2代目ブルーバードはピニンファリーナ・デザインだったのになんと不人気に!

ブルーバード(1963)想定想定の不運に見舞われた世界的な名車【週刊モーターファン ・アーカイブ】

2代目ブルーバード。『デザインを手がけたのはピニンファリーナ』
しかし個性的なデザインは予想外の販売不振へ……

週刊モーターファン・アーカイブでは、これまでのモーターファンの懐かしい秘蔵データから毎週1台ずつ紹介していく。

解説●小林 敦志(60年代国産車のすべて より 2012年刊)

1959年に初代モデルがデビュー。好調な販売を続け、慌てて投入されたライバルの初代コロナを寄せつけなかった。ただしエクステリアデザインなどは、やや時代遅れの感は否めなかった。

1963年に登場した2代目はそんな反省もあったのか、当時のモーターファン誌によると、「尋常なデザイナーの作品と思えないフシがある」と、デザインレベルの高さを評している。現在ではカーマニアの間などではこの2代目はピニンファリーナによってデザインされたと理解されているが、やはり当時のモーターファン誌では、「ピニンファリーナがデザインしたともっばらの噂であるが、これについては、日産自動車はなんら公式な発表をしていない」としており、その真偽は定かではなかった。しかしテールランプにはボディ側に小窓が設けられ、テールランプの灯りがトランクルームランプも兼ねるようにするなどの「小ワザ」の効かせ方からみても、失礼ながら、当時の社内デザイナーのアイデアとは思えないのは明らかだった。

インテリアについても、当時はバーメーターあるいは、円型のスピードメーターを採用していたのだが、半円形のスピードメーターにするなど、とにかく芸が細かった。

2ドアセダン。スタイリングはほとんど変わらずドアのみが2つとなるが、パーソナルユースを強くアピールするモデルとなっている。
不人気の最大のポイントとなったのが、尻の下がったデザイン。低重心をイメージさせる、軽快なイメージのはずだったが。

「発売当初2週間で5000台を突破した」と、売れ行きの良さが報じられ、業界人からも高い評価を受けていた。しかしエクステリアデザイン、とくに特徴的な「尻下がり」な部分が不評となり、1964年に「アローライン」を採用した3代目
コロナがデビューすると、あっとい

「発売当初2週間で5000台を突破した」と、売れ行きの良さが報じられ、業界人からも高い評価を受けていた。しかしエクステリアデザイン、とくに特徴的な「尻下がり」な部分が不評となり、1964年に「アローライン」を採用した3代目
コロナがデビューすると、あっという間に販売台数で抜かれた。


メカニズム面ではフレームレスモノコックボディを採用するなど、進化を続けたのだが……。

初期モデルのインテリア。パステル調のカラーリングも、きわめて魅力的だ。インパネの一部は鉄板がむき出しでボディ同色となる。いまでは魅力的に映るが、コストをかけられないクルマの証拠。ところが、ブルーバードは樹脂パネルとのバランスがよく、外板色の違いでインパネの印象が大きく異なる。これもデザインの狙いか。

パワートレーンは初代ベースの1ℓと1.2ℓを当初は設定。1965年のマイナーチェンジで1.2ℓエンジンのボアをそのままにストロークアップした1.3ℓに変更された(1ℓはそれまでに廃止)。デラックスグレードにはオートチョークが採用されている。

当時盛り上がりを見せ始めたモータースポーツブームを反映し、1964年には1.2ℓSUツインキャブ採用で65psを発生した、「ss(スポーツセダン)」を発売。1965年のマイナーチェンジでは、フェアレディの心臓であるR型1.6ℓSU型のツインキャブエンジンを移植した「sss(スーパースポーッセダン) 」を発売。

ライバルコロナには、「スポーツ」というキーワードで対抗していた。

1966年に実施されたビックマイナーチェンジによってリヤセクションは大幅に改修された。キャラクターラインをややもちあげ、テールランプやリヤバンパーを高い位置に設置。確かに車格は上がって見えたかもしれないが、個性は少し失った。

SPECIFICATIONS:Bluebird Deluxe(1963)

〈寸法重量〉
全長×全幅×全高:3990×1490×1415mm
ホイールベース:2380mm
トレッド前/後:1206/1198mm 
車両重量:915kg 
乗車定員:5人
〈エンジン〉
直列4気筒OHV
ボア×ストローク:73.0×71.0mm
総排気量:1189
最高出力:55ps/4800rpm 
最大トルク:8.8kgm/3600rpm
燃料供給装置:SUタイプ
〈トランスミッション〉
3MT 
〈駆動方式〉
RWD 
〈サスペンション〉
前・ウイッシュボーン式、後・半浮動式
〈ブレーキ〉
前・2リーディング式ドラム、後・リーディングトレーリング式ドラム
〈タイヤサイズ〉
5.60-13-4P
〈最高速度〉
120km/h
〈価格・当時〉
66.7万円

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