レクサスが新型「GX」を世界初公開! 北米を中心に展開している本格クロスカントリーSUVがフルモデルチェンジ

レクサスは6月8日(現地時間)、米国テキサス州オースティンにて全面改良を受けた新型「GX」を世界初公開し、プロトタイプの情報を明らかにした。新型GXは、年末より順次各地域に展開される見通しだ。

3.5ℓV6ツインターボと2.4ℓハイブリッドの2機種を設定

レクサスGXは、2002年から北米を中心に販売がスタートした。ボディオンフレーム構造のSUVとして、高い走破性に加えて上質なインテリアを両立。いかなる環境でも快適な移動体験を提供し、ユーザーから好評を得て、世界の約30の国と地域で今年3月末までに累計約54万台が販売されてきた。

新型GXの車両開発コンセプトは「ザ・プレミアム・オフローダー」。過酷な悪路から街中の舗装路に至るまで、乗員がクルマとともに過ごすさまざまなシーンで心高まる体験を提供するために進化を遂げた。ボディサイズは全長4950mm×全幅1980×全高1870mmで、ホイールベースは2850mm(ずれもプロトタイプの値)。ランドクルーザー・プラドをベースとしていた先代よりひと回り大きくなった。

2002年の販売開始以来、初めてプラットフォームを刷新。LXと同じ新GA-Fプラットフォームが採用された。サイドレールとクロスメンバーの一部には、板厚や材質が異なる鋼材を適材適所に接合(Tailor Welded Blank)し、重量を増やすことなく必要な強度と高い剛性を実現するなど、さまざまな環境下での上質な走りに寄与している。

3.5ℓV6ツインターボエンジン+10速AT

パワートレーンは3.5LV型6気筒ツインターボエンジン+10速ATと、2.4Lハイブリッド+8速ATの2種類を設定。3.5Lツインターボの方は、「V35A-FTS」エンジンにダイレクトシフト10速ATを組み合わせる。10速ATは、発進時を除くほぼ全域でロックアップクラッチを作動させ、ダイレクトなフィーリングを実現。また、従来型の6速から10速化されたことにより、ギヤステップのクロス化、全体のギヤレシオのワイドレンジ化を実現し、リズミカルで心地の良い走りと、燃費、発進加速、オフロード性能の向上を同時に果たしている。さらに、駆動力特性と変速タイミングを最適化。高回転域までの伸びやかなトルク特性を引き出すような気持ちよい加速感を生かし、ドライバーの意思に寄り添った力強い加速を実現している。

このエンジンにより、トレーラーヒッチの牽引可能重量はクラストップレベルの約3600kg(北米仕様プロトタイプの値)を実現。また、牽引しているトレーラーのふらつきをシステムが検知したとき、車両のふらつきを制御するトレーラースウェイコントロールを採用。状況に応じて四輪個別にブレーキをかけることで、車両姿勢を安定させ、牽引時での安全安心な運転をサポートする。

2.4Lハイブリッドシステム

一方、2.4Lハイブリッドは、「T24A-FTS」エンジンと新開発のダイレクトシフト8速ATの間に、モーターと湿式クラッチが一体となったフロントモジュールを組み合わせたハイブリッドシステムを採用。トランスミッションがエンジンの動力伝達を行い、フロントモジュールはHEV機能(エンジン始動、EV走行、回生など)を担う。元来より堅牢なエンジン・ATのシステムを活かしつつ、フロントモジュールを加えたHEVシステムとすることで、フレーム車に相応しいロバスト性に貢献。本格オフローダーの本質でもある「行きたいところに行き、帰ってこられるクルマ」に相応しいハイブリッドシステムとしている。

フロントサスペンション

サスペンションは、オフロード走破性とオンロードの操縦安定性を高次元で両立。フロントはハイマウントダブルウイッシュボーン式で、安定した車両姿勢を実現するサスペンションジオメトリも徹底的に追求。従来型に対し、コイルスプリングのばね定数の最適化や、キャスタートレールの拡大、キングピンオフセット低減などを行なうことで、直進、旋回、制動時の高い車両安定性を確保し、快適な走行を提供する。

リヤサスペンション

リヤサスペンションは、ラテラルコントロールアーム付き4リンクリジッドを採用。サスペンションアーム、ショックアブソーバー配置と特性をつくり込み、車軸の動きをコントロールし、制動時の車両安定性を高めている。ショックアブソーバーには伸縮独立バルブとFCD(Friction Control Device)を設定するとともに、サスペンション周辺部品の締結トルクアップにより、締結部剛性を向上。サスペンション特性を最適化しつつ、剛性を向上させ、優れた車両安定性と乗り心地を両立する。

