目次
■3代目は、ライト感覚のオフローダーからクロスオーバーSUVへ
2013(平成25)年12月11日、日産のSUV「エクストレイル」がモデルチェンジを行ない、3代目に移行した。初代エクストレイルは、アウトドアを楽しむ若者をターゲットに直線基調のスタイリングだったが、3代目は丸みを帯びた都会的な雰囲気のクロスオーバーSUVに生まれ変わった。
アクティブな若者から人気を獲得した初代エクストレイル(T30型)
エクストレイルは、乗用車派生のSUVながら、当時人気を獲得していたトヨタ「RAV4」やホンダ「CR-V」のような都会派SUVというより、ライト感覚のオフローダーSUVとして2000年に誕生した。
“4人が快適で楽しい、200万円の使える4WD”というコンセプトで、アウトドアやアウトドアスポーツを楽しむ若者をターゲットに開発された。強靭なイメージのバンパー、立体的で大きい角型ヘッドライトとリアライトを装備した直線基調のボクシーなスタイリングが、オフローダーのイメージを醸し出していた。ただし、フルモノコック構造の乗用車がベースなので、ハードな悪路を走破するような本格オフローダーではない。
パワートレインは、2.0L直4 DOHCのNA&ターボの2種エンジンと4速ATおよび5速MTの組み合わせ、駆動方式はFFと4WDを用意。4WDシステムは、日産独自の電子制御フルタイム4WD“ALL MODE 4×4”で、最低地上高を確保しているので、一般的なアウトドアの用途では十分な走破性を発揮する、いわゆるライト感覚のオフローダーだ。
エクストレイルは、200万円台という低価格の魅力もあり、ライバルのRAV4やCR-Vを抑えて、2001年から国内SUV販売台数トップの座に10年にわたり君臨した。
クリーンディーゼルが注目された2代目(T31型)
人気を獲得したエクストレイルは、2007年に初めてのモデルチェンジで2代目に移行。基本的には初代のキープコンセプトで、スタイリングも初代のスタイリングを引き継ぎながらスタイリッシュになった。
パワートレインは、2.0L&2.5L直4 DOHCエンジンと6速AT/MTおよびCVTの組み合わせ。駆動方式は、先代同様FFと電子制御フルタイム4WDを用意。翌2008年には、新開発の2.0L直4ディーゼルターボを搭載した「20GT」が追加されて、大きな注目を集めた。このエンジンは、当時世界一厳しいとされていた排ガス規制“ポスト新長期規制”を世界で初めてクリアし、クリーンエンジンと呼ばれた。
またフルタイム4WD機構は、“ALL MODE 4×4-i”へと進化し、ヒルスタートアシストやヒルディセントコントロール機能などを追加し、より細かな電子制御により優れた悪路走行性と走行安定性を実現した。
初代をブラッシュアップした2代目も、発表から約1ヶ月で1万台を受注するなど、引き続きエクストレイル人気を加速した。
都会派クロスオーバーSUVへと舵を切った3代目(T32型)
2013年12月のこの日に登場した3代目エクストレイルは、それまでのライト感覚のオフローダーから都会的な雰囲気のクロスオーバーSUVへと変貌した。
スタイリングは、2代目までのやや角張ったものから丸みを帯びた流麗なフォルムに変わり、日産がアイデンティティとする“Vモーションシェイプ”と呼ばれる逆台形のフロントグリルを採用。また、全高を除くボディサイズが若干拡大され、7人乗りが新たに設定された。
パワートレインは、2.0L&2.5L直4エンジンと新型エクストロニックCVTの組み合わせ、アイドルストップの採用などで優れた燃費性能を実現した。なお、クリーンディーゼルモデルは設定されずに、当初は2代目のディーゼルモデルが継続販売された。駆動方式は、先代同様FFと4WDが用意され、4WDには従来の“ALL MODE 4×4-i”に加えて、アクティブライドコントロールやコーナリングスタビリティアシストなどの新機能が追加された。
車両価格は、4WDの標準グレードが215.25万円(2.0L)/231.0万円(2.5L)。乗用車ライクな街乗りを重視のクロスオーバーSUV色を強めた3代目エクストレイルも、引き続き高い人気を獲得することに成功した。
その後2015年にハイブリッドモデルを追加、2017年には先進の運転支援技術“プロパイロット”を採用、さらに2022年の4代目ではハイブリッド“e-POWER”と“VC(可変圧縮比)”ターボエンジンを組み合わせ、変わらぬ人気を獲得している。
・・・・・・・・
現在、オフローダー色の強い4WDはややマニアックなモデルとなり、4WDながら街乗り走行を重視したクロスオーバーSUVが人気を獲得している。3代目エクストレイルは、そんな市場の変化を察して、ハード過ぎずソフト過ぎないスタイリングと機能を装備、これが多くの人のライフスタイルにピッタリはまっていると思われる。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。