人がペダルを踏む力を最大1:2でアシストする「パス」と同様
モーターのアシストを受けて引っ張る力が2倍に
「パワーアシストつなひき」は、ヤマハの電動アシスト自転車「PAS(パス)」のドライブユニットを用いた体験型設備で、「パス」初代モデル設計者が考案したもの。人がペダルを踏む力を最大1:2でアシストする「パス」と同様、アシストを受ける方のシートでは、ドライブユニットを味方につけてモーターの力のアシストを受けることができ、引っ張る力が2倍に増幅される。このシートに座ると、力自慢のお父さんや身体の大きな友だちに勝つことも可能だ。
「1986年の開館当時から、ヤマハ発動機の知見や技術を活かして、子どもたちの科学への興味・関心を拡げる展示を行ってきました。この『パワーアシストつなひき』は2009年に展示を開始して、現在のモデルは2代目となります」と教えてくれたのは、ヤマハ発動機ビズパートナー(株)で社会貢献活動を担当する金原理恵さん。
「自分の身体を使って電動アシストの力を体感できますから、施設側からも“わかりやすく学べる”と評価をいただいています。週末ともなれば、たくさんの子どもたちの歓声が響いていますよ」(金原さん)
パワーアシストつなひきを同社が寄贈した2009年、道路交通法の一部改正によって幼児2人の同乗が解禁(※)され、電動アシスト自転車の国内総需要は30万台を超えた。以降も市場は拡大を続け、現在は70万台を超えるまでになっている。
※安全基準を満たした自転車(フレーム部分に「BAAマーク」と「幼児2人同上基準適合車」のマークのついた車両)のみ
「寄贈のタイミングと需要の拡大期が重なりますから、つなひきを楽しむ小学生の中には『パス』で幼稚園に通ったお子さんもいることでしょう。その実体験と重ねることで、電動アシスト機能への理解も進むかもしれません」と、当時をよく知る同社の松村憲一さん。「当時の『パス』の初代モデルの設計者らが、地域の子どもたちの役に立ちたいと、複数のアイデアの中からつなひきをカタチにしました。安全性に配慮しながら楽しそうに設計する姿を覚えています」と振り返る。
2代目となる現行のモデルが導入されたのは2019年。耐久性や扱いやすさをさらに高めるとともに、モニターを使ってアシスト力を“見える化”するなどフルモデルチェンジされた。
パワーアシストつなひきを安全に使用してもらうために、1年に2回、技術者も同行しての定期点検を実施。「施設からの要望で、この点検は開館時間に行われます。すると、装置の分解・組立作業を熱心に見つめる子どもたちの視線に気づいたりします。こうした光景を見ていると、子どもたちの好奇心を刺激できていると実感でき、本当に嬉しくなります」(金原さん)
ヤマハ発動機の広報担当は「電動アシスト自転車『パス』に初めて乗ったお客さまは、軽く背中を押されているような漕ぎだしの感覚に、思わず笑顔になるものです。同じように『パワーアシストつなひき』を体験する子どもたちの表情にも大きな笑顔が広がります。そんな光景を見ていると、人の力を電気モーターがアシストするというこの技術の機能を、体感によって伝えられていると感じることができます」と述べている。