現行スープラが生産終了へ……! A90の集大成・特別仕様車“A90 Final Edition”が2025年に発売

トヨタのスポーツクーペであり、ブランドの看板にもなっているスープラ。2019年にデビューして以来多くのクルマ好き、モータースポーツ好きに愛されてきた現行のA90だが、このたび一部改良モデルと特別仕様車“A90 Final Edition”が発表され、同時にこの特別仕様車をもって現行スープラは生産終了予定であることがアナウンスされた。

TOYOTA GAZOO Racing(TGR)は11月28日、同ブランドが展開するスポーツクーペであるスープラ(3.0Lモデル)の一部改良車、および特別仕様車の“A90 Final Edition”を発表した。

上がスープラ一部改良モデル(日本仕様・プロトタイプ)、下がスープラ “A90 Final Edition”(日本仕様・プロトタイプ)

スープラは1978年、北米市場で「セリカ スープラ」(日本名:セリカXX)として誕生。直列6気筒エンジン+FRというパッケージはモデル誕生以来継承され続け、長年国内外で愛されてきた。2002年に先代のA80スープラが生産終了とされてからはしばらくカタログから姿を消していたが、2019年に現行のA90スープラがデビューし、17年ぶりに堂々復活を果たした。

現行スープラは発売翌年の2020年と2022年に一部改良を受けてきたが、2025年に3度目となるマイナーチェンジが実施される。改良モデルは日本市場では2025年春以降、順次発売されていく予定だ。

TGRは2025年型スープラで「さらなる一体感のある走り」を追求。市街地やワインディングといった一般道だけでなく、サーキットなどのクローズドコースでも安心して走行できるようブレーキ性能を向上させた。それに合わせて、ボディ、サスペンション、シャシー剛性の向上やチューニングの最適化、さらに空力性能の改善を施した。

また、今回の改良に合わせ、“現行スープラの集大成”となる台数限定の特別仕様車「スープラ “A90 Final Edition”」が設定される。

これはA90スープラがスーパーGTシリーズをはじめとした世界各地のサーキットレースだけでなく、ストックカーやドリフト競技など幅広いモータースポーツカテゴリーで使用されていることに感謝を込めたもの。

“A90 Final Edition”では3L直列6気筒ターボエンジンをパワーアップ。ブレーキやボディも強化されると同時に、KW製サスペンションやよりハイグリップなタイヤを採用するなど、パフォーマンスに関わる要素がアップデートされる。グローバルで300台限定での販売が予定されており、日本での発売時期は検討中とされているものの、欧州では2025年春に発売される見通しだ。

また、TGRは「究極・最高の性能・仕様を備えた特別なモデル」である“A90 Final Edition”をもって現行スープラの生産終了を予告。その一方で、「今後もモータースポーツ活動を通じてスープラを鍛え続けていきます」と表明している。

スープラ(3.0L) 一部改良モデル/“A90 Final Edition” 主要諸元

スープラ 一部改良モデルスープラ“A90 Final Edition”
全長×全幅×全高4380×1865×1295mm4380×1865×1275mm
ホイールベース2470mm
トレッド 前 / 後1595mm / 1590mm1595mm / 1585mm
乗車定員2名
車両重量1520kg(6MT)/1530kg(8AT)1528kg
エンジン直列6気筒
型式B58B30O1
内径×行程82.0×94.6mm
総排気量2.997L
最高出力285kW(387PS)/5800rpm320kW(435PS)/6000rpm
最大トルク500Nm(51.0kgf-m)/1800-5,000rpm570Nm(58.1kgf-m)/4500rpm
トランスミッション6速マニュアル/8速スポーツオートマチック6速マニュアル
駆動方式FR
作動装置アクティブディファレンシャル
サスペンション 前 / 後マクファーソンストラット / マルチリンク
ブレーキ 前 / 後brembo製18インチアルミ4ポット対向キャリパー+374mm 径ディスク / フローティングキャリパー+345mm径ディスクbrembo製19インチアルミ4ポット対向キャリパー+395㎜径フローティングドリルドディスク / フローティングキャリパー+345mm径フローティングドリルドディスク
ホイール19インチ鍛造アルミホイールフロント:19インチ鍛造アルミホイール / リヤ:20インチ鍛造アルミホイール
タイヤ 前 / 後255/35ZR19 / 275/35ZR19 MICHELIN PILOT SUPER SPORT265/35Z1R19 / 285/ 30ZR20MICHELIN PILOT SPORT CUP 2
燃料タンク容量52L
■スープラ(3.0L) 一部改良モデル車両概要
1. ドライブトレーン
・新しいシャシーセッティングに伴いアクティブディファレンシャルの制御を最適化。旋回中のアンダーステアを抑制しハンドリングを改善

2. ブレーキ
・フロントに大径化したbrembo製ディスクブレーキを採用し、制動性能を強化

3. ボディ・サスペンション
・状況に応じて減衰力を調整する電子制御ダンパーの特性を見直し、合わせてフロントスタビライザーも強化することで、走行性能を向上

・前後スタビライザーブラケットにアルミ強化品を採用。また、フロントコントロールアームに強化ゴムブッシュを、リヤサブフレームに強化ゴムマウントを採用することで、サスペンションとボディの一体感を高め、ロードインフォメーションをより伝わりやすくし、正確なハンドリングに貢献

