ヒョンデの全長3.6m小型BEV「インスター」正式発表!注目の価格は284万9000円【東京オートサロン2025】

カタログモデルでも「CROSS」仕様が登場する予定。
2022年、日本での乗用車販売を再開したHYUNDAI(ヒョンデ)は、本邦においてはゼロエミッションビークル専用ブランドというキャラ設定になっている。日本仕様の作り込みでも定評あるヒョンデから、まったく新しいコンパクトEVが上陸、東京オートサロンにて初公開された。

PHOTO&REPORT:山本晋也(YAMAMOTO Shinya)

エントリーグレードは284万9000円、デリバリーは5月頃を予定

新型車インスターをはさんで右がヒョンデモビリティカンパニーのジョン・ユソク副社長、左はヒョンデモビリティジャパンの七五三木敏幸社長。

HYUNDAI(ヒョンデ)といえば韓国生まれの世界的自動車ブランド。日本では、燃料電池車やBEV(電気自動車)といったゼロエミッションビークルを、オンライン販売で展開している。

そんなヒョンデが注目のコンパクトBEVを、東京オートサロンという場で発表した。その名は「INSTER(インスター)」。全長3.8m、全幅1.6mと軽自動車より少し大きいくらいの小さなSUVスタイルは、まさに日本の駐車場事情にマッチしたサイズ感でとなっている。

多くのBEVは床下にバッテリーを積む構造を採用しているため、バッテリーサイズを稼ごうとするとホイールベースが長くなったり、ボディ幅が広がったりする傾向にある。エンジン車でも全幅1800mmを超えるモデルは増えているためBEVだけが大きくなっているわけではないが、小型車以下のBEVを求めるユーザーは日本の軽EVくらいしか選択肢がない状況だった。

そうしたユーザーの選択肢を増やすべく、「インスター」の日本導入を決めたという。なお、インスターはグローバルモデルであり、じつは世界的に”小さなBEV”へのニーズは高まっているのかもしれない。

もちろん、小さなBEVはアフォーダブル(手頃)な価格のBEVでもある。

インスターのグレード構成とメーカー希望小売価格は以下のようになっている。

Casual:284万9000円
Voyage:335万5000円
Lounge:357万5000円

車両型式を国土交通省に申請中ということで、一充電航続距離は未公開だが、バッテリー総電力量は42kWhと49kWhの2タイプを設定。後者の欧州仕様は満充電から370kmを走れる性能を持っているというから、日常的には不満のない後続性能が期待できそうだ。本日1月10日より先行予約は始まっているが、納車は4月から5月あたりになりそうということだ。

インスターの価格帯は284万9000円〜357万5000円。バッテリー総電力量は42kWhと49kWhの2種類。

「想像より、相当楽しい」モデルが日常生活を充実させる!

東京オートサロンにあわせたカスタム仕様「クロスターマックコンセプト」も展示される。

注目のコンパクトBEVとはいえ、東京オートサロンを新車をお披露目する場に選んだのにはわけがある。インスターは実用一辺倒の小型BEVというキャラクターではない。日常生活の中で”愛車”であることを実感できるパートナーとして生み出されている。

そうしたキャラを前面に押し出しているのが『想像より、相当楽しい』というキャッチコピーだ。

大きな丸型ヘッドランプと、ヒョンデBEVの共通アイコンでもあるピクセルデザインをディテールに採用したスタイリングはいかにも楽しげなカーライフを想像させてくれるもの。もっともインテリアを見ると『想像より、相当楽しい』というキャッチコピーも納得できる。

あえて4名乗車として作り込んだキャビンは外観からイメージするよりずっと広い。後席にスライド機能やリクライニング機能があり、助手席を前に倒すとテーブルになるといったシートアレンジの豊富さは国産車も顔負け。車内にコンセントが用意され、家電が使えるのも、さまざまな可能性が期待できる。

BEVらしい10.25インチのフルデジタルメーターを採用。
全長:3830mm、全幅:1610mm、全高1615mm。日本で扱いやすいサイズだ。

フロント駆動のモーター最高出力は85kW、サスやADASは日本専用設計

サスペンションは日本仕様として専用セッティングになっているという。

最後に、インスターのハードウェアについて整理しておこう。

モーターの最高出力は85kW、最大トルクは147Nm、フロント駆動となっている。最小回転半径は5.3mとなっている。

スタイリングについてはグローバル共通仕様というインスターだが、走り味は日本仕様となっているのも注目ポイント。サスペンション、ADAS(先進運転支援システム)、ドライブモードなどは日本専用に作り込まれているという。

安全面でもペダル踏み間違いセーフティアシスタンス、ブラインドスポットインフォメーションシステムのほかサラウンドビューモニターやナビ連動タイプのクルーズコントロールなどコンパクトカーに期待する以上の充実ぶりだ。

それでいて、エントリーグレードでは300万円を大きく切るという戦略的な価格設定なのだ。2025年には、ヒョンデの名前を見かける機会がこれまで以上に増えそうだ。

後席ドアのアウターハンドルは目立たないよう隠されたタイプ。

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著者プロフィール

山本 晋也 近影

山本 晋也

1969年生まれ。編集者を経て、過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰することをモットーに自動車コ…