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1年間挑戦してきた「MORIZO Challenge Cup」も最終戦です!
2024年10月19-20日に岐阜県で行なわれた「第51回 M.C.S.C ラリーハイランドマスターズ2024」。全日本ラリー選手権に組み込まれていた「MORIZO Challenge Cup(MCC)」の最終戦ということで、今年1年の集大成の1戦でした。
星涼樹選手とはこれまで第1戦・三河湾ラリーは4位、第2戦・唐津ラリーは8位、第3戦・久万高原ラリーは6位、第4戦・丹後ラリーと第5戦・ラリーモントレーはリタイア。
モリゾウチャレンジカップ(MORIZO Challenge Cup)とは、これからラリーに真剣に取り組みたいと頑張る若手ラリードライバーの育成として生まれ、GRヤリスを使用し、JN-2クラスに1年間挑戦するというものです。
【「MORIZO Challenge CUP」2024スケジュール(大会名称/日程/場所)】
(※全日本ラリー選手権と併催/第6/7戦のMCCは開催せず)
第1戦 Rally三河湾 3月1~3日/愛知県
第2戦 ツール・ド・九州 in 唐津/4月12~14日/佐賀県
第3戦 久万高原ラリー 4月26~28日/愛媛県
第4戦 YUHO RALLY TANGO/5月10~12日/京都府
第5戦 MONTRE/6月7~9日/群馬県
第6戦 ARKラリー・カムイ/7月5~7日/北海道
第7戦 RALLY HOKKAIDO/9月6~7日/北海道
第8戦 M.C.S.C.ラリーハイランドマスターズ/10月18~19日/岐阜県
前戦のラリーモントレー(群馬)から最終戦までは4ヶ月空いてしまうということで、この4ヶ月を利用して新たに川名賢選手にコーチになって頂いて、ノート作りを大きく変えたり、練習に行ったり。また私は一緒に参戦は出来なかったのですが星選手が参戦した地区戦に出たりと、準備をして挑みました。
川名さんは私が全日本ラリー選手権にデビューした時も組ませて頂いたドライバーさん。海外経験も豊富で、今はコーチとしてもいろんな選手を教えていて、私がMCCで参戦しているCUSCO Racingでも走っていたドライバーさんです。
若手ドライバーと1からラリーに向き合うのは初めてのMCC体験
今まで私がラリーのコ・ドラとして参戦するときは、いつもベテランのドライバーさんと組んでいたので、ペースノートを1から一緒に作り上げていくというのは初めて。最初は合同トレーニングがあり、一緒にいいリズムで作れていたものが、ラリーに何戦か出ていくうちに細かくノートを作らないと危ない場所、林道ならでは難しいポイントからノート作りの難しさを知っていくうちに、細かくなりすぎて、逆にリズムの悪いノートになってしまっていたのです。
それを川名さんにもう1度振り出しに戻してもらい、なおかつ今シーズン学んだことを活かし、リズム良くできる用語の使い方を教えて頂きました! 沢山練習に行けたわけではないですが、SS1本1本が濃く、とても勉強になりました。
ハイランドの目標は「無傷で完走すること!」
開幕戦から毎回、バーストしたタイヤ交換を途中でするかリタイアしており、メカニックさんに直して頂いていたので、最終戦は無傷でしっかり完走しよう!と挑みました。
最終戦の目標は「無傷で完走!」
4ヶ月というインターバルやラリージャパン前、そして全日本ラリー選手権の最終戦ということもあり、取材を受ける時間も沢山あり嬉しい悲鳴でした。他のラリーに比べてモリゾウチャレンジカップはそういった時間も多いので、ドライバーはこの時間のやりくりがとても大変。
でも、最終戦ともなると星選手も慣れてきて、手際良く準備していました。
実際にレッキ(下見走行)をしてペースノートを作ってみると、練習の効果もあり今までで一番いいノートが作れた気がしました!