・リヤ床下ブレースの構造を強化することでボディ剛性を高め、ダイレクト感やグリップ感、コントロール性を向上

・今回の進化点にあわせ、電動パワーステアリング(EPS)制御を最適化し、ダイレクト感のあるステアリングフィールを実現し、コントロール性能を向上

・ 前後のキャンバー角を見直し、グリップを高めてコーナリング時の安定性を向上

4. タイヤ・ホイール
・ホイールカラーにマットブラックを採用し、精悍なスタイリングに磨きをかけた

5. 外装
・ダックテールタイプのカーボンリヤスポイラーを採用。フロントにはホイールアーチフラップを追加し、フロントタイヤスパッツの高さを拡大することで前後の空力バランス、ダウンフォースを最適化し接地性とハンドリング性能を向上

6. 内装
・ドライバーシートにはGRロゴ刺繍を施したアルカンターラ+本革シート表皮を使用。シフトノブのリングおよびステッチ(6速MTのみ)、シートベルトに赤色を採用しスポーティーさを強調
■特別仕様車 スープラ “A90 Final Edition”車両概要

1. パワートレーン
・ 吸気経路を見直し、低背圧触媒を採用することで圧力損失を低減。それに合わせてエンジン制御を最適化することで出力を285kW(387PS)から320kW(435PS)へ、トルクを500N・m(51.0kgf/m)から570N・m(58.1kgf/m)へ向上させ、加速性能とレスポンスを向上
・エンジンオイルパンにバッフルプレートを追加。コーナリング性能向上に伴う高G域でのオイルの偏りを防止しました。
・エンジン性能向上に伴い、冷却性能を強化。ラジエーター冷却ファンを強化するとともにサブラジエーターを追加し、さらにディファレンシャルギアカバーの冷却フィンを大型化
・新しいシャシーセッティングに伴いアクティブディファレンシャルの制御を最適化。旋回中のアンダーステアを抑制し、ハンドリングを改善
・アクラポヴィッチ製チタンマフラーを採用し、迫力のあるエンジンサウンドを実現

2.ブレーキ
・フロントにbrembo製19インチブレーキと高μブレーキパッドを採用し制動性能を強化。さらに、前後にフローティング構造のドリルドディスクを採用し、スポーツ走行時においても優れた制動力を確保
・ステンレスメッシュのブレーキホースを採用し、制動時のホース膨張による圧力伝達損失を押さえ、強化したブレーキシステムの性能を最大限引き出した

3.ボディ・サスペンション
・GRスープラGT4が採用しているKW製サスペンションを採用。伸び側16段、縮み側12段の減衰力調整を備えて様々な使用状況に対応したほか、前後スタビライザーを強化することで、限界性能を向上
・フロントロワアームに強化ゴムブッシュ、フロントコントロールアームにピロボールジョイントを採用し、リヤサブフレームをGRスープラGT4と同じアルミリジッドマウントとすることで、サスペンションとボディの一体感を向上。ロードインフォメーションがより伝わりやすくなり、正確なハンドリングに貢献
・フロントカウルブレースを強化した上で、フロント床下ブレースを追加。リヤ床下ブレースの構造を強化し、室内には強化ラゲージクロスバーを採用することでボディ剛性を高め、ダイレクト感やグリップ感、コントロール性を向上
・今回の進化点にあわせ、EPS制御を最適化し、ダイレクト感のあるステアリングフィールを実現し、コントロール性能を向上
・前後のキャンバー角を見直し、グリップを高めてコーナリング時の安定性能を向上

4. タイヤ・ホイール
・10mm拡幅したハイグリップタイヤ「MICHELIN PILOT SPORT CUP 2」を採用。コーナリング時の安定性および限界性能をさらに向上
・フロント19インチ、リヤ20インチの軽量ホイールにはTGRのロゴを刻印した

5. 外装
・GRスープラGT4の開発を担当するTOYOTA GAZOO Racing Europe(TGR-E)が空力性能開発を担当。TGR-E の持つモータースポーツ参戦を通じて得た知見と、風洞実験施設を用いてテストを重ね、開発した
・カーボンフロントスポイラー、カーボンフロントカナード、フロントセンターフラップを採用。さらに、GRスープラGT4を彷彿とさせるスワンネック構造のカーボンリヤウイングを装備することで前後の空力バランス、ダウンフォース、ドラッグを最適化し、接地性とハンドリング性能を向上
・カーボンボンネットダクトを追加。脱着式のインナーダクトを採用し、取り外し時には冷却性能向上に寄与

6.内装
・シートパッドにアルカンターラ素材を使用したレカロ製カーボンフルバケットシート「RECARO Podium CF」を採用。走行性能向上によりドライバーにかかるGが増加する状況においても、しっかりと体をホールドし正確なドライビングをサポート。また運転席シートを赤色とし、ドライバーオリエンテッドコクピットを強調した
・ステアリングホイール、ドアトリム、センターコンソールニーパッド、センターアームレスト、シフトノブ・ブーツ、インストルメントパネル中央部の表皮にアルカンターラ素材を使用。また、赤色シートベルト、専用カーボンスカッフプレートを採用することにより台数限定モデルの特別感を高めた

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