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TOYOTA COROLLA CROSS
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HONDA ZR-V
ZR-Vの荷室空間の広さと使い勝手はカローラクロス以上




両車のボディサイズ差は極めて小さいが、後席の頭上空間はカローラクロスがわずかに優れ、膝周り空間はZR-Vが大きく優れる。荷室は幅/奥行きともにZR-Vのほうがわずかに広く確保されている。
また、カローラクロスは荷室と後席に生まれる大きな段差を埋めるにはディーラーオプションの「ラゲージアクティブボックス」が必須となるが、ダイブダウンリヤシートを採用するZR-Vは背もたれを倒すだけでほぼ水平の荷室になる。荷室の使い勝手に関してはカローラクロスよりもZR-Vのほうが圧倒的に優れているといえよう。
もちろん、カローラクロスの使い勝手も十分に高い。運転視界の良さに加え、ZR-Vより小さい5.2mの最小回転半径により街中でも運転しやすい点はカローラクロスの長所だ。
トヨタ カローラクロス ハイブリッドZ
ボディサイズ=全長4490mm×全幅1825mm×全高1620mm
ホイールベース=2640mm
車両重量=1400kg
タイヤサイズ=225/50R18(前後)
ホンダ ZR-V e:HEV Z
ボディサイズ=全長4570mm×全幅1840mm×全高1620mm
ホイールベース=2655mm
車両重量=1580kg
タイヤサイズ=225/55R18(前後)
燃費性能では劣るが動力性能で圧倒するZR-V


燃費性能はカローラクロス、動力性能はZR-Vがそれぞれ勝る。エンジンとモーターを状況によって最適に役割分担するTHS-IIを搭載したカローラクロスのWLTCモード平均燃費は26.4km/L(Zグレード)であり、ZR-V(Zグレード)の22.0km/Lに差をつけている。
モーター主体で走行するe:HEVのZR-Vは、最大315Nmものトルクを発揮できる駆動モーターが搭載されるのに対し、カローラクロスのフロントモーターは185Nm止まりとなる。エンジンスペックでもZR-Vが上だ。
この傾向はガソリングレード同士を比較しても同様となる。カローラクロスのガソリンモデルは170ps/202Nmの2.0Lエンジンだが、ZR-Vの排気量は1.5Lと小さいもののターボチャージャーにより178ps/240Nmの高いスペックをより低い回転数で発揮できる。
WLTCモード平均燃費はカローラクロスの16.6km/L(Zグレード)に対しZR-Vは14.6km/L(Zグレード)と燃費差は小さく、ガソリングレード同士の比較ではZR-Vの優位性が増す。
トヨタ カローラクロス ハイブリッドZ
エンジン形式=直列4気筒ガソリンエンジン+モーター
排気量=1797cc
最高出力=98ps/5200rpm
最大トルク=142Nm/3600rpm
トランスミッション=電気式CVT
駆動方式=2WD(FF)
ホンダ ZR-V e:HEV Z
エンジン形式=直列4気筒ガソリンエンジン+モーター
排気量=1993cc
最高出力=141ps/6000rpm
最大トルク=182Nm/5000〜6000rpm
トランスミッション=電気式CVT
駆動方式=2WD(FF)
スペックに現れない部分でZR-Vの良さが光る


車両価格はZR-Vのほうが90万円以上も高い。カローラクロスはクラストップレベルのコストパフォーマンスを誇る。同じセグメントのクルマとして比較するとZR-Vは明確に高額だ。
その代わり、ZR-Vは運動性能やハンドリング、乗り心地や静粛性などスペックの数値に反映されない部分がしっかりと作り込まれている。燃費性能と価格ではカローラクロスに敵わないが、その他の多くの面でZR-Vのほうが上だ。
ボディサイズ自体はカローラクロスと同じくらいだが、ZR-Vはひとつ上の車格に属するコンパクトモデルという捉え方が適切だろう。それならZR-Vの高い価格も決して割高ではない。カローラクロスより上質なSUVが欲しい場合、ZR-Vは真っ先に候補へ入れたいクルマだ。