私もハイランドは初めてで、過去同じコースで危なかった箇所などの情報も含めて川名さんにも一緒にノート確認をしてもらい、雨予報という事もあったので少しセーフティ寄りのノートにして1日目を迎えました。
まず1日目の1本目は、ペースを掴み完走する走りをする事が目標。セーフティなノートを作ったので実際に走ってみて走行中に「カット」や「ドントカット」、「コーション」など足すもの引くものがあれば星選手は走りながら言ってみる!ということに挑戦することを午前の課題にしました。
今までも試みてはいたのですが、走りに集中したり、考えている中で言うのはなかなか難しいのです! レッキと本番ではスピード域も違うので今まではなかなか言えなかったのですが、今回は余裕を持って言えるくらいで安定して走ること、そのペースを知ることを午前中は意識しようと話しながらSS1に向かいました。
LEG1 午前は仲間の救出も慌てず完了
SS1あたがす1(9.54km)。丁寧にスタートし1kmくらいのところで前ゼッケンのクルーをみつけて徐行。少し進むとマシンが道を塞いで止まっていました。すぐに2人で降りて三角停止板とOKボードを持ち、次に来るクルマに対してのアピールに向けて準備をしました。これまで、自分たちのリタイアで2度こうした対応はありましたが、前車での対応は初めて! 前ゼッケンのクルーに怪我もなく、スタートから1kmということですぐにオフィシャルが来て塞いでいたマシンを動かすことができました。
ラリーはサーキットと違い、クラッシュしたクルーだけではなく、後車も場合によっては救助したり、やらなければいけないことがいろいろあるのですが、今シーズン沢山の経験をし、私も星選手もしっかり対応できたことは今シーズンの大きな収穫です。初めてだと戸惑ったりする場面ですが、星選手もモリゾウチャレンジカップの仲間が前後ゼッケンということもあり、怪我の確認などしている姿には感慨深いものがありました。
こういう場合はタイムに救済処置が取られるのですが、私たちはここで終わりではなく次のSSに向かいラリーは続きます。午後にも走る道なので慌てずしっかりコースを見ながらも安定したスピードでノートの修正をしながら次のSSへ。
ここから気持ちを作るのは正直難しいのですが、星選手はあまり緊張したり、こういう場面での気持ちの作り方はカートでの経験もあるからかいつもと変わらない雰囲気でした。SS1はあってないようなものだったので、SS2から気持ち新たにスタート。
走ってみると久しぶりのラリーということや雨が降って路面が濡れていたこと、無傷で走るという目標からか安定したペースではありましたが、若干セーフティに寄りすぎた感覚も。でも目標は達成でき、走行中にノートを直すこともでき、無傷で午前を終えました。
LEG1 午後はタイムアップ目指すよ!
午後の2ループ目は少しタイムアップを目指し頑張ります! ノートがしっかりと作れているのでリズムも前より合ってきた感覚もあり、1本目と安定感は変わらないけど少し速くなった感覚があったのですが、実際のタイムは1本目とそこまで変わらずでした。
もう少しタイムが上がっているかと思ったのですが、走りとタイムが繋がらず…という結果に。走り終えたあと悩んでいる表情を見せていた星選手ですが、モリゾウチャレンジカップはトップじゃなくてもインタビューがあるので、走り終わったあとヘルメットを脱ぐ間もなくすぐにコメント。
ドライバーは運転していると汗だくになるし、雨ということで湿気も多くムシムシしていたり、走りについても悩みがある中でこうしたインタビューはなかなか難しいですが、6戦目ということもあり、堂々と答えている姿を見て、なんだか感慨深かったです。モリゾウチャレンジカップはトップを走っていなくても選手としてメディアに取り上げて頂ける機会が多いので、ホントにありがたいですね。
この日は感覚とタイムの差が気になったので、翌日のノートチェックと1日目の走行動画を川名さんに見て頂き、走らせ方についてアドバイスをもらいました。頑張って走ったのですが、その頑張り方が裏目に出てしまった場面が多く、私も聞いていると確かに!と思う事が多いのですが、ノートを読みながら気づくことも、動画を見ても正直、正確がわからなかったので、自分ももっと運転すればそういう所がわかってくるのかな?と、もどかしい気持ちになりました。
LEG2 無傷で戻ることの難しさとやりがい
いろんなアドバイスをもらい、いよいよ最終日。土曜日はお昼過ぎからだんだん雨が降り、夕方はかなり強い雨となってしまいましたが、日曜日には雨もやみ、だんだんいいお天気になっていきました。
土曜日よりはタイムも徐々に上がっていきましたが、やはり雨上がりということや無傷で完走という目標もあり、タイムだけを見ると初戦の時のようなアグレッシブな星選手の走りではタイムも出ません。調子が悪いのかな?と思った方も多いと思いますが、ラリーでアグレッシブに走るのってかなり難しいんです。いろいろ試しながら午前中の1本目では土曜日よりいい感覚で走ることができたり、午前は走りながらノートを直すこともできました!
