軽快で爽快な走りを踏襲してフルモデルチェンジ「スズキ・スイフト」【最新コンパクトカー 車種別解説 SUZUKI SWIFT】

23年12月に待望のフルモデルチェンジが図られた「スズキ・スイフト」。軽い車重と燃費の良さ、そして取り回しの快適さでコンパクトカーの中でも高いパフォーマンスを見せる。高い剛性と安定感、最新の先進安全装備でビギナーでも不安はない。また従来通りMT車もラインナップされ、操る楽しさを求める玄人のクルマであることも変わりはない。
REPORT:安藤 眞(本文)/山本晋也(写真解説) PHOTO:平野 陽 MODEL:新 唯

車重が軽く走りと燃費に好感 ボディ剛性や安全装備も向上

この本が書店に並ぶのは、4月に入社したフレッシュマンに初ボーナスが支給される直前。「それを頭金に初マイカーを買おうかな?」と考えている人にお薦めしたいのが、スズキ・スイフトだ。なぜなら、どんな運転操作をすれば、タイヤにどう荷重が掛かり、クルマがどんな動きをするのか、これほどわかりやすいクルマはないから。このクルマに半年も乗れば、正しい運転の基礎は、自然に身につくはずなのだ。

エクステリア

ハイブリッドとエンジン車は後ろ姿でも識別できる。ハイブリッド車は、リヤバンパーのブラック加飾とルーフエンドスポイラー&バックドアサイドスポイラーが装着される。最小回転半径は4.8m。

そういう点では、マツダ2も捨てがたい存在だが、あちらがそろそろモデル末期であるのに対し、こちらはフルモデルチェンジしたばかり。フレッシュマンにはフレッシュなクルマの方が相応しい。何よりスイフトは車重が軽い。FF車なら最重量グレードでも950㎏と、同クラスのライバルより50〜100㎏程度軽い。軽ければハンドルを切った際の動きも軽快になるし、燃費も良くなる。

乗降性

でも乗り心地は軽薄で安っぽいのでは?というのは杞憂に過ぎない。新型スイフトはボディの組み立てに構造用接着剤を多用しており、薄い鋼板でもしっかりとした剛性を確保。加えて床まわりには、ビリビリとした振動を吸収する〝高減衰接着剤〞が使用されているため、車内がザワつくような安っぽさはない。ミニバンの乗り心地に慣れている人は、荒れた路面では多少の硬さを感じるかもしれないが、尖った衝撃はないので不快ではない。

インストルメントパネル

センターディスプレイやエアコン操作パネルをドライバー側に8度傾けるなど機能的なインパネだ。撮影車は9インチのメモリーナビを装着するが、最上級グレードは9インチディスプレイオーディオが標準装備となる。

室内空間も必要にして十分。身長181㎝のボクが運転席を合わせ、そのまま後席に座っても、膝の前には手のひらの厚いところが入る程度の余裕はある。一般的な体格の友人を誘ってドライブに行くなら、「狭い」と言われることはないはずだ。後席はリクライニングもスライドもしないし、折り畳みも背もたれが前に倒せるだけ。ラゲッジとの段差もできてしまうが、そういうことを求めるのは次のクルマに乗り換えるときでよい。機能を絞っているからこそ、軽く、安くできるのだ。

居住性

WLTCモード燃費は最も良い5速MT車で25.4㎞/ℓと、ストロングハイブリッドを除けば同クラス最良。マツダ2のディーゼルエンジン車さえ上まわる。これも軽さの恩恵といえるが、新開発された1.2ℓ3気筒エンジンの威力でもある。気筒数を減らせば機械損失が減るし、単気筒当たりの容積は大きい方が冷却損失も小さくなる。燃料噴射はポート式だが、1気筒当たり2本のインジェクターを配置して燃焼室に近づけ、直噴に近い効果を低コストで得ている。

うれしい装備

運転席にはコンパクトだが有効なアームレストが備わっている。ロングツーリングなど必要に応じて展開することで疲労を軽減してくれる。なお、エントリーグレードおよび5速MT車には装備されない。
月間販売台数      2961台(23年11月~24年4月平均値)
現行型発表       23年12月
WLTCモード燃費     25.4 ㎞/ℓ※「HYBRID MX」のFF/5速MT車

ラゲッジルーム

しかもエントリーグレードの「XG」以外は、発電機をアシストモーターとしても使用するマイルドハイブリッドシステムを装備。モーター出力は2.3kWと大きくないが、トルクは60Nmと、軽自動車の自然吸気エンジン以上のパワーを得られるため、加速する際の「はじめの一歩」がスッと出るから、スムーズな追い越しができる。安全運転支援システムには、レーダーとカメラを使用した〝デュアルセンサーブレーキサポート〞のバージョンⅡを採用。MT車でもアダプティブクルーズコントロールが付く(全車速対応はCVT車のみ)。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.159「2024-2025 コンパクトカーのすべて」の再構成です。

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