……みたいなことを思っていた矢先、同じルノーのメガーヌのマイナーチェンジモデルが日本に上陸した。「ルノー・スポール(R.S.)」を別格とすれば、新しいメガーヌはこれまでの2グレード体制から「インテンス」の1グレード体制となった。そんなメガーヌ・インテンスは従来の「GT-Line」の実質的な後継機種とも言える。
メガーヌにも搭載されるようになった1.3Lターボはルーテシアやキャプチャーよりさらにハイチューンとなり、従来の1.2Lより27ps/65Nmも強力な159ps/270Nmを絞り出す。デュアルクラッチEDCも1速増えた7速式となり、ストップ&ゴー機能付きのACC、ドライバー疲労検知アラート、そして後退時の安全も確保するリヤクロストラフィックアラートなどのADASも一気に充実した。
そんな新しいメガーヌの価格は310万円。1.2LターボだったGT-Lineより少し高くなったが、内容のグレードアップ分を考えればリーズナブルと言っていい。それよりも、キャプチャーに用意されるふたつのグレードのちょうど中間に落とし込んだ価格設定は、ルノー・ジャポンが確信犯的にほほ笑む様子が目に浮かぶようだ(笑)。
この最新のメガーヌには「R.S.」や従来の「GT」のような4コントロール(≒後輪操舵機構)は備わらない。ある意味で“素メガーヌ”ともいえるシャシーなのだが、実はこれがなんとも滋味深い。もちろん、4コントロールのように低速でクルクル俊敏に曲がったり、高速で4WDを思わせる絶大なスタビリティを披露したりはしない。しかし、どこまでも素直なステアリングフィールや、ちょっとコツを会得すればジワリと回頭性を増す前後バランスは、伝統的なルノーハンドリングそのものだ。
絶対的な限界は4コントロールに及ばないものの、全身にみなぎる剛性感はR.S.にも大きく劣らず、1.3Lターボの性能を完全支配下に置くシャシーファスターカーというほかない。メガーヌの基本フィジカル性能を揺るがすには至っていない1.3Lターボだが、ピークスペックは競合車の1.5Lターボより明らかに上回る。いやホント、メガーヌ・インテンスは1.3Lとは思えないほどよく走る。この動力性能を考えると、310万円はやはり割安だ。
キャプチャーは前出のように、C(やD)セグメントからのダウンサイズ需要を引き込むことで、欧州では大成功した。実際のキャプチャーも古典的なCセグメントハッチバックと比較すると、より気安くて使いやすく、そしていかにも今っぽい。しかし、ルノーCセグメント=メガーヌに乗ってしまったりすると、ひとクラス上のプラットフォームからくる絶大な余裕と快適性、そして低重心にロー&ワイドなディメンションによるハンドルングに後ろ髪を引かれまくる……のは中高年クルマオタクの性(サガ)というほかない。
クルマ選びはこうして迷っている時がいちばん楽しい。
ルノー・キャプチャー インテンス
全長×全幅×全高:4230mm×1795mm×1590mm
ホイールベース:2640mm
車両重量:1310kg
エンジン形式:直列4気筒DOHCターボ
排気量:1333cc
ボア×ストローク:72.2mm×81.4mm
最高出力:154ps(113kW)/5500pm
最大トルク:270Nm/1800rpm
トランスミッション:7速DCT
駆動方式:FF
サスペンション:Ⓕマクファーソンストラット式/Ⓡトーションビーム式
燃料:無鉛プレミアム
燃料タンク容量:48ℓ
燃費:WLTCモード:17.0km/ℓ
市街地モード:12.9km/ℓ
郊外モード:17.2km/ℓ
高速道路:19.5km/ℓ
車両本体価格:299万円
ルノー・メガーヌ インテンス
全長×全幅×全高:4395mm×1815mm×1485mm
ホイールベース:2670mm
車両重量:1320kg
エンジン形式:直列4気筒DOHCターボ
排気量:1333cc
ボア×ストローク:72.2mm×81.4mm
最高出力:159ps(117kW)/5500pm
最大トルク:270Nm/1800rpm
トランスミッション:7速DCT
駆動方式:FF
サスペンション:Ⓕマクファーソンストラット式/Ⓡトーションビーム式
燃料:無鉛プレミアム
燃料タンク容量:47ℓ
燃費:WLTCモード:17.5km/ℓ
市街地モード:13.6km/ℓ
郊外モード:17.6km/ℓ
高速道路:19.9km/ℓ
車両本体価格:310万円