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■斬新なデザインの本格4WDオフローダーのFJクルーザー
2010(平成22)年12月4日、トヨタは2006年に北米でデビューして人気を獲得していた「FJクルーザー」を日本に投入した。人気だった往年の「ランドクルーザーFJ40」をイメージしたレトロで斬新なスタイリングが魅力の本格4WDオフローダーである。
FJクルーザーのベースとなったランクル40系
ランドクルーザーの源流は、1951年に自衛隊の前身である警察予備隊が使う制式車両の入札のために試作した、小型4輪駆動車まで遡る。それをベースに市販化された初代のランドクルーザー(BJ/FJ型)は、小型トラックSB型用のシャシーを4WD用に改造し、これに3.4L直6ガソリンエンジンを搭載して1953年から生産を開始した。
ランクルは、その後北米を中心とした本格的な海外進出を見据えて、1955年にランクル20系、30系と進化して1960年にランクル40系が登場。40系は、スタイリッシュなフォルムと信頼性の高さが世界中で認められ、本格4WDオフローダーとしての地位を確立した。
その後も40系は時代に合わせて進化し続け、1974年にはランクル初のディーゼルエンジンを搭載し、24年間にわたりランクルの中核として、ロングセラーモデルとなった。
斬新なスタイリングで異彩を放ったFJクルーザー
FJクルーザーは、2006年から北米市場専用として投入された人気の本格4WDオフローダーで、その後日本でも需要が見込まれたことから2010年12月のこの日、日本でデビューした。
FJクルーザーは、「ランドクルーザープラド」のシャシーを流用しており、前述の世界的な人気を獲得したランクルFJ40のイメージを持ちつつ、斬新なスタイリングとポップなカラーリングが最大の特徴である。具体的には、丸いヘッドランプを持つフロントまわり、垂直に近いフロントガラス、白い屋根、少し背面まで回り込んだサイドクォーターガラスなどで、斬新ながらレトロな雰囲気も持ち合わせていた。
パワートレインは、米国仕様には6速MTやFR仕様も設定されていたが、日本仕様では最高出力276ps/最大トルク38.8kgmを発揮する4.0L V6 DOHCエンジンと5速ATの組み合せ、駆動方式はパートタイム4WDのみだった。
車両価格は、標準仕様の314万円とカラーパッケージ324万円、オフロードパッケージ332万円の3グレードを設定。本家ランクルとは一線を画する趣味的なクルマだったが、販売終了の2018年までに2.8万台を販売した。
FJクルーザーを彷彿させるEV登場か
トヨタは2021年12月に開催した「バッテリーEV戦略」で、将来に向けた16車種のEVを発表したが、その中で注目されたEVモデルのひとつが「コンパクトクルーザー」だ。さらに、2023年の「ランドクルーザー250」と「ランドクルーザー70」の発表会でも、コンパクトクルーザーEVらしき映像が登場した。
注目されたのは、そのデザインがFJクルーザーを彷彿させるようなスタイリングを採用していたこと。フロントマスクはFJクルーザーの丸目から角目になっているが、全体的にはFJクルーザーをコンパクトにしたイメージが強い。コンパクトクルーザーがいつ頃登場するかは2024年12月現在は未定だが、ランドクルーザーファミリーの中でEV化するためには、まずコンパクトなモデルから進めるのが常套手段であり、またSUVがEV化しやすいということを考えると、コンパクトクルーザーの実現性は近いのかもしれない。
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本格4WDオフローダーでありながら、他のオフローダーとはまったく違う斬新なデザインで異彩を放ったFJクルーザーは、現在も根強いファンが多い。それを表すように中古車市場では、新車価格より高い値段で取り引きされている個体があるようだ。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。