して、電力を給電するシステム。接続ケーブルを繋ぐことなく充電の手間が省け、電動化や自動運転技術にとっても非常に重要かつ有望な技術である。
EVにとって大注目の技術だが、現段階ではまだ課題が多い。スマホでは、ワイヤレス充電が実用化されているが、これは送電力が小さく送電距離が短い電磁誘導式である。電気自動車では、クルマの地上高の距離でも効率よく給電できる磁界共振方式が主流となって、多くの自動車メーカーや電機系メーカー、大学などで実証試験が行なわれ、技術的には実用段階に入り、国際標準化・規格化が進められている。
ただし、標準化・規格化が進んだとしても、ワイヤレス充電のための駐車場のインフラ整備が必要で、一方の受電装置を搭載するクルマ側は、高電圧に対する安全性やコストアップ、さらに充電時間の短縮を克服しなければならない。
もし、駐車場でのワイヤレス充電が実用化されれば、次の目標は道路に給電装置を埋め込んで走りながら充電する走行中ワイヤレス充電だが、実現は簡単ではない。
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EVの課題のひとつは、充電時間が長いこと、もし電化道路によって走行中充電ができれば、EVにとって画期的である。夢のような話だが、EV化が加速するのは間違いない。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。