目次
エルフミオの新しい世界を拡張する3台のコンセプトカー
エルフミオは、2017年3月12日以降に普通免許を取得したドライバーでも乗ることができる小型トラック。プロの現場でドライバー不足が危惧されている中で、若年層でも気軽に乗ることができるのが特徴だ。
そんな同車の新たな可能性や市場を模索すべく造られたのが、今回の3台のカスタムトラックだ。東京オートサロンの初日(10日)のカンファレンスタイムには、それぞれのカスタムを担当したいすゞの花田崇史氏、大塚将人氏、そしていすゞA&Sの青山勝氏が登壇。各モデルのコンセプトを説明し、個性あふれる3台に込められた熱い想いを語っていた。
小型トラックの新しいドレスアップの可能性を提案
既存ユーザーにとって最も現実的と言えるのが、『エルフミオ・アドバンスドコンセプト』だ。いわゆるパネルトラックだが、車体各部の15ヶ所をカスタム。その多くはエアロ系のドレスアップパーツだが、メーカー純正パーツをリリースしているいすゞA&Sらしい丁寧な造形とセンスがそのアイテムにもキラリと光る。
例えばフロントバンパーなどは、日本の障子が醸し出す陰影をパーツの中に再現。未来的な意匠の中にも日本の伝統美を盛り込むところは、さすが国産メーカーである。リアバンパーもGTカーのディフューザーを想わせる意外性たっぷりの造形で、直線的なリアランプと併せて、エルフミオを新次元に昇華させるパーツといえる。
注目なのは「フロントグリルガーニッシュ」と「バンパーグリルガーニッシュ」。
元々現代的なデザインを採用したエルフミオのフロントマスクだが、このアイテムを装着するとさらにシャープな印象にイメチェン。ちなみにこの2点は、2025年3月に発売が決まっており、既存、新規問わずにユーザーにヒットする予感の注目アイテムだ。
ライフスタイルのために小型トラックを買いたくなるカスタム
周知のとおり、今は軽トラックの世界ではカスタムが華やかかりし時代だが、アウトドアブームの追い風を受けて躍進したブランドが「ハードカーゴ」だ。軽トラの荷台に独創的な幌やケージを装着し、フロント回りもハード系のカスタムをする同社のクルマは、ソロキャンパーなどを中心に人気だ。
そんなハードカーゴといすゞA&Sがタッグを組んで生まれたのが『エルフミオ・クロスコンセプト』だ。キャビンルーフ上や荷台にハードカーゴ製のパーツを装着し、さらに細部をゴツ系のカスタムでドレスアップ。オーバーランダー風の雰囲気に仕上げている。
このカスタムカーのポイントは、オンタイムは仕事で、オフタイムはキャンプなどのレジャーで使うことを考えているという点。その意味でも「クロス」の名前が冠されている。
ハードカーゴが造る軽トラもしかりだが、一般ドライバーがエルフミオを指名買いしたくなる1台だ。
ついに発売されたいすゞ製キャンピングカー用シャシー
エルフミオをベースに開発されたキャンピングカー専用シャシー「トラヴィオ」。いすゞにはすでに「ビーカム」というキャンピングカーシャシーがあるが、これは前述の条件に当てはまるドライバーは普通免許で運転することができない。その敷居を取り払ったのが、トラヴィオなのである。
トラヴィオはビーカムと比べるとアダプティブオートクルーズなどの機能が省略されているが、ステレオカメラ+3レーダーセンサーを採用することで、他社製キャンピングカーシャシーにはない先進的な安全装備を持つ。さらに、運転席回りの意匠や装備もエルフミオの上級グレードなみとなっている。
加えて、キャンピングカーの架装をした場合の重量増や乗り心地の向上を考えて、リアサスペンションを独自にセッティング。キャブコンにした場合の整備性を考えた独自のキャビン構造なども含めて、利便性・快適性が十分に考慮されている。
展示されている「NTBエクスペディションストライカー」は、トラヴィオをベースにしたキャンパーの一例。ビーカムベースのキャンパーを多数製造している日本特殊ボディが、市販を前提に製作したトラックキャンパーだ。
日本特殊ボディは、すでにトラヴィオベースのニューモデル3台を開発しており、その中には市場で需要の高いキャブコンも含まれているという。今後いすゞは、キャンピングカー市場でさらなる需要拡大を考えているということで、今後の展開が楽しみである。