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遊びに飛び出したくなるファンなルックス
スーパーハイトワゴンの王者、タントが2022年秋に商品改良を実施。同じタイミングで新しく加わったのが、アウトドアテイストいっぱいのモデル、ファンクロスだ。基本的にタントカスタムと、フードやフェンダーのプレス形状は同じものだが、上下2分割のバンパーとし、ブラックの加飾を施すことで、随分と違う雰囲気を醸し出しているのには感心させられる。加えて、下まわりの加飾は樹脂でできているのも、草や砂利などで傷がつきやすい、アウトドアシーンを考慮したものとなっているのだ。
エクステリア
ボディサイズはルーフレールが装着されている分、タントカスタムよりも30㎜ほど背が高い。1785㎜という数値は、立体駐車場に入れる際に覚えていた方が良い項目といえる。さて、タントの見どころといえばBピラーレスのミラクルオープンドアと、運転席のロングスライドだ。子育てに便利といわれているこの特徴は、アウトドアシーンでの基地としても、さまざまな使い方ができそうなのは想像に難くない。加えてファンクロスは、荷室まわりまで強化されているのがポイントだ。
乗降性
従来のタントからの進化となったのが、ラゲッジボードの採用だ。裏側には、テーブルの脚が出てくる仕掛けが施されている。無論、アウトドアテーブルとしても使えるが、脚立にはしないように要注意。中に鉄芯を入れしっかりつくってはあるそうだが、耐荷重は20㎏だ。
この脚を出したまま荷室にセットすると、荷室を2分割する棚となり、さらに後部座席の背もたれを倒したときに、同じ高さのフラットな広い空間をつくり出すことができる。後部座席の背もたれは、テーブルと同じドット柄の防水防汚シートとなっており、お掃除が簡単なのもありがたいポイントだ。
インストルメントパネル
また、荷室まわりでの作業が増えることを考慮して、後部座席は荷室側からもスライドできるようになった他、荷室天井照明と右側のクオータートリムに照明&USBソケットも用意されている。さらにフックもたくさん設けられているので、カスタマイズの楽しみも広がりそうだ。
居住性
運転席まわりは、オレンジの差し色がポイント。シート表皮も六角形モチーフのカモフラージュ柄で、オーソドックスではあるものの雰囲気は満点だ。それよりなにより、とにかく広く、運転席からフロントガラスまでが遠く感じるくらいだ。パワートレインは、21年のタント改良時と同じもので、細かい制御の煮詰めで燃費性能が上がっている。
NAとターボの2本立てだが、どちらもとにかくトルクフルなのが特徴だ。出足から力強さがあるので、荒れ地での走破力もそうだが、ACCと併せてのロングドライブでも威力を発揮してくれる。
うれしい装備
追加モデル発表 22年10月3日 月間登録台数 10604台(22年7月~12月 タントシリーズ平均値) WLTCモード燃費 26.4km/ℓ※ファンクロス(FF車)
ラゲッジルーム
空間が大きい割には、音が反響することもなく、前後席での会話も問題なくできるし、後部座席での乗り心地も上々。スーパーハイトワゴンともなると、後ろに人を乗せることも多いが、その辺りは心配ご無用だ。さらに安全装備等は、夜間でも歩行者対応する衝突被害軽減ブレーキなど、ムーヴキャンバスと同じ最新のものが投入されているので、その点も安心感は高い。これは、新王者の呼び声も高そうだ。
※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.147「2023年 国産新型車のすべて」の再構成です。