E-KDSSイメージ
E-KDSSイメージ

伝統の悪路走破性も、オフロード走行性能を追求したパッケージの追求や、路面追従性を向上させるレクサス初採用のE-KDSS(Electronic-Kinetic Dynamic Suspension System)などを通じて一段と向上させている。さらに、オンロード走行性能では、各部位の高剛性化やEPSの採用などによりもたらされるリニアなステアリング応答性など、本格オフローダーでありながらもレクサスらしい乗り味を実現させた。

オフロード走行支援は、従来の5モードから、6モード(AUTO/DIRT/SAND/MUD/DEEP/SNOW/ROCK)へ拡充したマルチテレインセレクトを採用。従来のブレーキ油圧に加え、駆動力、サスペンションを統合制御し、路面状況に応じた走破性能を引き出すことが可能だ。また、従来ローレンジ(L4)のみだった動作範囲をハイレンジ(H4)にも拡張。岩石路の極低速走行から未舗装路の高速走行まで、世界中のどんな道でも上質に走行できる機能へと進化を果たしている。さらに、各種センサーの情報から走行中の路面状況を推定し、ブレーキ油圧、駆動力、サスペンション制御を最適化するAUTOモードを採用。ドライバー自らモード切替えすることなく、走行シーンに応じた走破性能を引き出すことを可能にしている。

オフロード走行に安心感をもたらすマルチテレインモニターは、車両周辺の状況確認を4つのカメラでサポートする。フロント・両サイド・リヤに搭載したカメラでとらえた映像をカメラスイッチで切り替え、14インチディスプレイに車両周辺映像を、滑らかな動きでより鮮明に映し出し、ドライバーの死角になりやすい車両周辺の路面状況を確認できる。また、アンダーフロアビューに切り替えると、手前で撮影された過去の映像を床下透過映像として提供し、現在の車両やタイヤ位置を示す線を合成することで、車両下の状態や前輪の位置が確認できる。さらに、車両を透過し、後輪周辺をクローズアップして大きく表示する機能を追加。タイヤ付近の状況や障害物との距離感を把握でき、スタックや行き止まりからの脱出に貢献する。

エクステリアデザインでは、高い走行性能の提供に寄与する「機能的本質や動的性能に根差したプロポーションと独自性を追求したデザイン」を本格オフローダーとして表現。高い走破性と冒険心をくすぐる外観でありつつ、あらゆる道でドライバーが快適に運転できるデザインとしている。

インテリアにおいては、オフロード走行時の全方位における視認性などの機能性に配慮しつつ、使い勝手に優れた様々な機能を備え、どのような環境のなかでも安心感をもたらすモダンで快適な室内空間を提供する。

2列目シートは、キャプテンシートもしくはベンチシートからを選択可能。また3列目シートも設定。2列目・3列目シートは、十分な前後カップルディスタンスを確保し、実用性を向上。 さらに3列目シートは、左右独立操作が可能な電動折り畳み機構をオプション装備、荷室容量を拡大しつつ、 使用シーンに合わせたシートアレンジを実現した。

レクサスGX “OVERTRAIL”仕様

レクサスは「自然の大切さを理解し、楽しみ、守っていくアウトドア体験をお届けしたい」という想いのもと、多様なアウトドアライフスタイルとクルマの楽しさへ寄り添うために「OVERTRAIL PROJECT(※)」を推進している。新型GXは、このOVERTRAIL PROJECTを牽引するモデルとして、雄大な自然環境におけるユーザーの新たな体験提供をサポートしていく。加えて、より厳しい環境下で求められる機能やデザインを備えた“OVERTRAIL”仕様を新たに設定し、OVERTRAIL PROJECTを体現している。
※OVERTRAILとは陸路や森林・原野等の未舗装路を意味するOverlandとTrailを組み合わせ、自然とのつながりを想起させたり、道を切り開くイメージを付与したレクサスインターナショナルの造語。

レクサスGX “OVERTRAIL”仕様(キャビンは5人乗り仕様のみ)

OVERTRAIL仕様は、オフロード性能をさらに高める専用パッケージとエクステリアが特徴。標準仕様に対して20mmワイド化したトレッドとブラックのアーチモールによる安定感あるスタンスなど、タフさをより強調したデザインとなっている。また、前後のバンパーコーナー下端を切り上げ、悪路における走破性を一層向上し、別体のセンタープロテクションを設けることで、路面に障害物の多いようなオフロード走行時の機能性を追求。加えて、ブラックのアウターミラーカバーやアウトサイドドアハンドルなどの専用アイテムを装備し、本格オフローダーとしての風格に磨きをかけた。

※掲載写真はすべてプロトタイプ

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