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実は高級車……タイのジムニー事情
日本でも爆発的ヒットを記録しているジムニーだが、実は現行型もタイに導入済み。但し、限定車という形であった。日本での発売翌年となる2019年3月にタイで正式発表された際は、オンラインで先着90台が発売されたが、わずか6日間で完売。そのうち特別仕様車「リミテッド」は、わずか3時間で限定30台を売り切ったという。さらに2023年春にも4年ぶりに限定車が復活し、オンラインで購入者を募って50台が販売されている。
タイのジムニーは、日本でいうジムニーシエラに相当するもので、現地の法規に適合するように排ガスなどの仕様を変更している程度だ。高性能4WDでお手頃価格のジムニーだから人気も当然と思ったら、なんと昨年の限定販売時の価格は176万バーツ。日本円では現在のレート(1バーツ=4.45円)だと約798万円という高級車なのだ。その主な理由が税金だ。
現行型ジムニーは、日本から輸入という形で供給されている。その場合、80%の関税に加え、乗用車にはCO2排出量に応じて最大40%の物品税が課せられるため。現地では選ばれし人の特別なコンパクトクロカンなのだ。
タイ限定特別仕様車「オフロードエディション」
モーターエキスポ2024では、ファン待望のジムニーのタイ限定の特別仕様車「ジムニー・オフロードエディション」がデビューし、大きな注目を集めた。
「オフロードエディション」は、タイで企画されたもので、“BORN TO BE LEGEND”をコンセプトに、ジムニーの象徴である力強く荒々しいスタイルのオフロードテイストを醸し出すように、ドレスアップを図ったもの。その特徴を見ていこう。
専用装備に彩られたエクステリア
フロントマスクでは、フロントグリルをSUZUKIロゴ入りのダークメタリック塗装のもに変更。さらにフロントバンパーにも、金属調塗装のフロントバンパーアンダーガーニッシュを追加している。これらは、日本でも販売される純正アクセサリーを装着したものだ。
もちろん、特別仕様車ならではのこだわりもある。巨大なボディデカールを始め、フューエルリッドステッカーやドアハンドルプロテクター、エンブレムに専用仕様のものを装着。
さらに日本でも見たことあると思うリヤスペアタイヤハーフカバー用デカールだが、日本仕様でもサイが描かれたバージョンが存在するが、そちらはジムニーが英字表記に対して、こちらは日本語表記にするなど芸が細かいのだ。
日本仕様とあまり変化のない装備とインテリア
内装については、日本仕様と大きな違いはなく、特別装備も追加されていない。装備内容に関しても、LEDヘッドライトやアルミホイールを標準化するなど、上級グレード「JC」と同等の内容となっているようだが、先進の安全運転支援機能は省かれ、逆にナビゲーションシステムが標準化されているようだ。また南国なので、もちろん、シートヒーターは省かれている。
トランスミッションはATのみとなるドライブトレーン
搭載エンジンは1.5L直列4気筒DOHCのK15B型で、最高出力102ps/6000rpm、最大トルク130Nm/4000rpmである点も同様だ。意外だったのは、設定が4速ATのみとなること。これはタイがAT普及率の高い国であるため、その点も考量されたのだろう。
日本ならランドクルーザー級の高級四駆
ボディカラーは、日本仕様と同じ3タイプのツートンボディカラーに加え、5色のモノトーンが用意。日本での選べるモノトーンのイエロー、ブルー、シルバーは省かれている。
注目の価格は、モノトーンが176万バーツ。ツートンが179万バーツ。日本円では約798万円となり、ツートン代がプラス約13.6万円の約811万6000円となっている。
ジムニーが1タイプのみとなるのは、タイではどのモデルも仕様を可能な限り絞って販売しているからとのこと。高価な小型クロカンという特殊性は関係ないようだ。現地企画の特別仕様車が作られることからも、タイにも熱心なジムニーファンが存在することがうかがえる。かつては現地生産されていた時代もあったが、現在は輸入販売のみ。実用四駆から高級四駆へと立場は変わったが、タイでの活躍は続いているのだ。