タイムに表れないのでホントに難しいのですが、最終戦にしてラリーの取り組みをしっかりできたという感じです。その成果として、無傷で残り午後の3本のみ。これを走り切ることが重要です! 気を抜かず「ちゃんと戻ってきます!」とメカニックさんに伝えて出発。
星選手とのラリーも後3本かぁ…と思いながらSSに向かっていました。少しペースアップもでき順調に進み、最後のSS。SS12無数河-アルコピア2(6.08km)です。ここは最後がダートでカメラに抜かれるポイントもあるSSです。しっかり完走しよう!と話して最終SSもスタート。
安定しながらスピードもしっかり出して、今までで一番の走りで進んでいきました。最後のダートにインするところで抑えていくのですが、星選手はしっかりラインを見極めて、最後だからと守りに入らず攻めて走り、無事フィニッシュ。ほんの少しだけマシンにダメージを負いましたが、しっかり完走でき、また星選手も走り終わったあといい顔をしていました。
カメラに抜かれていたこともあり、終わったあとにモリゾウチャレンジカップの仲間から「あそこの入り、星クンかっこよかった」と褒められて嬉しそうにしながらも、「あそこはイケるラインがあるんだよ♪」と、みんなと楽しそうに話していたのです。
初戦から上手くいかず、ラリー中なかなか楽しそうな姿が見られなかった星選手ですが、最後のSSでいい走りができ、私もリーディングしていてリズムがのりやすく、走りと合ってきている感覚に1番楽しかったので、凄く嬉しくなりました。
結果としては、モリゾウチャレンジカップ6位という決して嬉しい順位ではなかったのですが、最終戦らしい中身の濃いラリーができて、本当によかったです。
MORIZO Challenge Cupシリーズ7位! ラリーはやっぱり楽しい♪
モリゾウチャレンジカップは星/梅本組は7位でシリーズを終えました。
星選手にとってはラリー1年目。そして、私はシリーズとして初めて戦う1年目。モリゾウチャレンジカップという新しいカテゴリーにシリーズで参戦でき、ホントに難しい場面もたくさんあったし悩みも多かったけど、終わってみて思うのは「やっぱりラリーって楽しい♪」でした。
シリーズとして同じマシンで1年戦う楽しさや難しさは、スポット参戦とは少し違い、それを知ることができただけでも大きな収穫。それだけではなく、星選手から学んだこと、感じたことも多い1年でした。目標だったシリーズ参戦ですが、こうして最後まで走り切れたのもCUSCOの監督・長瀬努社長をはじめ、メカニックさん、また今年は初めて個人スポンサーとしてカローラ名古屋さん、新潟工業短期大学さんに支えて頂きました。結果として残せなかったことは申し訳ないですが、今年の経験を活かし、またコ・ドライバーとして成長していきます!
今年全日本ラリー、モリゾウチャレンジカップで応援して下さった皆さん、本当にありがとうございました!
遅くなりましたが、次回はWRCラリージャパンについて日記を更新します。お楽しみに♪
【CUSCO RACING「MORIZO Challenge CUP」参戦体制】
エントラント名:CUSCO RACING
ドライバー:星 涼樹
コ・ドライバー:梅本まどか
エントラント代表:長瀬 努
車両名:CUSCO GRヤリス
車種:トヨタ・GRヤリス
参戦クラス:JN2
MORIZO Challenge Cup_2024選手特集第3弾【ドライバーを支えるコ・ドライバーの魅力】梅本まどか
トヨタ自動車 TOYOTA GAZOO Racing のYouTubeチャンネルページ「TOYOTA GAZOO Racing」で私のことを取り上げてくださいました。見てくださいね♪