痛快無比なエンジンフィール「BMW M240i xDrive クーペ」【最新スポーツカー 車種別解説】

縦置きFRを継承した「BMW240i xDrive クーペ」。フレームの強化や空力性能の向上により、よりダイナミックな走りを見せる。引き締まっていながらもしなやかさを兼ね備えた足まわりが路面をしっかり捉える。2シリーズクーペの頂点である「M2」とは異なる、穏やかかつスマートなスタイリングも魅力だ。
REPORT:岡本幸一郎(本文)/小林秀雄(写真解説) PHOTO:平野 陽

新型はプラットフォームを一新 FRベースの4WDモデルに

FRでいてくれるのか、他の2シリーズと同様FFになるのか、そもそも存続するのか――さまざまな憶測を呼んだ新型2シリーズクーペは、期待に応えて縦置きFRを継承し、ストレートシックスを搭載したMパフォーマンスモデルも即座に投入してきた。

エクステリア

先代よりホイールベースを50mm拡大し、トレッドも大幅に拡張。メリハリの効いた新しいデザインも採用され、先代からの正常進化を印象づける。ドアミラーなどはセリウムグレーで塗装され、Mモデルの特別感を演出。
 エンジンは先代のB58B30A型からB58B30B型の3.0l直6ターボへと変更され、最高出力は47psアップの387psを実現。そして駆動方式には4WDのxDrive を採用し、電子制御ロック機構によりリヤの左右回転差を低減するMスポーツ・ディファレンシャルも備わる。
撮影車はオプションのファスト・トラック・パ ッケージに含まれるジェット・ブラックカラーの19インチアルミホイールを装備。タイヤは ミシュランのパイロットスポーツ4Sが装着される。Mスポーツ・ブレーキは標準装備。
撮影車はオプションのファスト・トラック・パッケージに含まれるジェット・ブラックカラーの19インチアルミホイールを装備。タイヤはミシュランのパイロットスポーツ4S が装着される。Mスポーツ・ブレーキは標準装備。

新しいG42型は3/4シリーズと同じ後輪駆動のCLARプラットフォームがベース。先代のF22型と比べると、全長が90mm、ホイールベースが50mm長くなった。よりダイナミックな走りを実現するため、サスペンション取り付け部やアンダーフレームなどが強化されたほか、空力性能の向上も図られている。

M240iのフロントに縦置きされる3.0l直6は、F22型の同じ名称のモデルよりも大幅な出力向上が図られた。また、日本向けのF22型は後輪駆動のみが導入され、8速ATのほかに6速MTが選べたのも特徴だったが、G42型は発売時点では4WDで8速ATのみとされた。4WD化もあって車両重量はM440i xDriveと大差ないほどになっているが、ゆくゆくは2WDやMTが追加される可能性もありそうだ。

インテリア

メーターには 12.3 インチマルチメデ ィアのBMWライブ・コクピットを採用。 タッチパネル式の10.25インチワイドディスプレイは従来より低い位置にマウントされ、HDDナビゲーションが標準装備となっている。
左端に速度計、右端に逆指針の回転計をレイアウト。ナビゲーションやGメーターなどの表示機能も備わる。
シフトセレクターはよりコンパクトな最新式に。
ペダルはシルバーの加飾が加わったスポーティな仕様に変更された。

日本向けの2シリーズクーペは発売時点では後輪駆動で2.0l直4にATを組み合わせる「220i」と同Mスポーツもラインナップされている。一方で、そう遠くないうちにMハイパフォーマンスモデルの「M2」が頂点に据えられることもすでに明らかにされている。

爽快に吹け上がる直6ターボ トラクション性能もお見事だ

387psの最高出力と、幅広い回転域で500 の最大トルクを発生する3・0lターボエンジンは、BMWの直6ならではの調律されたサウンドを放ちながら、どの回転域からでもレスポンス良く、力強くスムーズに加速し、トップエンドまで気持ち良く吹け上がる。8速となったATも、十分過ぎるほどの性能を効率良く巧みに引き出してくれる。

このエンジンフィールが味わえることこそ、このクルマをドライブする醍醐味と言えるだろう。トラクション性能も素晴らしい。xDrive(4WD)の効果はもちろん、電子制御のアダプティブMサスペンション(オプション)やMスポーツ・ディファレンシャルも効いているに違いない。

うれしい装備

SPORT、COMFORT、ECO PROのほかに、走行状況に応じた予測調整を行なうADAPTIVEモードを装備。 
INDIVIDUALモードを選択するとパワートレインやオプションのアダプティブMサスペンションなどの特性を個別に設定可能。 
ACCは標準装備だが、ハンズオフ・アシストは非採用。
ハーマンカードンサラウンドサウンドシステムをオプション設定。

引き締まっていながらもしなやかさを兼ね備えた足まわりが路面をしっかり捉える。雨の中で乗ると、そのありがたみをいっそう実感する。新しいプラットフォームにサイズの拡大や車両重量の増加による影響で、ドライブフィールもBMWのクーペに相応しい上質さが増している。

ステアリングにはズシリとした手応えがあり、ロール剛性も高く、切れ味の鋭いスポーティなハンドリングを実現している。0-100km/h加速タイムは4.3秒というデータどおり、M240iは体感的にもかなりの速さだ。いずれ出てくるM2がさらに速いのは間違いないが、M240iで十分という人は少なくないことだろう。

Country          Germany
Debut            2022年3月
車両本体価格     758万円

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.143「2022-2023 スポーツカーのすべて」の再構成です。

http://motorfan-newmodel.com/integration/143/

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