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■音楽を楽しむためのユニークなハイトワゴンの2代目bB
2005(平成17)年12月26日、使い勝手の良いボクシーなハイトワゴンとして人気を獲得したトヨタ「bB」の2代目がデビューした。2代目は、音楽に囲まれて暮らしたいという若者をターゲットに、音楽が楽しめる室内空間にこだわり、見かけはちょっとワイルドに変貌した。
使い勝手の良いボクシースタイルが人気を呼んだ初代bB
2000年、ボクシーで個性的なスタイリングのコンパクトハイトワゴンbBが誕生した。bBの名前は、未知の可能性を秘めた「ブラック(b)・ボックス(B)」に由来している。当時、軽のハイトワゴンが市場で人気を獲得、そのブームがコンパクトカーにも波及したのだ。
bBは、「ヴィッツ」のプラットフォームを使ったボクシーでシンプルなデザインに、インテリアも直線を基調としたデザインで統一。パワートレインは、最高出力87psを発揮する1.3L直4 DOHCと109psの1.5L直4 DOHCの2種エンジンと、4速ATの組み合わせ。駆動方式は、FFと4WDが用意された。
広い室内空間と運転のしやすさから、若者だけでなく若いファミリー層からも人気を獲得。またユニークなのは、最初からユーザーがカスタマイズすることを前提としているクルマだったこと。純正やカスタムメーカーのカスタムパーツが充実していたので、カスタマイズを楽しむユーザーに大いにウケたのだ。
bBのようなボクシーなハイトワゴンとしては、1998年に日産から発売された「キューブ」がある。bBはそれに対抗する形で登場したのだが、コンセプトは全く異なっていた。キューブがソフトでキュートな雰囲気に対して、bBは男性的でワイルドな“ちょいワル”風が持ち味だった。
2代目bBは若者が音楽を楽しめるクことを意識したクルマ
2005年12月のこの日にモデルチェンジで登場した2代目bBは、パッソ(ダイハツのブーン)のプラットフォームを流用。初代のコンセプトを受け継ぎながらも、“クルマ型Music Player”を開発テーマに、「いつも音楽に囲まれて暮らしたい」という若者のライフスタイルをクルマで実現することを目指した。
最新のオーディオシステムや音と連動して明滅するイルミネーション、座面が深く沈み込んでくつろげるモードを備えたフロントシートの採用など、これまでのコンパクトカーにはなかった、音楽を楽しむための室内空間を創出した。
スタイリングは、幅広い世代に支持されたスクエアなイメージの初代とは異なり、若者をターゲットにしたワイルドでより派手な外見となった。エンジンは、初代と同じ1.3L&1.5L直4 DOHCだが、ダイハツ製のエンジンに代わり、トランスミッションは4速ATが組み合わされた。駆動方式は1.3LがFFまたは4WD、1.5LはFFのみというラインナップだった。
車両価格は、FF仕様で1.3Lが134.4万円/153.3万円、1.5Lが144.9万円/163.8万円/170.1万円に設定された。初代に対して、よりワイルドで若者向きに変貌した2代目は、当初は人気があったものの個性をアピールし過ぎたためか、徐々に販売は低迷した。
ターゲット層を絞り過ぎたか、個性派bBは生産を終了
結局、2代目bBは2016年7月に生産を終了。その年の11月には、後継にあたる「ルーミー」と「タンク」が登場した。 ルーミーとタンクは、ダイハツ「トール」のOEM車で、2020年にタンクはルーミーに統合された。
どちらの車種もデザインはbBと似ているが、bBのように若い男性にターゲットを絞るのではなく、さまざまな用途で使える便利なコンパクトカーという位置づけだった。その結果、ルーミーはデビュー以来登録車販売ランキングで常時ベスト10に入り、最近(2024年12月現在)はベスト5に食い込むヒットモデルとなっている。
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クルマを企画する時にターゲット層をどこに絞るかは大切だが、bBにように絞り過ぎると熱狂的なファンを獲得する反面、長続きしない傾向がある。最近は、やはり多様性に対応できる実用性の高いクルマの方が、長く人気を維持する傾向があるようだ。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。