シナジー効果が出るのは2030年頃!? ホンダと日産が経営統合に向けた協議を開始!

この1週間、自動車業界で持ちきりとなっていたホンダと日産の経営統合。12月23日、17時から三菱を加えた3社の共同記者会見において、正式にその検討がはじまったことが発表された。ホンダと日産は2026年8月の共同持株会社設立を目指し、これから本格的な協議がスタート。三菱もそれに加わるのか、25年1月に決定が下される見込みだ。

ホンダと日産は2026年8月に共同持株会社設立による経営統合を目指すことを発表

年の瀬も押し迫った12月23日、東京都内で日産・ホンダ・三菱が共同で会見を実施した。そこで日産とホンダの両社が経営統合に向けた協議を正式に開始することに合意し、両社の取締役会の決議を経て、基本合意書を締結したことを発表。また、三菱もこの経営統合の協議に加わるかどうかを検討し、2025年1月末を目途に判断するという基本合意書を3社で締結したことも併せて発表された。

今回締結された基本合意書は、機密情報のやり取りを前提に、まずは協議を開始することや、その枠組みを決定するものであり、現時点で経営統合そのものを決定するものではない。2025年6月の正式契約締結を目標に協議を進め、その検討を踏まえた上で、日産のターンアラウンドの取り組みが着実に実行されたことも前提として、2026年8月を目途に共同持株会社を設立する予定となっている。日産とホンダの両社はその共同持株会社の完全子会社となり、両ブランドはともに存続することとなる。

また、共同持株会社の設立時点においては、その取締役の過半数をホンダが指名するとともに、代表取締役または代表執行役社長もホンダが指名する取締役の中から選定する予定だという。なお、三菱自動車については、2025年1月末を目途に経営統合に関する検討への参画の是非を判断し、基本合意書を締結する予定だ。

会見でホンダの三部敏宏社長は、「経営統合の実現によるシナジー効果が発揮されるのは2030年頃」と語ったが、現段階では、以下のシナジー効果が想定されている。
・車両プラットフォームの共通化によるスケールメリットの獲得
・研究開発機能の統合による開発力向上とコストシナジーの実現
・生産体制・拠点の最適化
・購買機能の統合によるサプライチェーン全体での競争力強化
・業務効率化による、コストシナジーの実現
・販売金融強化の統合に伴うスケールメリットの獲得
・知能化・電動化に向けた人材基盤の確率

同じ会見で日産の内田誠社長は「どちらが上、どちらが下ではなく、(日産とホンダは)ともに未来を切り開く仲間」であると発言。また、ホンダの三部社長は今回の経営統合が「ホンダによる日産への支援ではないか」という声があることに対して、「ターンアラウンドの取り組みを進めて事業基盤を確立した日産と、確立した収益基盤の下で自己資本を適正化したホンダ。自立した両社が統合し、さらに三菱自動車も加わることで、3社の総力をもって電動化・知能化を進め、さらに企業価値を高めていく」のが目的だと語った。

今後、予定どおりに日産とホンダの経営統合が実現した際には、全体で売上高30兆円、営業利益3兆円を超える巨大グループが形成されることとなる。しばらくは、その進展から目を離すことができなくなりそうだ。

12月23日の共同記者会見に臨んだ日産自動車・内田誠社長(左)、本田技研工業・三部敏宏社長(中)、三菱自動車工業・加藤隆雄社長。

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